沼原湿原( ぬまっぱらしつげん)                   [関東] 1230m

 

那須岳から続く

 那須岳から下りてきて、まだ天気が持っているので、沼原湿原に向かう。
 那須湯本温泉の坂道を下り、一軒茶屋前の交差点を右折。県道266号で高原を横断し、那須ハイランドゴルフ場の手前で右折。ここに沼原湿原の標識がある。別荘地を過ぎると道はダートになり、落葉樹の森をくぐっていく。山の中とは思えないやたらに広い直線道路が現れると左に沼原調整池のゲートがあり、その先に広い駐車場があった。
 駐車場には10台ほどの車が止まっている。

 ミズナラの林を緩やかに下り、途中から直線的な階段を下ると湿原に到着する。駐車場から1Kmくらいか。

 入口の案内標識でルートを確認し、左回りに湿原の下手から回ることにする。すぐに木道になり、湿原の一角に出て視界が広がる。 
 予想外に広々とした気持ちの良い湿原だ。

一番広い湿原
 

 東は那須の山々、西はもう少し低い丘が並び、盆地状の地形になっている。南側は揚水式のダムの沼原調整池の堤防が迫っている。

 入口近くが流れの下流になり、池なのか池塘なのか分からないが、水面が多い。
 水際に枯木が立っているところを見ると、水面の上昇する時期があるのだろうか。

 

池なのか池塘なのか
 

 ニッコウキスゲの群落が有名らしいが、すでに花期は過ぎているようで、キスゲの花は1本もなかった。
 そのかわり、緑の湿原のあちこちにピンクのシモツケ(アカバナシモツケソウ)が咲いている。栃木県は下野の国。その名前を頂いているのだから、こちらを代表する花なんだろう。

 シモツケ
の他にはチダケサシが多い。コバイケイソウは葉っぱばかりだ。

アカバナシモツケソウ チダケサシ
 

 あちこちの湿原を回っているが、ここはなかなか気持ちがいい。花が多いし、広いところ狭いところ、水の流れなど変化がある。

 那須の御用邸に近いということもあり、植物好きの昭和天皇がよく足を運ばれたそうで、最近では皇太子殿下が妃殿下を伴われて訪れられたそうだ。
 今日も木道を歩いていると、身軽な格好の観光客のグループとすれ違う。

花の多い湿原
 

 大きな湿原が尽きた所に分岐があり、右に行くと入り口近くの休憩所に戻る。
 まっすぐ進むと灌木に囲まれた小さな湿原に出る。小さな流れが回りの森から流れ込んでいて、複雑な縁取りをしている。池を覗きこむとオタマジャクシがたくさん泳いでいる。
 ここも気持ちのいい場所だ。小さなベンチがあるので一休みしてお茶を飲む。

小さな湿原と木道
 

湿原の中の流れ
 
コオニユリ
 

 
 小さな湿原を幾つか過ぎると、湿原から林の道になる。木道はまだ続いている。

 ルートの一番奥に三斗小屋温泉への分岐がある。林の中の道を入口の方に戻っていくと、もうひとつ三斗小屋温泉への分岐があった。先の分岐の道は昔の会津街道で、こちらの分岐の道は南月山や茶臼岳の山腹を巻いていく山道のようだ。
 昔の街道はこんな山の中を通っていたのかと驚いてしまうが、徒歩が主体の移動では、多少の上り下りよりも、最短距離が有利だったのだろう。今の道は山地を迂回するか、トンネルで抜けてしまうが、昔は峠越えがあたりまえだったのだろうな。

コバノギボウシ
 

 ぐるっと一周するだけなら30分ほどだろうが、ゆっくり花を探しながら、写真を撮りながら2時間近くかけて回った。
 ほんと、いいところだった。山歩きを短縮して来た甲斐があった。

シシウドの花
 

 

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[山行日] 2010/7/31(土)
[天気] 曇り
[アプローチ] 那須ロープウェイ山麓駅→(県道17号、県道266号、林道)→沼原湿原駐車場    [約23km]
・無料の広い駐車場(未舗装)あり。
 
[参考web] 黒磯観光協会公式HP 「沼原湿原」