今年の夏は休みと天候が合わず、コロナの第7波が押し寄せた上に老犬の面倒が増えたりして、結局山に行けなかった。このままでは精神衛生上よろしくなく、8月最後の晴れ間を狙って苗場山に登ることにした。

　秋山郷の小赤沢3合目登山口の駐車場に夕方着き、さて寝る準備をと思って後部座席に移ったらザックがない。なんと準備を終えたザックを物置に忘れてきたらしい。唖然、呆然、愕然。
　クーラーボックスを積むのに気を取られていたのが、積み忘れた原因のようだ。パソコン用のショルダーバッグがあるので、それに食料などを詰めて登ろうかとも思ったが、雨具もないし無理をしてトラブルを起こしてもいけないので断念した。
　仕方なく明日は、時間があったら登ろうと考えていた志賀高原の二つの三百名山、横手山と笠ヶ岳に登ることにした。

　翌朝、朝日を浴びた鳥甲山を眺めながら来た道を戻る。ううっ、いい天気なのに。
　雑魚川林道をたどって志賀高原に登り返す。以前通った時は細い道だと思ったが、意外に幅員があり、ストレスにはならない。しかし、帰りは津南経由のつもりでいたので、まさか同じ道を戻ることになるとは思わなかった。

　志賀高原はスキーや山歩きで何度も訪れているが、最後に来たのが2002年の岩菅山登山なので、もう20年以上前になる。スキー人口も減っているので志賀高原のホテルなども潰れているのかもしれないが、パッと見にはどうだが分からない。

蓮池

　草津へのワインディングロードを上っていくと横手山ドライブインのところで展望が開けた。目の前に志賀高原のシンボル笠ヶ岳が綺麗な三角を描き、その左手には北アルプスの峰が雲海の上に延びている。
　志賀高原に来るときは天気が良くないことが多く、こんなに展望が利くのは初めてだ。

　槍ヶ岳のあたりに少し雲がかかっているが、穂高から白馬までずらりと見える。鹿島槍ヶ岳の右肩には剱岳が、左肩には立山も覗いている。
　笠ヶ岳の右手には高妻山や妙高山など北信の山々がこれも雲海の上に頭を出している。

笠ヶ岳の右に高妻山

　充分展望を楽しみ、車を渋峠まで進める。ここから山歩き。とは言っても標高差150ｍである。
　そばのリフトに乗る観光客もいるが、意外に歩いて登る人も多い。

　ゲレンデの中の踏み跡を登っていくが、すぐに息が切れた。甘く見てペースが速かったのか、空気が薄いのか。久しぶりにゼイゼイ言いながら登ることになった。
　振り返ると浅間山と四阿山がシルエットになって雲海に浮かんでいる。

リンドウ

　傾斜が緩くなったところで左手の樹林に入ると山頂三角点に到着。30分かからずに山頂に着いた。お手軽名山である。少し離れたところに最高地点があるらしく、ここの三角点の標高は2305ｍになっている。
　ここからも笠ヶ岳と北アルプスがよく見える。ドライブインよりも標高が上がっているので、笠ヶ岳の頂の上に北アルプスが横たわっている。改めて、いい眺めだ。

　三角点からさらに進むとリフトの終点の広場に出る。志賀高原側からのリフトも上がってきていて、レストランやヒュッテもあり、観光客にとっての山頂はここになる。
　志賀高原からのリフトの建物の裏側に展望デッキがあり、ここからは高原全体が見下ろせる。熊ノ湯や横手山のゲレンデが眼下に広がる。北信五岳の方角はかなり雲がかかってきた。

展望デッキ

　せっかくここまで来たので、パンの有名な横手山頂ヒュッテに寄る。一番の人気メニューは「きのこ雲スープ」らしいが、食事をするほど腹は減ってないので、コーヒーとアップルカスタードのパンを注文する。窓際のスツールで笠ヶ岳を眺めながらしばしノンビリ。平日にもかかわらず、そこそこ客の入りは良い。
　昔、親父とお袋がドライブ旅行の途中にこのヒュッテに泊まり、パンが美味しかったと後々まで言っていたのを思い出す。

岩菅山

　下山はリフト沿いを渋峠に戻る。横手山なので「私をスキーに連れてって」の「ブリザード」を鼻歌で歌いながら。

　さて、次は笠ヶ岳へ。

笠ヶ岳へ