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65 top 「冬の名俳優」 「教室の春」 「色づく」 「教科書に載る生活様式」 「底に沈むコショ−」 「写真展」 「雛人形 最強!」 「春になれば」 「言葉という雪像」 「起きれない寒い朝」 「あなたも」 「思いだせない人」 「冬の傘」 「歌 優しさ」 「君の夜泣き」 「雪で出来たワンちゃん」 「分かってない?」 「恋の歌」 「うたた寝」 「雪 雪 雪」 「だらだら」 「さいかげ」 「積み木遊びってどうやるの」 「今どきの電話の置き台」 「タチのテレパシー」 「つたに私の名を」 戻る |
「冬の名俳優」 自撮り棒が 壊れたらどうすると 雪像に聞いたら 壊れ捨てられた 使い捨て傘の 横にそっと置く って やはり君は素敵な 冬の名俳優 ____________________ 「教室の春」 除雪の必要な所には 教室は作らない 屋根からの雪どけは 窓側に春の音 教室奥は今だに 見聞きした 昭和初期の茶色に 埋もれ 勇気を出して にぎろうとしたら 薄茶色を にぎってしまった なにを 握りたかったのか 高校生 ____________________ 「色づく」 足袋が好きでなった 着物屋さん 色のついた アクリルの透明さに 心を奪われる 足袋が いろいろに色づき ちょっぴり恥ずかしくなるほど 思い出をも さらけ出してしまう アクリルに 囲われ ____________________ 「教科書に載る生活様式」 晩ごはん前なのに ちゃぶ台返しで 日は沈んでゆく パン屋さんのない町 の朝が明けてゆく 朝ごはんの時間 まだまだ寒いので 地中深く〜 も〜っと 深く〜 ____________________ 「底に沈むコショ−」 食べ終わった どんぶりの底に 沈むコショ− ラ−メンはやはり ホワイトコショ−でしょ ありがとうと伝えたい ____________________ 「写真展」 明かりの灯る 小さな白球たちが 枯れた木にも 広げた手のひらにも 空から ゆらゆら すでに あなたたちが主役 その向こうの石蔵の景色はキャンバス 奥深い この冬 そんな写真を広げてくれる 天使が 舞い降りる ____________________ 「雛人形 最強!」 貝殻で出来た 風鈴の音 磯の季節 今聞くとは思わなかった ほど 珍しくはないのに めざまし時計の勝ち その前に雛人形 まだ一月前 すでに最強! ____________________ 「春になれば」 足首が痛いって そう 古い民家をやっと探せた時 その前でする ポ−ズ 窓のない方にまわっては 不審者 西日専用の窓の下で癒されてると やはり不審者 わたくし 縁側好きなんですが?! ____________________ 「言葉という雪像」 細長く降る雪で 出来た雪像 その先がどんどん細くなれば やはり終演 どなたか ストンとはまる言葉は それだけで この雪像の 題名にもタイトル曲名にも なれますよ なにかどうぞ やがて口ぐせになり 歌えるかもね ____________________ 「起きれない寒い朝」 明日の寒い朝だけでも 温めてくれる光りに変わってほしく 文字盤を照らす ね−なん時なん分だったかな 素敵な曲が鳴ったよね 教えては あげれませんが その曲の持ち主だと名のる人があらわれたら 口ずさんでみてもらおうじゃん 和紙にしたためては 雪に とけてゆく 五線紙にしたためれば 奏でてくれるのか 温かな光が透けて見えるのか 起きれない寒い朝 ____________________ 「優しいアヒルさん」 小さな黄色いアヒルがたくさん テレビの上にならぶ 屋根の上は青い空 そのはるか向こうは山なみ 電線に無数に並ぶ 黒いカラス いえいえ私たちは 患者さんたちの 心電図の上に下に とまっては 素敵なメロディーを 奏でたいのです アヒルさんたち 今日も ありがとう〜 ____________________ 「あなたも」 人混みに紛れている あなたは 森田童子ですか きっとそうだ 曲は朝には優しい歌に 変わるものって思い? 今は朝が嬉しい日々 ____________________ 「思いだせない人」 明日の朝の前 今日の事だったと思う 降る雪のテンポ あったね こんな曲だっけ オルゴール盤に 刻んで土に埋め 明日には 埋まってるところを 探せない 僕を楽しむ ____________________ 「アルバムって 大作?」 風が吹いてきた 日がかげる頃 吹く風 明日はもう吹かない風 アルバムの中から 夕日を見送る 雪がとけたら通りたい道発見 明日通ってみたら? 