白木峰( しらきみね)                           [白山周辺] 1596m 

 

 大門山、赤摩木古山から

 奈良岳を諦めて早目に大門山から下山したので、白木峰山麓の21世紀の森キャンプ場に着いたのはまだ3時半過ぎだった。手持ちの食料が少ないので、キャンプ場下の食堂(大長谷ふるさとセンター)で食事をしてキャンプ場の駐車場で車中泊するつもりだったが、時間があるので登山口まで様子を見に林道を登ってみた。
 林道は舗装はしてあるもののほぼ1車線で、すれ違いには少々苦労する。おまけに終点近くの路面には小さな落石が散乱しているが、それでも皇海山の林道に比べればなんてことはない良い道である。
 林道終点の登山口の駐車場には難波ナンバーのワンボックスが止まっていて、中年の夫婦連れが車のそばでコンロを出して調理をしていた。聞くと、登り始めたがガスってきたので今夜はここで車中泊するとのこと。「トイレもあるし、寂しいので一緒に泊まろう。」と誘われて少々迷ったが、やはり下に戻って、明日登り返すことにした。
 ところが、林道を下って山麓の食堂に行ったらもう閉店しようとしていた。なんとかお願いして、「御飯がないのでうどんかラーメンなら」と言ってもらい、うどんを作ってもらうことができた。コンビニなど望むべくもない所なので、危うく晩飯抜きになるところだった。

 翌朝、再び林道を上がっていくと、ちょうど昨日の夫婦連れが出発するところだった。昨夜は星がきれいだったとのこと。ただ、今朝はまたガスが懸ってしまっている。

 林道は山頂まで続いているが、駐車場の先で車両は通行止め。歩くことはできるが、駐車場横の登山道の方を登る。

登山口の駐車場  (下山後に撮影)

 

 登山道はいきなり階段で、黄葉のトンネルをくぐっていく。タカノツメ、リョウブなどの黄色が鮮やかだ。
 10分程登ると車道に出て、少し車道を歩いてまた登山道に入る。ブナの茶色や黄色主体の中に、ナナカマドの実やハウチワカエデの紅葉の赤が彩りを添える。

 もう一度車道を横切り、少し登ると高木がなくなり、山頂の一角にたどり着く。車道終点の空き地の横を抜け、小白木峰への分岐を右に分けると、もう白木峰の山頂だ った。

いきなり階段

 

ナナカマドの実

 

ハウチワカエデ

 

 山頂はガスの中。展望図がはめ込まれた石の大きなテーブル、ベンチがあるがもちろん展望は利かない。一休みしてこの山の最大の見どころである 「浮島」に向かう。

 山頂一帯は起伏のある台地のような感じで、一面笹に覆われ、その中を木道が伸びている。白木峰山荘への分岐を左に分けてなおも進むと、急にガスが切れてきた。
 視界が開けると、想像以上に山頂が広いことに驚かされる。ガスの切れ間から射し込む陽射しに反射して、白く光った木道がずっと先まで続いている。

白木峰山頂

 

浮島方面へ木道が続く 三段の池とナナカマド

 

 笹原の中に所々背の低い木が生えている。風雪の厳しさを物語る矮性のブナで、その幹の白さからこの地方ではブナをのこと「シラキ」と呼び、山の名前となったと言われている。
 ブナの他にナナカマドや灌木のツツジ類も生えている。

 先行の夫婦連れとすれ違い、20分程で浮島に到着。浮島の池塘は予想以上に小さいが、それでも雰囲気は北国感を十分出している。こじんまりして落ち着いた空間、と言っていいと思う。

矮性のブナ

 

 山頂一帯は夏にはニッコウキスゲを始めとして様々な花が咲き競うそうだが、今はもう池塘の縁にイワショウブの枯れた花殻が風に揺れているだけ。青い空と金茶の浮島のコントラストを期待していたのだが、流れる雲を映す池塘もなかなか風情がある。

浮島の池塘 逆光の浮島

 

イワショウブの花殻 池塘

 


 浮島からは木道を戻る。下山は山頂を通らず、木道を白木峰山荘の方にたどり、山荘脇の車道をぶらぶらと下る。車道からは雲の切れ間に山腹が見下ろせるが、一面の紅葉である。白木峰の標高が約1600mなので、1300m付近が紅葉の最盛期のようだ。
 しばらく車道を歩き、再び登山道に戻って下る。駐車場に戻ると、もう夫婦連れの車はなく、カメラを持った若い女性の二人連れが出発するところだった。こちらは金沢ナンバー。気軽に登れる割には変化に富んだ、いい山である。
 

林道わきの山腹のパッチワーク

 

車道から尾根道の登山道に戻る

ブナ林の紅葉

 

名残のアキギリ

 

 ところで、実は白木峰に登りに来たのは2回目で、前回は2003年の9月だった。その時は、飛騨古川からR471を北上して登山口を目指したのだが、国道が途中で通行止めになっていてたどり着けなかった。
 今回は事前に岐阜県、富山県の道路管理部局に電話して通行できることを確認してから出発したのだが、それでもこの県境の区間は基本的に一車線の谷沿いの道で、通行には少々不安があった。アプローチは大門山に寄った関係で、北から入ることになったが、下山後はこの県境越えのルートを南下した。

 R471は谷沿いの斜面が紅葉真っ盛りで非常にきれいだったが、やはり道は狭く、ガードレールもなく、運転に非常に気を遣った。だが、一応舗装はしてあるので、それなりに走ることはできる。
 幸い狭い区間ですれ違った車は2台だけで、なんとかなったが、ウィークデイとは言え、国道を20キロ近く走って対向車が2台だけとは、これも驚きである。

R471沿いの紅葉(飛騨市河合町の楢峠北あたり)

 

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[山行日] 2016/10/20(木)
[天気] ガスのち曇り          2016年10月の天気図
[アプローチ]

19  ブナオ峠P 11:40 (県道54号、R156)→ 12:10 菅沼合掌集落(昼食)13:25 13:30  くろば温泉14:15 (R156、新山の神トンネル)→ 利賀村 (県道34号、R471)→ 富山市八尾町・21世紀の森キャンプP 15:35    [約62km]

20日 5:50 21世紀の森キャンプ場P →(大谷林道 )→ 杉平八合目P6:20 [約8.6km]

    ・20台くらい駐車可。バイオトイレあり。

[コースタイム]
         
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:50 6:40 杉平八合目P発(1334m)   12℃
6:55 最初の車道    
7:15 二番目の車道    
7:30 白木峰山頂(1596m) 0:05  
0:25 7:35  
8:00 浮島 0:20  
1:05 8:20  
8:50 白木峰山荘    
9:15 車道から登山道へ    
9:25 杉平八合目P着(1334m)   全行動時間
2:20     0:25 2:45
登り 1:15        
下り 1:05        
[帰り道]

20日  杉平八合目P →(大谷林道 )→ 21世紀の森キャンプ場 →(R471)→ 岐阜県飛騨市古川町 →(県道90号)→ 東海北陸道・飛騨清見IC    [約62km]

[地図] 白木峰 (1/25000)

 

[風景印] 坂上局
 (岐阜県飛騨市宮川町林65-2)

・図案
  白木峰、青少年旅行村、ミズバショウ