ノエルがみゆきのもとに旅立って、私を待つ者が居なくなってしまいました。
ノエルがいた時には釣行に行ってもノエルが待つ家へ早く帰ろうという気持ちが強くてイブニングは殆ど
やらずに帰ることが多かったのです。
私の釣行はみゆきが生きていた頃では終わりは3時、ノエルだけになってからは5時でした。
さすがにノエルが年老いて足腰が弱くなってからは母に散歩を手伝ってもらいましたので、一泊釣行も可
能になりましたが、それでも2日目は家路を急いだものです。

 

私にとって世話をする対象がいるということは生きる活力になっていました。
ノエルがいなかったら一週間でも10日間でも釣行旅行が出来るのにと思ったことはありましたが、実際
そうなってみると、とてもとても、釣り自体が軽い存在になってしまいました。
やはり、私にとっての生きがいが必要だと思いました。


新しい家族、アークを迎えることにしました。
名前の由来は”アークトゥルス”から取りました。
”アークトゥルス”とは牛飼い座の一等星で、ギリシャ語で「熊を番する者」という意味です。
ボーダーコリーの彼には一番似合っていると思いましたが、”アークトゥルス”では呼びにくいし誰も覚えて
くれなさそうですのでアークにしました。

この”アークトゥルス”、実はもっと深い意味があります。
みゆきがこの世を去った時、病室の東向きの窓から今まさに上がり始めたオレンジ色の明るい星が見えま
した。その並びにあるおとめ座の「スピカ」よりも明るい、全天空で3番目に明るい星です。
最初は”アークトゥルス”という名前も知りませんでしたので、「みゆき星」と呼んでいました。
この「みゆき星」は2月の日のみゆきが逝った時刻に東の稜線から上がり始め、麦の収穫時期の夕方に天
空の真ん中で輝くことから日本では「麦星」という和名がつけられました。

ノエルは妻と再会して喜んでいるでしょう。
私もアークと、また新たな生活に活路を見つけたいと思っています。

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