脳の血管が繋がったぁ
(その1)

あれから、もう何年経ったのだろうか
或る日突然、これはいつものことだけどね
久しぶりの人がキミちゃんに連れられてやってきた。

(おやっ、何事っ?)
初めて彼女に会ってから、かれこれ5年は経っていた。
「ご主人が、脳の血管が切れてるんだって…」
「明日、検査入院するんですぅ、SS会病院に…」
「だからね、とりあえずダメかもしれないけれど、会ってみれば…って」
「ずぅ〜っと、来ていないのにスミマセン、こんな時だけぇ…」
「いやいや、そんな事は気にしなくっていいよ、な〜んにも…」
しかし結果は吉と出るか凶と出るか…
雲を掴むような話、でも…
来たからには、やるしかない!!マタマタ真剣勝負!

切れていたはずの血管が元に戻るという出来事は…
こんな会話から始まったのです。

血管は3本切れていたそうです。
「運動神経の側だから、手術は出来ないそうなんです」
「ご主人を連れてくるといいよ」
「主人、来てくれるかなぁ〜?」
「でも、助けたいんでしょう?少しだけヒーリングしたほうがいいと思うからね」
「兎に角、話してみます」と帰って行ったのですが…

しばらくして、目を泣き腫らしてミドリさんは再び現れた。
「怒ってるんです、人が入院するって言うのにぃ…って」
「『こんな時間までなにやってるんだぁ〜』って怒られました」
「『俺が何でそんな所に行かないけんのやァ』っていわれてぇ」
「だからスミマセン、連れて来れそうもないんでぇ、ありがとうございました」
そりゃあ当然だよねぇ、そ、残念だったね、ま、あきらめるっきゃないね
と言えればいいんだけどねぇ〜
性格が災いするっちゅうか…
乗りかかった船を下りる方法をしらんっちゅうか
彼女の涙を放っとけんのじゃ〜っちゅうか…

「あのね、遅くなった事を気にして帰ったでしょう」
「気にするとね、嫌な感情を起こさせるのよね」
帰る時に、「遅くなってごめんなさい」と素直に言えるといいんだけど…
なにしろ、相手の人格を元々信頼していない、
これって実は誰でも…多くの人がやってしまう事
勝手に人を決め付ける
遅くなったから怒りそう、とか文句いわれるよね〜とか
そんなに信頼のないまま夫婦やってるんかぁってな感じですけどね
そういう誰かさんも…、ま、ま、まままぁね…

「もう少し彼の立場で言葉を言えるといいね」
「わたし、あなたがすご〜く必要って気付いたの、だから…」
「兎に角、あなたに元気で居て欲しいから、行ってくれたらうれしい」
心を伝えるんだよ、自分の〜ねっ
「手術できないんだから、何でも当ってみたほうがいいって思うの、お願い!」
こんな感じでいったら、動くんじゃないのかな?
「ハイ、帰ってもう一度話してみます、ありがとうございました」

しばらくして…電話のベルが鳴るトゥルルルルゥ〜
「今から行きます、主人と二人で」
さぁ〜、がんばらなくちゃぁ〜!

その頃、風さんは夜のお店もしていたので
二人はその店に来る事になりました。
さぁ、勝負はこれからです。

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