舟伏山(ふなぶせやま)                             [奥美濃] 1040m 

  

 先月、雪の木曽駒に登ることができ、これなら春の燕なら登れるかも、と思って計画し ていたのだが、あいにく天気は悪い。「無理は禁物」と日帰りの山行に変更し、同行予定だったNom君と奥美濃の舟伏山に行くことにした。
 舟伏山は2001年に一度登っている。この時は5月中頃で、新緑が美しく、ルイヨウボタンやニリンソウなど花も多くて、とても満足した山歩きだった。しかしながら、この山の一番有名な花はイワザクラであることを下山後に知り、いつかまた、 それが咲く頃に登ってみたいと思っていた。

 天気予報は晴天だったが、登山口の駐車場から見上げた舟伏山の山頂部は雲に覆われていた。上空に冷たい空気が入ってきていて、不安定な天気だろうとは思っていたが、 こんな曇天は予想していなかった。どうも最近天気に恵まれない。
 山頂からの眺望は期待できないが、今日のメインは花なのでめげずに出発する。いつもはコンパクトカメラだが、花を撮るために久しぶりに一眼レフを持ってきた。
 舟伏山は周回コースになっていて、東回りでも西回りでも登れるが、登りにイワザクラの群生地を通る東回りコースで登ることにする。

 

伐採地を登る

 

ニガイチゴ

 

 登山口周辺は大規模に伐採されていて、放置された枝や細い幹が谷筋に散乱している。前回登った時はよく手入れされた杉の植林地だったが、伐採の時期がきたらしい。
 この辺りは美山杉というブランド杉の産地であると、前回の山行の時に同行者に教えてもらった覚えがある。伐採地の風景は寒々しいが、日本の林業がまだ経済的に成り立っていることにホッとする気持ちもある。
 どんどん高度が上がって、谷底の駐車場がみるみる小さくなっていく。遠くでアカゲラが鳴いている。

伐採地から見る舟伏山

 

 伐採地を抜けると杉林の尾根に上がり、少し進むと石仏のある桜峠。その名の通り山桜が咲いているが、少し元気がなさそうに見える。
 ここからは落葉樹林の山腹をジグザグに登っていく。まだ樹々は芽吹いたばかりで、枝先にわずかに緑が見えるだけ。陽射しがあれば明るい林で春らしさを感じられるのだろうが、残念ながら空は相変わらず暗い。

桜峠の十峰施玉仏

 

ヒトリシズカ

 

芽吹きの雑木林

 

 みのわ平に近づくと雑木林の林床に早春の妖精たちがちらほらと現れる。小さな花たちなので、その気にならないと目に留まらないが、それぞれが魅力的だ。ヒトリシズカ、キランソウ、様々なスミレ。小さな春色の競演。

マルバスミレ

 

みのわ平

 

フイリシハイスミレ

 

 ガイドブックによれば、みのわ平はカタクリの多いところらしいが、あまり見当たらない。カタクリの葉っぱはたくさん見かけるのだが、花が咲いていない。
 時期がまだ早いのか、それとも今年は外れの年なのか。たまに花を見つけても、陽が当たっていないので花びらをすぼめている。今年の初カタクリなのに残念。

カタクリ

 

エイザンスミレ

 

木の洞に咲くタチツボスミレ

 

 みのわ平からなおも雑木林の斜面を登り、左に水たまりの標識を分けると、いよいよイワザクラの群生地。離れたところから見ると、石灰岩の岩場にしがみつくようにピンクの花がそこここに咲いている。
 花の盛りからは少し過ぎたようで、花びらの縁がやや白っぽくなっているものもあるが、それでもサクラ色が華やかだ。 
 よくよく見れば、こんな岩の割れ目によく生えているなあ、と感心するほどの環境で、健気としか言いようがない。岩場に生える植物は少ない水分でも生きていけるように、固い葉を持ったり、棘が生えてたりするイメージがあるのだが、イワザクラは花も葉も優しげで、目の前の光景が信じがたい感じがする。
 

 

イワザクラ

 

イワザクラ

 

イワザクラ

 

イワザクラ

 

 イワザクラの群生地から少し登ると、山上台地の一角に登りつく。周りにやたらバイケイソウの明るい緑の葉っぱが目立つ平らな道を、イワザクラの満足感に浸りながらふらふら行くと、三角点のある山頂に到着する。
 山頂は裸地が広く広がっていて、殺風景な感じ。前回の山頂の記憶ははっきりしないが、もう少しこじんまりしていたような気がする。
 山頂はギリギリ雲の中に入ってしまっていて、展望はない。前回は北側に雪の残る能郷白山がきれいに見えたのだが、残念ながら今日は何も見えない。かなり周りの木が大きくなっている感じで、見えたとしても藪越しの眺めかもしれない。

山頂の三角点

 

 山頂の一角で昼飯を食べている間、先着していた3人連れが下山していき、高齢の夫婦が登って来ただけで、他に登山者は見かけなかった。駐車場の車からするともう少し登山者を見かけても良さそうなのだが、同じ方向に回っているので出会わないのかもしれない。

 

小舟伏山への稜線

バイケイソウの葉

 

 食事を終え、下山は西回りコースを下る。
 しばらくは尾根道で、先ほどと同じようにバイケイソウとヤブレガサの間をゆく。少し登って小舟伏山を越えると、落葉樹林の山腹をつづら折りで下るようになる。
 この辺りも、空が木々の葉でふさがれる前に太陽を浴びておこうと、林床に小さな花たちが咲いている。 

キランソウ

 

フデリンドウ

一輪しか咲いていないけれどニリンソウ

 

 ジグザグ道をひたすら下って傾斜が緩くなったところが乗越。ガイドブックには阿弥陀仏があるということだったが、石囲いがあるだけで中は空っぽ。盗まれてしまったのか、それとも盗まれる集落に下ろしたのかは分からない。

 ここから登山道は左手に湿った斜面をトラバースして小尾根に渡り、それを下るようになる。周りはヒノキの植林地に変わり、右手がガレ落ちているところもある。
 尾根が尽きて沢に出ると、急に明るく感じられる。落葉樹に囲まれた沢の中を下っていくとミソサザイが大きな声で歌っている。小さな木橋を渡って登山道から伐採用の広い作業道に出ると、駐車場はすぐだった。

 

ボタンネコノメソウ

明るい沢

 

 

舟伏山ルートマップ


[山行日] 2019/4/22(火)
[天気] 曇り        2019年4月の天気図(気象庁)
[アプローチ] 東海環状・関広美IC (R418号)→ 谷合 →(県道200号、林道 ) → 舟伏山登山口駐車場     [約34km]
      
・登山口には広い駐車場、トイレ、登山届ポストがある。
[コースタイム]  
  行動時間 発着時刻 地点名 休憩時間  
0:45 8:40 舟伏山登山口駐車場 発 (350m)   14℃
9:25 桜峠 (620m) 0:05  
1:15 9:30  
9:55 みのわ平 (800m)    
10:45 舟伏山山頂 (1040m) 0:40  
1:20 11:25  
12:25    
12:45 舟伏山登山口駐車場 着   全行動時間
3:20     0:45 4:05
登り 2:00        
下り 1:20        
 
[地図] 谷合(1/25000)

 

[温 泉]

武芸川温泉  <関市武芸川町八幡1558-7>
・日帰り温泉施設。630円。この料金で岩盤浴も利用できる。食堂もあり。
・広い浴槽。かなり収容できそう。
・露天風呂も広い。

[風景印] 北山局
 (岐阜県山県市神崎311)

・図案
  雨乞い太鼓踊り、舟伏山