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    モロカイ島 (2008.6.6 〜 11)



ハワイ諸島の一つ、モロカイ島へはホノルルからプロペラ機で約30分。島の人口は7,000人ほどですが、その半数以上が島に代々住み続けている生粋のハワイアン(ネイティブ・ハワイアン)です。また、日本でも最近フラダンスが盛んになっていますが、モロカイ島はフラ(神の恵みに感謝して捧げる祈りの儀式)発祥の地として、知る人ぞ知る島です。



飛行機の窓から見たモロカイ島は、全体的に乾いた赤茶色で、起伏の少ない平坦な土地が広がっています。私たちが訪れた6月は雨の少ない乾期で、土地も乾き、草木の多くも枯れたように変色していました。

あとで島内を案内してくれたタクシーの運転手さんに聞くと、毎年1〜2月頃に雨が多く降り、何ヶ所もある貯水池には島民の飲料水として十分な量が蓄えられ、また灌漑用の川には水も流れ(私たちが見たときは干上がっていた)、草木ももっと緑豊かに繁っている、とのことでした。


モロカイ空港。飛行場の管制塔がモロカイ島では一番高い建物。ローカル色いっぱいで、昔にタイムスリップしたような風景。気持ちがホッと安らぎます。

モロカイ島の道路には信号機がありません。交通事故もないし、治安レベルも高く、島全体でも警察官は数名だけだとか・・・。


乗ったのはこの双発プロペラ機。50人ほどで満席。
尾翼に画かれたウクレレがいいですね!ハ・ワ・イ〜っていう雰囲気です。


空港からホテルへ向かう途中、土が赤茶色をした畠が点在しています。飛行機からも島全体が茶色っぽく見えたのは、畠の広がりだったようです。昔はパイナップル栽培が盛んだったはず。今はなにを栽培しているのでしょうか・・・?
モロカイ・ホテルの正面入口。モロカイ島で一番賑やかな町カウナカカイの外れにあります。客室は木造2階建てで、豪華さはないけどアットホームな雰囲気で落ちつけます。
島の西のリゾート地にはもう少し立派なホテルがあるらしいですが・・・。


ハラワ渓谷、モアウラ滝へのハイキング

(写真はクリックで拡大します)



モロカイ島の東端にあるハラワ湾 (Halawa Bay)。その小さな砂浜から山に切り込むように入っていく深い谷、ハラワ渓谷 (Halawa Valley)。その渓谷の一番奥には落差80mほどのモアウラ滝 (Moaula Fall) があります。

このハラワ渓谷は7世紀頃、モロカイ島で初めて人が住み着いた神聖な場所とされており、現在もその家系や伝統、文化を継いできている人たちが、タロイモ畠を耕し、パパイヤ、マンゴー、ココナッツなどが手を伸ばせば採れる豊かな自然の恵みのなかで暮らしています。



私たち一行のハラワ渓谷・モアウラ滝へのハイキング出発に先立ち、案内人のピリポさん(現在もハラワ渓谷に住んでいる一族の長)が、ハラワ渓谷とそこに住み続けてきた人々の歴史や文化について話し、またモアラウ滝ハイキングの安全・無事を祈願する伝統的儀式を披露してくれました。
ゆったりとした話し方のなかに、生粋のネイティブ・ハワイアンの人情味豊かで温かいアロハスピリットを感じました。印象に残った話を一つ、二つ紹介します:

(1)ピリポさんの祖母から伝え聞いている話として、150〜200年ほど前にはハラワ渓谷には500家族ほどが漁をして海の恵みを受け、タロイモ畠を広く耕し、渓谷からは果物などの自然の恵みを受け、教会や学校も建て、幸せに暮らしていた。1846年、大津波が襲来して村落は破壊され、多くの仲間が命を落とした。それ以降、村を去っていく人が増え、今は25家族が住んでいるだけと、涙ぐみ、声を詰まらせていた。

