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立山黒部アルペンルート

(2008.9.12)


旅行会社のツアーに参加し、長野県の大町市から、北アルプスと立山連峰の直下にトンネルを掘り抜いてトローリーバスやケーブルカーを走らせ、深い渓谷には長〜いロープウェイを架けて空中をかけ抜け、富山県の富山市との間を結んでいる「立山黒部アルペンルート」へ行ってきました。



大町市のホテルに前泊。朝早くに目が覚め空を眺めると真っ青な空が広がっています。今日一日の好天を願いながら、8時にホテル出発。

扇沢駅(標高1430m)8時30分発の関電トンネルトローリーバスで、北アルプスの赤沢岳(2678m)の直下を貫通しているトンネルを走ること約17分、黒部ダム駅に到着。ここは地下駅というかまだトンネルの中にある駅で、2百数十段の階段を上がると目の前に壮大な黒部ダムの景色がどーんと現れます。


黒部湖。右下隅にダム堰堤の一部が写っています。正面奥は北アルプスの山並みで、黒部湖にはこの山々が源流となっている水も流れ込んでいます。
(この写真はクリックで拡大します)
6月末〜10月中旬まで観光目的の放水がおこなわれています。轟々と噴き出してくる水量の迫力に圧倒されます。


雲一つない真っ青な空、雄大に広がる両岸の緑と正面奥に見える北アルプスの山並み、濃いブルーの水を湛える黒部湖。この雄大な自然美は何時間でも眺めていたい景色です。


上の写真の右サイド奥にふっくらとした形の山が見えます。その山から右のほうに目線を高く保ちながら移動させると、立山連峰の本峰の雄山、大汝山、冨士ノ折立が目に飛び込んできます。それが下の写真です。


中央奥に聳える岩肌の山が立山連峰の本峰「立山」です。中央一番高いのが大汝山(3015m)、その左に主峰の雄山(3001m)、そして右側には冨士ノ折立(2999m)です。さすがに3,000m級の山並みとなると森林限界を超えており、ごつごつとした岩肌が威容を高めています。
雄山と大汝山の間には、夏を過ぎてもまだ残る雪渓が白く輝いています。


標高が1,454m、黒部ダムの堰堤からの眺めです。
標高1,454mの黒部ダムから見ると、標高が3000m超の立山連峰もその高さをあまり感じさせません。
長さ492m、高さ186mのダム堰堤から見下ろした黒部川です。北アルプスと立山連峰に挟まれた狭隘な黒部峡谷は、ここからもっと下流になります。


黒部ダムの堰堤(長さ 492m)の上を渡ると、すぐに黒部湖駅に向かうトンネルへと道は入っていきます。トンネル内を100mほど歩くと黒部湖駅。ここから最大斜度31度のトンネルの中を登るケーブルカーに乗って約5分、黒部平(標高 1828m)に到着。


黒部湖駅はトンネルの中 ケーブルカー


黒部平で駅舎を出て最初に目に飛び込んでくるのが北アルプスの美しい山並みです。真正面に聳える赤沢岳(2678m)の真下に掘られたトンネルを、先ほど扇沢から黒部ダムまでトローリーバスで走ったんだ・・・!、と思うと、その難工事を成し遂げられた方々の英知と勇気に感服です。


北アルプス
                               
鹿島槍ヶ岳
 (2889m) 
赤沢岳
(2678m)
針の木岳
(2821m)
                           
目に実際に飛び込んでくる景色では、真正面の山の裾がブルーの水を湛えた黒部ダムに落ち込み、立体感のある雄大な景観をつくりだしていたのですが、写真をパノラマ合成したら黒部ダムが入らなくなってしまいました。残念!


鹿島槍ヶ岳 赤沢岳 と 針の木岳
山すそに黒部湖が見えます。


目をぐるーっと180度転じると、立山連峰が目の前に悠然と迫ってくる大絶景が広がっています。主峰・雄山は黒部湖畔で見えた姿よりもっと迫力が増し、荒々しいほどの威容です。
正面の山の中腹に小さく四角っぽく見えるのが大観峰(2316m)で、ここ黒部平(1826m)からはロープウェイで行きます。
黒部平駅舎(写真右端)から伸びているロープの先にロープウェイが点のように見えますが、大観峰との間にはロープを支える鉄塔などはなく、黒部平・大観峰の両端で支えられた大空中ブランコで、スリルがあります。


この3枚の写真はクリックで拡大します
写真中央、稜線の底部が東一の越で、室堂への登山道があります。

立山連峰とロープウェイ
左が主峰・雄山、中央は最高峰の大汝山(3015m)、右は冨士の折立。中央に白く光る雪渓が見えます。


黒部平で見かけた高山植物
(写真はクリックで拡大します)

