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ケベック・シティ
(Quebec City)



ケベック・シティをモントリオールからの日帰りで訪れたことが今になっても残念に思います。今回の旅行のメイン・テーマは「カナダの紅葉を見て歩く」ことであり、また日程の都合でやむを得なかったこともあるのですが、ケベック・シティには1泊あるいは2泊はして、ゆっくりと街中を歩き廻り、カナダの他の大都市とは明らかに異なるユニークな趣きと情緒を漂わせている魅力を味わってみたいと感じさせる街です。

セント・ローレンス川の中に浮かぶオルレアン島の紅葉は真っ盛り一歩手前で、訪れるのが1週間ほど早かったようです。

左の写真は、カナダの特産品メープル・シロップを作るための樹液を採集する「砂糖かえで」 (Suagar Maple) の林です。写真では見えませんが、かえでの樹の一本一本に小穴を開けて細いゴム管を差し込み、滴りでてくる樹液をこの林の奥にある作業小屋 (Sugar Shack) に集めます。1リットルのシロップを作るのに、樹液の原液40リットルが必要になるとのことです。




このオルレアン島にはフランス移民の子孫(3代目、4代目くらい)が多く住み、食べ物や生活様式などにフランスの伝統を継承しているそうです。我々が昼食に立ち寄ったレストランも、豆スープ、ミートパイ、茹でたポテトなど全て、フランスの田舎で古くからおこなわれている調理方法、味付けを頑なに守っているとのことでした。味?、素朴な感じの味でしたが、美味しかったです。


1892年にホテルとして建築された Chateau Frontenac (シャトー・フロントナック)。中世ヨーロッパの城を模した外観はケベック市のシンボリックな建物として、市のガイドブックやパンフレットに数多く使われています。



シャトー・フロントナック横のダルム広場は、眼下にセント・ローレンス川を、目を真正面に転ずると川向こうに続く緑の台地を一望できます。この広場には、ケベック旧市街地が世界遺産に登録(1985年)された記念として、地球を象徴する円形のモニュメントが飾られています。

Quebec は「川が狭くなる所」という意味の原住民の言葉ですが、この Quebec と呼ばれる地にフランス人 (Samuel de Champlain) が1608年に初めて上陸しました。 彼はセント・ローレンス川を見下ろす崖の上に城砦を築き、北米大陸へのフランス植民地の第一歩を踏み出すことになったわけです。

その後、イギリスからの移民も入植したり、1763年にはイギリスの統治領になったり、1775年にはアメリカ軍の侵攻と戦ったりと変遷をへました。その都度外部からの攻撃に対する守りを固めるべく城砦を強固にすることが繰り返され、北米大陸で唯一の城塞都市ができあがり、今ではその城塞に囲まれた旧市街地が世界遺産に登録されているわけです。

世界遺産登録を記念する円形のモニュメント。後方の銅像は、西欧人では初めてケベックに上陸し城砦を築いたフランス人チャンプレインです。
ケベックから大西洋まで、セントローレンス川を下ると500km以上あります。港には大型豪華客船が停泊していましたが、こんな大型船が入って来れるセントローレンス川の水深にも驚きです。

崖上の城塞に守られた Upper Town と呼ばれる旧市街にたいし、崖下にはセントローレンス川沿いには Lower Town と呼ばれる街区があります。18世紀頃に建てられた家の外壁は石を積み上げた造りで、家の入口に馬を繋いでおく柵があるのは、馬車が交通手段の主役だったことを示しています。

Upper Town は政府関係とか城塞を守る軍関係の人たちが主だったと思いますが、この Lower Town はローレンス川を利用して交易などをする商売関係の人たちが住んでいたそうです。

石が敷き詰めてられている道幅は狭く、中世ヨーロッパの街並みを髣髴とさせると言われていて、ケベック・シティがヨーロッパからの観光客にも人気があり、大型豪華客船を含めて毎年多くの人が訪れるそうです。狭い通りをはさんだ道の両サイドには、お洒落な感じのプチレストランやカフェ、絵画骨董品、土産物店などが並んでいて、けっこう賑わっています。



世界遺産に登録された Upper Town と比べると、訪れる観光客の数も少ない Lower Town では、最近観光客用のアトラクションを目的としてビルの壁に絵を描き出す Wall Painting (壁画)が増えてきているそうです。


大きなビルの側壁に画かれた絵で、1階のショウウィンドも真ん中の坂道も歩いている人物も全て絵です。両サイドの二つのビルをはさんで石畳の坂道がほんとうに続いているように見えます。正面中央に立っているのが唯一本物の人間、実は私ですが、画かれている人物はほとんど等身大です。
建物の内部をスケルトン風に描き出していて、住んでいる人たちの生活の様子が目に見えるようです。


ケベック・シティからモントリオールに戻る途中、車の中から見えた大平原の夕焼けがとてもきれいでした。




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