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黒部峡谷トロッコ列車 
(2008.9.13)



今ではトロッコ列車という愛称で呼ばれている黒部峡谷鉄道は、もともとは急峻な谷間を流れる黒部川の電源開発(ダム、発電所の建設)のための作業員や資材輸送の専用鉄道で、「命の保証はしません」と書かれた切符で一般の人が便乗させてもらった時代もあったそうです。

今では黒部渓谷に毎年大勢の観光客が訪れ、トロッコ列車は黒部川に沿った急峻な渓谷を、宇奈月駅〜欅平駅間の約20km、平均スピード約16km/h、所要時間80分で走ります。


黒部峡谷鉄道の宇奈月駅。昭和12年(1937年)、前身の「黒部軌道」のときにに宇奈月〜欅平間が開通したそうです。
宇奈月駅前の道路にはトロッコ列車の飾りがついた街灯が並んでいます。


トロッコ列車の編成は、この電気機関車2両に客車が13両(数えてはいませんが・・・)ほど連結しています。
この写真は欅平駅で、隣の線路には発電所やダムへ資材を運搬する貨車がいました。
ガラス窓がつき雨や風を凌げる特別客車。割増運賃(1,000円弱だった・・・?)が必要。
普通運賃の一般客車。晴天の日は気持ち良いでしょうけど・・・。
黒部川電源開発の初期の頃の電気機関車(大正15年製、宇奈月駅前の黒部川電気記念館に展示されている)で、現在のトロリーバスに付いているような架電ポールを手動で上げ下げしながら走っていたとのこと。


トロッコ列車は、宇奈月駅から鐘釣駅までの約60分は、黒部川を進行方向の右手側に見ながら走ります。鐘釣駅から終点の欅平駅までの約20分は黒部川は左手側を流れますが、景色の開け具合・展望は右手側のほうが素晴しいです。

私は最初左手側の座席だったのですが、右手側に座られたツアー仲間の親切なご夫婦が席を譲ってくださり、お陰で写真をたくさん撮ることができました。感謝です!


宇奈月駅を出発して数分、両サイドがぱっと明るく開けると、緑を背景に赤色が鮮やかな山彦橋とその向こうに宇奈月温泉街の建物が見えます。


宇奈月ダム・発電所。後側から撮ってしまう恰好になりました。
宇奈月ダム湖。ちょっと白みがったブルーの水が奇麗です。


ヨーロッパ中世のお城のようですが、新柳河原発電所です。資材など積んだ列車は左手の橋を渡って建物の中に入るそうです。宇奈月駅を出て10分足らず、まだこの辺りは川幅も広く、ゆったりとした風景です。


出発して10数分、美しい渓谷の景色が続くようになりました。右手前の赤いものに注目!
赤いものの正体は「仏石」と呼ばれていますが、仏様の形に似た自然の石が岩場にあり、赤の頭巾とちゃんちゃんこが着せられています。


トロッコ列車の線路は急峻な山肌を削りえぐって敷かれている場所が多くあり、一方黒部峡谷は冬期には多量の積雪があります。そのため、雪崩などによる被害を防ぐため線路上に覆いを設けている(左の写真)ので、目の前を横切る支柱と支柱の間でタイミングよくシャッターを押す必要があります。

トンネルの数が多いのも矢張り線路を守るための雪害対策なのでしょう。右の写真はトンネルを抜け、続けて雪蔽いの下を走る様子がよく分かります。一部区間では冬期にはレールや橋脚を外し、トンネルの中や雪蔽いの下に保管するそうです。

写真には写っていませんが、線路に沿うようにトンネルで覆われた歩道が作られていて、列車が運行しない冬期には工事関係者が歩いてダムや発電所に行けるようになっているのには驚きました。


黒部川にはたくさんの支流が流れ込んでいますが、その中の一つを跨いでワイヤーの橋のようなものが架かっています。列車のスピーカーからときどき聞こえてくる説明では「猿が川を越えるための猿橋がある」と言っていたので、それではと思います。


出発してから20数分、沿線の中で最も深い谷に架かる後曳橋を通過。
谷の深さは60m、橋の長さ64m。


険しい谷間に造られた「出し平ダム」。高さは約80m。


写真は撮影した時間順に並べています。写しているときは些か興奮気味であまり意に介さなかったのかも知れませんが、こうやって振り返って写真を見ていると、トロッコ列車は段々と山深く入っていっている筈なのに、高く険しくなるだけではなく、水面が深い谷間だったり目線に近くなったり、川幅も狭くなったり幅広くなったり、千変万化なことに気付きます。


黒部川第二発電所。あとで聞いた話では、この右側の方に高さ200mの垂直に切り立った「ねずみ返しの岩壁」というビュースポットがあったそうで、見逃してしまいました。


黒部川に流れ込む支流もV字形の谷です。

デジカメの撮影時間データを見ると、左の写真を撮った2〜3分後に右の写真のシャッターを押しています。トロッコ列車が急なアップ・ダウンをしながら走った記憶はありませんが、水面が近くなったり遠く離れたり・・・。


今日の旅程の都合上、宇奈月へ戻るトロッコ列車の出発まで30数分の余裕しかないので、とりあえず奥鐘橋からの景観と、橋の向こうの人喰岩を見に出掛けました。


黒部川を跨いで架かる奥鐘橋。橋の向こうに人喰岩が見えます。その先は支流の祖母谷川に沿って名剣温泉へと道が続きます。


橋のたもとに何か動くものがいる!。慌ててカメラを向けると野性の猿です。このあと連写しましたが、猿の動きのほうが素早く、写っていません。
橋の下をのぞくと、岩場のような場所で食べ物を探している様子でした。


奥鐘橋から黒部川の上流をのぞむ。
祖母谷川の上流方面。右岸の斜面中ほどに人喰岩を抜けて名剣温泉へ続く道らしきものが見えます。


名剣温泉へ向かう道を岩壁をえぐり取って造ったのが、ちょうど人を飲み込むような形に見えるので「人喰岩」。道の左側は祖母谷川へと急斜面が落ち込んでいます。


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