ゴマナ

ヨツバヒヨドリ
ナナカマド

クルマユリ





アキノキリンソウ
タカネコンギク

オヤマリンドウ

ヤマハハコ


黒部平から大観峰(2316m)へはロープウェイで約7分。大観峰からは雄山(3001m)の山腹を貫いたトンネル内を走るトローリーバスで約10分、室堂に到着。標高2,450m、午前11時の気温15.9℃。


黒部ダム、黒部平からは目線をぐーっと上げて遠く仰ぎ見た3,000m超級の立山も、標高2,450mの室堂に来ると目の前に大きく立ち塞がるようにその威容を示しています。
屏風のように聳える立山。右から主峰・雄山(3003m)、最高峰の大汝山(3015m)、左端の頂が冨士の折立(2999m)。
雄山頂上部のズームアップ写真。中央、矢じりのように尖って見えるのは山頂に建つ峯本社。


立山連峰の山々
右端が上の写真にもある最高峰の大汝山、冨士の折立。それから下がって真砂岳(2861m)、大日岳(2501m)、別山(2860m)、剣御前(2777m)と続く迫力の山並みで、左端奥にかすかに見えるのが剣岳(2999m)です。

室堂平を案内してくれた地元のネイチャーガイドさんも、立山の山々がこんなに遠くまで視界が効いて、透明度高くすっきり見えるのは数年に一度あるかないかでしょうと吃驚する晴天に恵まれ、ラッキーでした。


みくりが池
周囲約600mの噴火跡の湖というか池。9月中旬ですが、左下に白く光るのはまだ融けきっていない残雪です。


みくりが池と奥大日岳(2611m) 一の越と浄土山(2831m)


(花の写真はクリックで拡大します)

ミネウスユキソウ アカワレモコウ アカワレモコウ オヤマリンドウ
ヤマハハコ
イワヒバリです。残念ながら雷鳥は見かけませんでした。
シシウド
タカネコウゾリナ
イワイチョウ
ヨツバシオガマ ミヤマリンドウ オオカサモチ アザミ
チングルマ チングルマ
チングルマは草花のように見えますが、実際は「木」で、右側の写真のような太さになるには10年ほどかかるとのことです。
花はすでに散っており、綿毛のように見えるのが花が散ったあとの「果実」です。
 


午後1時頃、これから向かう富山県側のほうから急に雲が湧き上がり、山肌を這うような素早さで登ってきます。次の目的地、弥陀ヶ原は雲の下になってしまいましたが、山の天候は変わりやすいのを実感です。


室堂から弥陀ヶ原(標高1930m)はバスで約20分。標高で約500m下がったわけですが、室堂に広がっていたあの青空とは一転し、バス停後ろの山も、ホテル裏に広がる湿原のほうにも、霧が広く降りています。


弥陀ヶ原には広さが約8平方キロにおよぶ高層湿原があり、1000を超える数の大小の池塘により貴重な高山植物が育っています。
湿原には木製の遊歩道が整備されていて、池塘やその周辺に成育する高山植物を観察しながら散策できます。


弥陀ヶ原湿原に咲いていた花の一部です。
(写真はクリックで拡大します)
イワショウブ マツムシソウ
オヤマリンドウ イワショウブ アキノキリンソウ イワタデ


立山黒部アルペンルートの旅もそろそろ終わりに近くなりました。弥陀ヶ原から美女平(977m)までは標高差約1000mをバスで一気に下ります。

途中、称名滝が見えるスポットでバスは超のろのろで走りますが、車道に沿って大きな杉木立が並び、称名滝は深く大きな谷を越えた遠くにあるので、車窓からちらっと望見できるというところです。私はたまたま窓際で滝側(右サイド)の席だったので写真も撮れてラッキーでしたが、反対側の席の方は大変だったと思います。



日本一の落差350mを誇る称名滝
(日本一の落差!と言われても、バス車内から見るだけで、轟くような水音が聞こえない遠見の滝は、感激が今一つでした)


美女平が近づき、道の左右には鬱蒼とした緑の木立が広がっています。室堂や弥陀ヶ原で見てきた景色とは違いますが、深い緑の広がりに気持ちがほっと癒される思いでした。


美女平という地名の由来になったと言われる「美女杉」。横に立っている人と比べるとその大きさが理解できると思います。


美女平から立山黒部アルペンルート終着地、立山駅(475m)まではケーブルカーで約7分。ケーブルカーには物資輸送の貨物車両が連結されている。
正面の建物は美女平駅で、立山駅間の平均勾配が24度。この美女平駅付近は29度という急勾配です。


富山県サイドの立山駅到着は16時10分。長野県サイドの扇沢駅出発が8時30分でしたから、全行程約7時間30分で立山黒部アルペンルートの素晴しさを満喫できました。


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