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「冬の名俳優」
「教室の春」
「色づく」
「教科書に載る生活様式」
「底に沈むコショ−」
「写真展」
「雛人形 最強!」
「春になれば」
「言葉という雪像」
「起きれない寒い朝」
「あなたも」
「思いだせない人」
「冬の傘」
「歌 優しさ」
「君の夜泣き」
「雪で出来たワンちゃん」
「分かってない?」
「恋の歌」
「うたた寝」
「雪 雪 雪」
「だらだら」
「さいかげ」
「積み木遊びってどうやるの」
「今どきの電話の置き台」
「タチのテレパシー」
「つたに私の名を」

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「冬の名俳優」

自撮り棒が
壊れたらどうすると
雪像に聞いたら

壊れ捨てられた
使い捨て傘の
横にそっと置く

って

やはり君は素敵な

冬の名俳優

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「教室の春」

除雪の必要な所には
教室は作らない

屋根からの雪どけは
窓側に春の音

教室奥は今だに
見聞きした
昭和初期の茶色に
埋もれ

勇気を出して
にぎろうとしたら

薄茶色を
にぎってしまった

なにを
握りたかったのか

高校生

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「色づく」

足袋が好きでなった
着物屋さん

色のついた
アクリルの透明さに
心を奪われる

足袋が いろいろに色づき
ちょっぴり恥ずかしくなるほど

思い出をも
さらけ出してしまう
アクリルに
囲われ


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「教科書に載る生活様式」

晩ごはん前なのに

ちゃぶ台返しで
日は沈んでゆく

パン屋さんのない町
の朝が明けてゆく

朝ごはんの時間

まだまだ寒いので

地中深く〜

も〜っと

深く〜

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「底に沈むコショ−」

食べ終わった
どんぶりの底に
沈むコショ−

ラ−メンはやはり
ホワイトコショ−でしょ

ありがとうと伝えたい

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「写真展」

明かりの灯る
小さな白球たちが

枯れた木にも
広げた手のひらにも

空から ゆらゆら

すでに
あなたたちが主役

その向こうの石蔵の景色はキャンバス

奥深い

この冬

そんな写真を広げてくれる

天使が

舞い降りる

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「雛人形 最強!」

貝殻で出来た 風鈴の音

磯の季節

今聞くとは思わなかった

ほど 珍しくはないのに

めざまし時計の勝ち

その前に雛人形

まだ一月前

すでに最強!

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「春になれば」

足首が痛いって

そう

古い民家をやっと探せた時

その前でする ポ−ズ

窓のない方にまわっては  不審者

西日専用の窓の下で癒されてると  やはり不審者

わたくし
縁側好きなんですが?!

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「言葉という雪像」

細長く降る雪で
出来た雪像

その先がどんどん細くなれば
やはり終演

どなたか

ストンとはまる言葉は
それだけで この雪像の
題名にもタイトル曲名にも
なれますよ

なにかどうぞ

やがて口ぐせになり
歌えるかもね


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「起きれない寒い朝」

明日の寒い朝だけでも
温めてくれる光りに変わってほしく

文字盤を照らす

ね−なん時なん分だったかな
素敵な曲が鳴ったよね

教えては あげれませんが

その曲の持ち主だと名のる人があらわれたら
口ずさんでみてもらおうじゃん

和紙にしたためては
雪に とけてゆく

五線紙にしたためれば

奏でてくれるのか

温かな光が透けて見えるのか

起きれない寒い朝

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「優しいアヒルさん」

小さな黄色いアヒルがたくさん
テレビの上にならぶ

屋根の上は青い空
そのはるか向こうは山なみ

電線に無数に並ぶ
黒いカラス

いえいえ私たちは
患者さんたちの
心電図の上に下に
とまっては
素敵なメロディーを
奏でたいのです

アヒルさんたち

今日も ありがとう〜


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「あなたも」

人混みに紛れている
あなたは
森田童子ですか

きっとそうだ

曲は朝には優しい歌に
変わるものって思い?

今は朝が嬉しい日々

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「思いだせない人」

明日の朝の前

今日の事だったと思う
降る雪のテンポ

あったね
こんな曲だっけ

オルゴール盤に
刻んで土に埋め

明日には
埋まってるところを

探せない
僕を楽しむ

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「アルバムって 大作?」

風が吹いてきた

日がかげる頃
吹く風
明日はもう吹かない風

アルバムの中から

夕日を見送る

雪がとけたら通りたい道発見

明日通ってみたら?