春の日に思い出すページを ____________________ 「冬の傘」 冬の路地の傘にカミナリが焼きつく それぞれの模様を みんなが部屋の中まで連れてゆきたい模様 このポ−ズの方がいた こんな人もいたっけ 傘を開き真似てみる 雨の降らない部屋の中 カッコつけちゃってる 雲のあいだの木漏れ日に向かい みんなで 同じ傘 同じポ−ズ 夏の嵐のポスター その足もとで みた夢 ____________________ 「歌 優しさ」 ス−ツを脱ぎ捨てちゃんちゃんこを借り 座った椅子は みんなの前 ステージの上 列車横に映る景色を連れては行けない 優しい心でいてくれれば 思い出になるといわれ でこぼこに映るまでもを 優しく歌えるよう 練習をしてきた 今日 これから ライブ ____________________ 「君の夜泣き」 古びれようと木塀のつなぎ目は いつまでもまっすぐ 雨宿りでさえ 触れる者なし 大人なのに君がそこに あらわれては 夜泣きをするので 迷い始める木塀は 草原の中にさえ 行きどまりは作れるさの 草刈りおじさんと 景色をえんぴつ削り 景色をえんぴつ削り と君が笑うまで 共に連呼 ____________________ 「雪で出来たワンちゃん」 赤いスコップには 赤いワンちゃん が希望 黄色いスコップには 黄色いワンちゃん が希望 寄り添い雪かきを手伝ってくれるという 靴を履き替える仕草 靴を履き替える夢は あなたの運勢が激変するという 意味なんですって 今とても嬉しいので靴はいらないって やっぱり ワンちゃん派? ____________________ 「分かってない?」 ゆがんだ表札 こちらから見ると ア−ト 描かれた名字も ア−ト 伸ばしてひねって ゆらしたら 名字がバラバラ落ちて それなら 首飾りにどうぞ 首飾り? 本物? ビットコイン? ____________________ 「恋の歌」 譜面台から 石が生まれる 雪の降り積もる石の上だろうと わたしゃ座りたきゃ座る そろそろ行こうかね どっこいしょ おやま− 手袋してなかっね 手が冷たい 胸元で両手を温め そうそう こんな感じで譜面台に向かってた 恋の歌でも 待ってたんだけど♪ って 歌おうかね ____________________ 「うたた寝」 眠るって素敵さ なにかに出会えるんだよ 起きたら むいた りんごの皮が しなびてる 近道はいらない道なので いいのです ____________________ 「雪 雪 雪」 カ−テンを開けても雪 テレビをつけても雪 走っても雪 雪 雪 雪 ポエムなのか 物語なのか 笑い話なのか 雪 雪 雪 ____________________ 「だらだら」 部屋のどこからか 新聞をめぐる音が聞こえてくる〜 寄せては返す さざ波のよう 海苔ごとかじるおにぎりの音が礒の乾き 聞こえてくる〜 コ−ヒ−カップを皿に置く音が 岩に頭をぶつけたような衝撃音 と こじつけ 長椅子は うちあげられた小舟 そのままに 眠りに落ちる〜 ____________________ 「さいかげ」 雪に埋もれたネックウォーマー さいかげ カレーパンのようなレコード さいかげ 謙虚なんて って意味の知らない頃に 知った言葉 さいかげ 今だに これって やはり さいかげ ____________________ 「積み木遊びってどうやるの」 一階は舞台 二階も舞台 いつも誰もいない でも積み重ねてみた 三階は舞台は無く 大きな梅の木 枝に座り足をブラブラ 芝居のつもり 外から窓越しにみたい芝居か 積み木遊びを したことのない 少年の僕のお芝居は こんなもの ____________________ 「今どきの電話の置き台」 夕日に帰ってゆく 列車の中 家に着いたら 無事に着いたよと 使われなくなった 電話の置き台に 片手を置くって 誓う ____________________ 「タチのテレパシー」 さざ波さえたたない真夜中 路面電車のレ−ルを 貨物列車が切れ間なく走る 運転席から後部座席を見ると 三人座ってるけど とても遠くにあり 運転する僕を 見送るためにいるよう そんな気 鍋の中のタチが 気持ちよさそうなついでに グツグツとゆれながら 僕の脳にテレパシーを送ってくる 意外と送れてる ____________________ 「つたに私の名を」 家をスッポリ包む つたの中に 住みたい生き物が来る フェイドアウトされた 正月の花の一輪を 握りしめた生き物 今年も つたにからめては去ってゆく つたの中で動かず姿そのまま壁 シルエットになってしまえば どんな一年? と 思い描きながらの帰路が好き と 今年も 去ってゆく後ろ姿を 見送る ____________________ |
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