Accident〜Cloud Side〜 『ピンチの時には助けに来てね??』 『うん、約束するよ。次に会う時までには、ソルジャークラス1stになって、皆を驚 かせてやるんだ!!』 ・・・・・そう言って故郷を出てきたのは何時だったか。 ソルジャーになるのは、はっきり言って簡単じゃなかった。 俺は、入社してから半年が経った今も、相変わらず冴えない神羅の一般兵で、する事と言えば雑用ばかり。 「今更・・・・・帰れない、よな。」 大見得を切って飛び出すようにミッドガルへ来た手前、やっぱり今更帰れる訳がある筈も無く、こうして地味な作業に徹してるんだけど。 「俺、何の為に出て来たんだろ・・・?」 はぁ〜、と深い溜め息を吐きながら、ブツブツと一人ゴチてみる。 別に今の雑用も嫌いじゃないんだけど、目標から大きくズレているのもまた事実で。 周りの奴等も、勿論”神羅の英雄”と言われているセフィロスに憧れて入社してる奴ばかりで、ソルジャーの適応基準もハードルが高いらしい。 俺だってセフィロスに憧れて出て来たけど、それだけじゃない。女手ひとつで育ててくれた母さんに、そろそろ楽をして貰いたいのも理由の一つ。 「ソルジャーだと給料高いし・・・・。」 それでも一向にソルジャーになれる気配も無いまま、時だけが過ぎて行く。 (そろそろ、ソルジャーへの道のりは諦め時なのか?) と、そう思っていた矢先、突如として”ヘンなヤツ”が現れた。 人付き合いって言うのは、元々得意とする分野じゃない。が、この”ヘンなヤツ”は、それでもお構い無しにドカドカと土足で踏み込んで来る様なヤツだったりする。 「なぁ。お前、新兵??」 「(何だよいきなり・・・。)・・・・・そうですが、何か?」 突然、肩を捕まれたと思えば、いとも簡単に体を反転されていた。 目の前には、異様に背が高く、キリっと上がった眉尻。加えて、意志の強そうな瞳とかち合った。そこら辺で言うと、”イイ男”の部類に入るんだろうな。 「何って・・・・・、特に用は無いんだけどさぁ。チョコボ頭が目立ってたもんで。」 「は!?・・・”チョコボ頭”って・・・!」 ・・・・・前言撤回。かなり失礼なヤツ。 「あ、怒った?悪気はねぇんだけど、お前の名前知らねぇし。」 ”ごめんな?”と両手を合わせて謝る。 謝るくらいなら、初めから言わなきゃいいと思うんですが。 「しっかし、見事なプラチナ・ブロンドだよなぁ。 ・・・あ!俺、ザックス。ソルジャー・クラス2nd。ヨロシクな!!」 自分をザックスと名乗ったその男は、俺の手を取るなり、ブンブンと音が聞こえそうな勢いで握手をし、人好きの良さそうな笑みを浮かべる。 (・・・・って言うか、ソルジャー!?こんな軽そうなのが!!??) 「で、お前は?」 (そうだよ、確かにソルジャーは魔晄を浴びてなるんだ。だから、瞳の色も人それぞれ 違うけど、魔晄混じりの色に変わるって聞いた事あったよな。) 「おい?」 (でも、この人の色は、どっちかっていうと”深い海”のイメージかな?もうちょっと 明るい色のイメージがあったんだけど。) 「・・・・立ったまま寝てるのか?」 そう言いながら、目の前で手をヒラヒラと振る。 その動きに釣られて、考え事に没頭していた頭が現実に戻る。 「はっ・・・・!えっ?」 「おいおい、大丈夫か?」 そう気遣いながらも、その顔は苦笑を浮かべていた。 「あ、はい。大丈夫です。」 「そか?ならいいんだけど。んで、話は戻すけど、お前の名前は??」 考え込んでてすっかり忘れてたけど、そう言えば、そんな話をしてたんだったっけ。 「・・・・・クラウド。クラウド=ストライフです。」 「クラウドか!!それじゃぁ、改めて宜しくな、クラウド!!」 「・・・・・はぁ・・・・?」 あの時、何が起きてるのか分からないまま流された感じがする・・・・。それからというもの、ある意味地獄の日々(?)が続いてる。 「おー、居た居た!!」 俺の胃痛の根源。・・・・って言うか、そんなトコから呼ぶなよ。あー、ホラ。周りの奴等の視線が痛いじゃないか!!とりあえず逃げてみるか?? 思考より先に体が拒否反応を起こしていたらしく、既に猛ダッシュでその場を離れていた自分に驚く所だろうか。 「えっ!?おい、何で逃げるんだーっ!!」 だから叫ぶなって! そんな事を思っている俺の願いも叶わず、好奇心たっぷりな視線が集まる。 それでなくても、たかが一般兵がソルジャーと”お友達”何て有り得ない事だっていうのに、それの心中を知ってか知らずか、あいつはいっつも余計な時に湧いて出てくる。 (もういいから、放っておいてくれないかな・・・・。) こんな事を考えながら走っていたのが悪かった。俺よりも当然走れば速いソルジャー殿。とうとう逃げ切れずに捕まってしまった。 「・・・・はぁ・・・・はぁ・・・。ちょ、離せって!」 「それは無理。お前、手ぇ離したらまた逃げんだろーがっ!」 流石にザックスも若干、疲れたように俺の腕を掴んだまましゃがみこむ。 そうまでして負ってくるか、普通?俺なら諦めるね。 「くはぁ〜、いきなりのダッシュはツライなぁ。・・・っつーか、何で逃げんだ?俺、何か気に触ることしたか??」 何か、親父臭い台詞を吐いてる様な気がするけど、そこは無視。 ホント、コイツはいつもそうだ。自己満足して、勝手に友達面して・・・・。一体何の得があるんだよ。 「なぁなぁ。何か気に入らねぇ事した?」 「・・・・・・・・・・・・アンタの存在そのもの??」 「・・・・・・それ、ちょっと酷くね?」 そう言いながらも、何が面白いのかケラケラ笑いながら、楽しそうだ。 それでも俺の腕を掴んだまま離さない。これから、毎日こんな生活なんだろうな。でも、こんなにぎやかな日常も悪くない様な気がするのは、ザックスの性格ゆえのものだろうか。 もしかして、俺ってアンタの人柄に騙されてるのか?? ≫Next Zack Side. |
n |