春の日に思い出すページを

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「冬の傘」

冬の路地の傘にカミナリが焼きつく

それぞれの模様を

みんなが部屋の中まで連れてゆきたい模様

このポ−ズの方がいた
こんな人もいたっけ

傘を開き真似てみる
雨の降らない部屋の中

カッコつけちゃってる

雲のあいだの木漏れ日に向かい

みんなで
同じ傘
同じポ−ズ

夏の嵐のポスター

その足もとで みた夢

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「歌 優しさ」

ス−ツを脱ぎ捨てちゃんちゃんこを借り

座った椅子は

みんなの前
ステージの上

列車横に映る景色を連れては行けない

優しい心でいてくれれば
思い出になるといわれ

でこぼこに映るまでもを
優しく歌えるよう
練習をしてきた

今日

これから

ライブ

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「君の夜泣き」

古びれようと木塀のつなぎ目は
いつまでもまっすぐ

雨宿りでさえ
触れる者なし

大人なのに君がそこに
あらわれては
夜泣きをするので

迷い始める木塀は

草原の中にさえ
行きどまりは作れるさの
草刈りおじさんと

景色をえんぴつ削り
景色をえんぴつ削り

と君が笑うまで
共に連呼

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「雪で出来たワンちゃん」

赤いスコップには
赤いワンちゃん

が希望

黄色いスコップには
黄色いワンちゃん

が希望

寄り添い雪かきを手伝ってくれるという

靴を履き替える仕草

靴を履き替える夢は
あなたの運勢が激変するという
意味なんですって

今とても嬉しいので靴はいらないって

やっぱり ワンちゃん派?

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「分かってない?」

ゆがんだ表札

こちらから見ると ア−ト
描かれた名字も ア−ト

伸ばしてひねって ゆらしたら
名字がバラバラ落ちて

それなら
首飾りにどうぞ

首飾り?
本物?

ビットコイン?

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「恋の歌」

譜面台から
石が生まれる

雪の降り積もる石の上だろうと
わたしゃ座りたきゃ座る

そろそろ行こうかね
どっこいしょ

おやま−
手袋してなかっね

手が冷たい

胸元で両手を温め

そうそう こんな感じで譜面台に向かってた

恋の歌でも

待ってたんだけど♪
って

歌おうかね

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「うたた寝」

眠るって素敵さ
なにかに出会えるんだよ

起きたら

むいた りんごの皮が
しなびてる

近道はいらない道なので

いいのです

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「雪 雪 雪」

カ−テンを開けても雪

テレビをつけても雪

走っても雪

雪 雪 雪

ポエムなのか
物語なのか
笑い話なのか

雪 雪 雪

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「だらだら」

部屋のどこからか

新聞をめぐる音が聞こえてくる〜
寄せては返す さざ波のよう

海苔ごとかじるおにぎりの音が礒の乾き

聞こえてくる〜

コ−ヒ−カップを皿に置く音が
岩に頭をぶつけたような衝撃音

と こじつけ

長椅子は
うちあげられた小舟

そのままに

眠りに落ちる〜

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「さいかげ」

雪に埋もれたネックウォーマー

さいかげ

カレーパンのようなレコード

さいかげ

謙虚なんて
って意味の知らない頃に
知った言葉

さいかげ

今だに これって やはり

さいかげ

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「積み木遊びってどうやるの」

一階は舞台
二階も舞台

いつも誰もいない

でも積み重ねてみた

三階は舞台は無く
大きな梅の木

枝に座り足をブラブラ
芝居のつもり

外から窓越しにみたい芝居か

積み木遊びを
したことのない
少年の僕のお芝居は

こんなもの

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「今どきの電話の置き台」

夕日に帰ってゆく
列車の中

家に着いたら
無事に着いたよと

使われなくなった
電話の置き台に
片手を置くって

誓う

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「タチのテレパシー」

さざ波さえたたない真夜中

路面電車のレ−ルを
貨物列車が切れ間なく走る

運転席から後部座席を見ると
三人座ってるけど
とても遠くにあり

運転する僕を
見送るためにいるよう

そんな気

鍋の中のタチが
気持ちよさそうなついでに
グツグツとゆれながら
僕の脳にテレパシーを送ってくる

意外と送れてる

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「つたに私の名を」

家をスッポリ包む つたの中に
住みたい生き物が来る

フェイドアウトされた
正月の花の一輪を
握りしめた生き物

今年も つたにからめては去ってゆく

つたの中で動かず姿そのまま壁

シルエットになってしまえば

どんな一年?

と 思い描きながらの帰路が好き と

今年も

去ってゆく後ろ姿を

見送る

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