(2)昔は食料を融通し合い、隣の家の子供も自分の子供のように愛し、教え、叱ったりして全員が家族のようだったが、今では何でもがすぐにお金!お金!で気持ちのゆとりが失われてきている、淋しくなる。

(3)ハワイ語の「アロハ」には「こんにちは、さよなら、愛している」などの意味があり、相手の心に自分の気持ちを届ける言葉だから、特に最後の「ハ」は弱音になるくらいの優しさ柔らかさが望ましい。「さよなら」のときはアロハと言うより、「また会いましょう」という意味の「ア フイ ホ (a fui ho)」と言うほうが心が伝わる。


ハラワ渓谷に一歩足を踏み入れると、パパイヤ、マンゴー、ココナツなどの果実を実らせた大きな樹がたくさんあり、自然の恵みが豊富に手軽に得られるこの土地に人々が住みついた理由がよく分かります。

写真はパパイヤですが、1個のサイズは日本のスーパーで売っているパパイヤの2〜3倍の大きさです。歩いている道の際にあるマンゴーの大木は実が鈴なりで、熟れたマンゴーが
草叢にときどき落ちる音がバサッ、ボサッと聞こえてきます。拾う人が誰もいないので、腐る寸前の饐えた臭いが漂ってきます。


パンの木 (Bread Fruit)。我々が日常食している食パンと同じ食感だそうです。
ノニ(Noni)、実から花が直接咲いています。実はすり潰し、痛み止めなど、医薬品として使います。
ククイ (Kukui)。実から油脂分を抽出して、ローソクを作ります。また、実をすり潰し、染料として使用します。


歩きながら目を遠くへ近くへやると、きれいな花が疲れを癒してくれます。
ハイビスカス プルメリア


アフリカン・チューリップの大木がたくさん花を咲かせています。。
左の写真の、真っ赤な色をしたアフリカン・チューリップの花です。
これもアフリカン・チューリップの花で、こちらは鮮やかな橙色です。


プルメリア。きれいな花色です。
ヘリコニア
名前?でも、食べれそう。


主食にするタロイモの畠。葉は高さ1mほどの大きさです。
草叢や森が途切れるとココナッツ(やし)林が忽然と現れます。


「ハイキング」とはいっても、ハラワ渓谷は一般の人はほとんど立ち入らない場所なので、整備されたトレイルがあるわけではありません。案内人なしでは確実に迷子になるでしょう。
踏み倒された跡のある草叢の道を黙々と歩きます。
巨大なシダや棕櫚が生い茂っています。少し前を歩く人の後姿と比べてください。ジュラシックパークの世界です。


石を数段積み上げ、平で、四角形に近いこの場所は、「ヘイアウ(宮殿)」です。昔はここで神への祈りの儀式、生贄のお供え、あるいは仲間同士の争いごとの手打ち式、などが行われたとのこと。


モアウラ滝が近くなると、ごろごろと転がっている大きな岩の間をすり抜けたり、踏み越えたりのトレイルが続きます。岩場の下はモアウラ滝から流れ出ている川で、足を踏み外すとびしょ濡れになります。川といっても水深30cmほおどですが、私は濡れた岩場で滑り片足を川に突っ込んでしまいました。

写真中央、太い腕を差し伸べ、川を跨いで越えるのを手助けしているのは、ピリポさんの甥で案内役の一人です。彼は全行程を素足で歩きとおしました。「サンダルは持っているけど、値段が高いので、擦り切れないように、普段は履かず裸足で生活しているんだ」とのこと。


モアウラ滝。2段になって落ち、全体の落差約80m。轟々と流れ落ちる音が耳に気持ちよく響きます。
広い滝壺の水は、深い底まで見えるほど澄み清明です。

案内役のピリカさんの甥が、正面左側の岩壁下まで泳ぎ、岩壁をよじ登り、中ほどのやや窪んで見える高さから滝壺にダイブして遊んでいました。



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