奥大日岳( おくだいにちだけ)                      [北アルプス] 2606m


剱岳から続く

 剱岳登頂の翌日、足の筋肉はバリバリだった。宿の階段を下りるのが大変。あわてて、ストレッチングを始める。
 計画では大日三山を縦走したあと大日平を抜け、称名滝に下りる予定だが、6月始めに大日平から称名滝に下る途中で土砂崩れがあり、通行止めになっていた。そのため、登山道の安全性 が確保できないということで、大日平山荘は今季休業になってしまった。しかし、今は復旧していて、多少不安はあるものの、なんとか通行できるらしい。
 幸い、ストレッチングが利いてそれなりに歩けそうだ。Tuさんと相談して、とりあえず奥大日まで行って、それから考えることにして出発。

 今日もいい天気。立山が屏風のように立ちあがっているので、雷鳥沢のキャンプ場にはまだ朝日が射していない。沢を渡り、木道を通って、昨日下りてきた道を新室堂乗越まで登り返す。右手の広い斜面はチングルマの ボサボサ頭で埋め尽くされている。花の時期にはさぞ壮観だろう。
 雷鳥沢の対岸には昨夜の宿のロッジ立山連峰が朝日を浴びていて、風がないのか、背後の地獄谷の噴気が真っすぐ上がっている。

地獄谷の噴気が上がる
 

  稜線まで上がると奥大日が見える。稜線を進み、室堂乗越まで来ると剱岳もよく見える。奥大日も剱もどちらも既に雲が掛かり始めている。今日はガスるのが早そうだ。昨日より天気は悪いようだ。

奥大日岳(右奥)
 
剱岳
 

 道は歩きやすく、天狗平や弥陀ヶ原の方の展望 も良く、気分がいいい。登山者も多く、人気のある山らしい。室堂からピストンするには手ごろな距離なんだろう。

 2511mのピークを越えると少し下り、それから、トラバース道になる。奥大日岳の最高点は三角点手間のピークにあり、それをトラバースしていく。再び稜線に出ると。奥大日の三角点はもう目の前。最高点の方は ここから戻るような形でピストンになるが、ガスが湧いてきたのでカット。ちなみに最高点は2611mで、三角点より5mほど高い。

ウラジロナナカマド。背後は天狗平。
 

 山頂まではわずかな距離だが、この間は花が多い。もう花の最盛期は過ぎてしまっているはずだが、咲き残ったハクサンフウロ、シナノキンバイ、ウサギギク、ミヤマダイモンジソウ、ヤマハハコ、タテヤマリンドウなどが彩りを添えている。さすが「花の百名山」である。

ハクサンフウロ

奥大日岳山頂 大日岳への稜線

 奥大日岳の山頂は剱岳の絶好の展望台なのだが、笠雲のような感じで雲が掛かり、山頂は見えない。ガスもかかって、時折輪郭が分かる程度。残念だけれど、昨日しっかり見たから、まあいいか。これから向かう大日岳の方も、ガスが右手の谷から流れてきて視界が遮られるが、ガスの切れ間にちらりと大日小屋の屋根が見える。
 脚の調子もまずまずなので、大日岳目指して進むことにする。

 奥大日からの稜線の道は変化に富んでいる。まずは、岩場の急な下り。所々、鎖場もある。その先は二重稜線になっていて、窪地に水がたまり池のようになっている。道はその窪地の中を通る。

 ちょうど、向こうから団体さんが来て、池の岸辺ですれ違う。団体さんから声がかかって、「あなた、おととい剱御前小舎にいたでしょう。」と言われる。団体さんは昨日大日小屋に泊り、また室堂目指して戻ってきているようだ。称名滝に下るより、この長い稜線を戻った方が楽なんだろうか、とちょっと心配になる。

カライトソウ
 

 確かに、奥大日の山頂はずいぶん賑わっていたが、そこから先に進むグループはぐっと少なくなっている。稜線の先に3人連れのパーティーが1組見えるだけだ。

 ふと、下山後の称名滝から立山駅への終バスの時刻が早かったことを思い出した。メモを引っ張り出して確認すると、やはり16:35が最終だ。ガイドブックのコースタイムで行けばなんとかなりそうだが、称名滝を見に行っている時間はなさそう。ちょっと焦る。

