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「どんぶりを買うときは三個買う」
「手をつなぐように」
「アイスバーンな道」
「オカルト」
「新年どんぶり」
「おばあちゃんの道」
「あぶりだし」
「しめ飾り」
「ダンボ−ルの穴から見える今日」
「ススキノの朝」
「七草粥」
「夏の日のようで 始まれない」
「人肌」
「フルグラ」
「人間除夜の鐘」
「こう話を結ぶ」
「師走はポエムも忙がしい」
「うそ うそ」
「ホッと」
「裏クリスマス」
「ジャズ喫茶にいるよと
フォ−クソングで歌う」
「ランナ−」
「飛行機雲の顔」
「物語」
「散歩道」

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「どんぶりを買うときは三個買う」

どんぶりが三個

おたがいにしのぎを削り

一つ割れ 二つ割れ

最後に残るのが
ながいつき合いに

どのどんぶりだろう

台本のない
ストーリー

題名は 化石

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「手をつなぐように」

これ以上の描きモノが
あるだろうか

いえいえ こうしたらどう
もうひとつ用意して
はしっこを重ねてみようよ

そこから きっと
なにか生まれるよ

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「アイスバーンな道」

アイスバーンの中の目と
目が会うから
避けて通らなきゃいけないよ

アイスバーンって恐いんだよ

挨拶の言葉は用意してるって

そうかい そうかい
優しい子だからね

じゃそ−っと
通ってごらん

氷さんが教えてくれるね

みなさんにも
大丈夫な道取りを
教えてあげてごらんなさい

そうそう
優しい子だね

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「オカルト」

映画館の大きなスクリーン
じゃ怖いのでと

テレビで見る
オカルト番組の中に

ブラウン管に反射する
自分がいる

ヒュ〜

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「新年どんぶり」

たった一つのどんぶりを
割ってしまった

ラ−メンが食べれない
そうめんが食べれない

汁だく好みの僕には
物足りない器ばかり

2018年も
汁だくでいきたいのに

ヒュ〜

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「おばあちゃんの道」

雪の上を田植え?
いえいえ踏み絵?
初恋の人の名?

教えてよ
おばあちゃんって

今日は道を聞かれやすい日だね

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「あぶりだし」

スケート場の隅

上手なつもりで
すべってる青年が
浮き出ましたか

髪を伸ばして
ジ−パンがほつれて?

それは学生時代の僕です

まだいたんですね

あれから月日は
大分たったんですよ

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しめ飾り」

おじいちゃん
正月のしめ飾りって
いつしまうの?

〔それはの よそ様がしまった日になんじゃよ〕

そうなんだ?!
さすが僕の、おじいちゃん
何でも知ってるんだね

〔いやいや それほどでも
あるかな ワッハッハッハハ〕

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「ダンボ−ルの穴から見える今日」

ダンボ−ルの穴から
顔を出すと

外はクリスマス

そんな景色が迎えてくれる

私はひよこ 私は猫

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「ススキノの朝」

片足で足元の地面を
トントン トントン

日の射す
ブラック歩道がまぶしく

週末明けのススキノの朝

向こうに落ちてるのは
ライオンの頭

強烈なライトに
照らされたステージ中央

そう きっとあちらが
ステージ中央

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「七草粥」

七草

お粥の中で

時を待つ間もなく

ねがいの中に消えてゆく

スプーンの長さは
誰が決めた

口からだけの
ねがいでは遠い

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夏の日のようで 始まれない」

暑い夏の日の
人様から目立つ建物の
地下で日除け

薔薇の花びらが
散らかってるよ

そんな人の声が
聞けそうで

寝巻きに着替えるのも惜しく
長椅子で眠りについてみる

離せない携帯のぬくもりを
手のひらに握りしめてることが
はじまりのポ−ズ
でもあるからなのか

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「人肌」

白い肌を
白い季節で包めば
肌は白ではなく
人肌

触れたいのか
出会いたいのか

見過ごしてた季節が終わり

今は冬

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「フルグラ」
流行りのあれ
今ガリガリかじってっから
話しかけられても
聞こえてないんだけど

小粒だからって
馬鹿にしないでよ〜♪
そっちのせいよ〜♪(違う 違う)

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「人間除夜の鐘」

ボ〜ン ボ〜ン

うるさいと言われるまで

ボ〜ン ボ〜ン

明けまして
おめでとうございま〜す

ボ〜ン ボ〜ン

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「こう話を結ぶ」

大地に おりたものが
舞いもどる

それは ただただ
見上げるしか
できないだけの景色が いい

そう おただいが寄り添い
話を結ぶ

ハルニレの木は2本の木

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「師走はポエムも忙がしい」

白の向こうは白くなくって
なにやら地獄が
待ってると思うのに
忙しいので まずは行ってみる

口がちゃんと閉まらないのを
いいことに
話したいことがたくさんあると
口答ポエム
書きとって〜

忙しいので階段を
登りながら詩を作る
一段ごとに一作

絶好調

あ〜忙がしい

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「うそ うそ」

いらなくなった
サンタさんの格好を
お地蔵さんに掛けてあげる

それほどの雪の日

こうして

童話は塗りかえられてゆく

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「ホッと」

火事騒動にも関係なく

出来たら落ちてくる

製氷機の氷

いと可笑し

ホッ

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「裏クリスマス」

ろうそく1本を持った僕が立ってる

ろうそく1本じゃ足りない夜
と思いながら

見わたすと

ろうそく1本を持った僕が何人も立ってる

この中の何人の僕に心があるんだろう

心のない僕からは
ろうそくはいただいていいよね

でも

それとて

やはり

一人クリスマス

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「ジャズ喫茶にいるよと
フォ−クソングで歌う」

地下にメロディが響き

僕の作った詩が
歌詞のように振る舞う

足りない言葉や
あまる言葉が
くりかえし舞い

楽し気に僕を振り返るけれど

僕はおかまい無しに
足をくみ 手をくみ首をふる

そんな僕

青空ジャズ喫茶に
お呼ばれしたなら

どんな詩を
持ってゆく?

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「ランナ−」

母はカ−ディガンを脱ごうとしません

ランナ−なのに

青信号を待つ母は
なんであんな遠くで様子をうかがってるの

ランナ−なのに

歌う歌詞は飛んでゆかず
いつまでも まとわりついて母を包む
なん度も なん度も包む

サングラスの間に紛れた歌詞があれば
涙になって落ちてゆく

そんなランナ−

景色を相手に生活を
すればいいのに

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「飛行機雲の顔」

飛行機雲の
飛行機が見えた

でも色が分からない
どうしても見えない

額の中の世界

引き込まれたいのか
飛び出したいのか
そんな話の後に
眠りについた昨夜

色の話には
ならなかった気もして

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「物語」

ビルの壁が一面 鏡

写る よそ樣のビルに
なりたがってるビル

ご注文のある方は
いらっしゃいますか

腹が減ってるから早く
田口一朗をちょうだいと
言っては席に紛れてゆく

まだかとまた現れては
早く田口一朗を
ちょうだいという

気づけば僕の服は
上から下まで鏡で出来ていた

でも とても僕は
目の前の田口一朗さんに
なりたいとは思えない

このビルからは
出て行かなければいけない頃合いの物語

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「散歩道」

使われなくなった
市場の中小路

それでも雪がとければ
今だ何かありそう

春からの散歩道が
こうして増えてゆく

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