ベニバナイチゴの実
 

 道は小さなコブを幾つか越え、ふたたび岩場の登りになる。その岩場を越えると、急に草原が広がった。伸びやかな明るい稜線になった。

 草原の先にはまた岩場があり、それを登ると七福園。花崗岩の大岩が立ち、間をハイマツが埋め、日本庭園のような趣きだ。 七福園の先はまた広い草原。木道が敷かれていて、なだらかな丘に続いている。これが中大日 岳だろうか。

七福園
 

 中大日のピークで休もうかと思っていたが、山頂らしい山頂がなく、道はそのまま大日小屋への下りになってしまった。仕方がないので、ハイマツの道をくぐり大日小屋の前で昼飯にすることにする。
 長い板を渡したベンチで、宿の弁当を食べるが、目の前は白いガスが流れるだけ。展望は利かず、隣にあるはずの大日のピークもよくわからない。登っても何も見えないだろし、時間もないことなので、大日のピストンもパスすることにする。

 ここからは、ひたすらの下り。と思っていたが、しばらくは大日岳の山腹をトラバースしていく。岩が多く歩きにくい。トラバースが終わると、ジグザグにどんどん下っていく。単調な道がいやになり始めた頃、水場が現れ、ほっと一息。ペットボトルの水を冷たい沢水に入れ替える。抹茶ミルクをつくると、これまた冷たくて甘くてうまい。
 

 再びどんどん下ると、しだいに傾斜が緩くなってきて、大日平の端っこに出る。ここも木道が敷かれていて、岩だらけの山道より格段に歩きやすい。
 大日平は湿原かと思っていたが、ほとんどが笹原で、ところどころシラビソのような針葉樹が生えている。湿地は、大日平山荘近くのわずかだけで、乾燥が進んでいるようだ。

 大日平山荘は休業中だが、人はいるようで、飲み物などの販売はしている。この山荘は風呂もあるらしいので、ここでもう一泊できたら楽なのに残念だ。

大日
 

 大日平山荘の先も木道。これが延々と続く。いくら歩きやすいとはいえ、これだけ長いと、膝が疲れてくる。

 木道が終わると、急に道が険しくなる。右手の沢が近づいてくるし、左手の谷も迫ってきて、馬の背のような尾根歩きになる。梯子がいくつか現れ、樹の根をつかんで高度を下げると、狭い鞍部のような牛の首に降り立つ。馬ではなくて牛だった。

イワショウブ

 ここからは、また、ひたすらの下り。途中、土砂崩れの現場を通ったが、狭い踏み跡ながら道が復旧していて、落石を注意しながらではあるが、そんなに心配するほどのことはなかった。

 道はしだいに、落葉樹の森の中を下るようになる。下るにつれて、どんどん暑くなってくる。 下界が近い。
 目の前の悪城の壁がしだいに高くなっていき、称名川の川音が大きくなったと思ったら、急に舗装道路に出た。称名滝への遊歩道の途中で、ここは昨年秋に来たので見覚えがある。がんばって歩いたので、まだ、終バスの時間まで30分以上あり、称名滝を見物する余裕があった。

 バス停に近づくと、雨が落ち始めて、慌てて、バス停前の建物の庇に入る。
 また、今日も雨具を出さずに済んでしまった。

称名滝

 

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[山行日] 2010/8/29(土)
[天気] 晴れのち曇り
[コースタイム] 6:30 ロッジ立山連峰 (1:05) 室堂乗越 (0:30) 2511mピーク (0:40) 奥大日岳山頂 (0:45) 2409mピーク先の鞍部 (0:35) 七福園 (0:20) 大日小屋 (0:50) 水場 (0:40) 1820m付近 (0:30) 大日平山荘 (0:40) 牛ノ首 (1:05) 登山口 (称名滝ピストン0:20)(0:10) 称名滝バス停 16:20  
(計7:50)
[帰り] 称名滝 16:35→ (称名滝探勝バス、500円) →16:55 立山駅前
[地図] 剱岳、立山 (1/25000)

 

[温泉] ゆーランド
・立山町の「グリーパーク吉峰」の中にある、温泉施設。宿泊もできるらしい。
・600円/人。10:00〜21:00。
・露天風呂もあるが、外が見えない。
・土曜日の夕方ということで、非常に込んでいた。