< スロヴァキアで使われる楽器のいろいろ >
★ Fujara(フヤラ)

 中央スロヴァキア発祥とされていて、元は羊飼いの人々が山で吹いていた楽器なのだそうです。古くは管の後ろ側に穴があったようですが、現代では3つの穴と息の強さを調節して、3オクターブほどの音を鳴らします。子供が吹けるサイズから180cmほどと、いろいろな長さのフヤラがあり、スロヴァキア人がたしなみとして子供の頃から習う人も多いようです。

  → Welcome to Fujara world (試聴できます:コブリーチェクさんのフヤラもここで買えます)

★ Pišťalky(ピーシュチャルキ)

 6穴。リコーダーと同じ構造。さまざまな種類があります。

★ Koncovka(コンツォフカ)

 穴がなく、息の強さと笛の下の穴の大きさを指で調節して、音の高さを出します。鹿の角のような形の取っ手(?)をつけて杖の代わりになるものもあり、長さもいろいろ。

★ Dvojka, Dvojačka, Dupľovka(ドヴォイカ、ドヴォヤチカ、ドゥプリョフカ)

 ふたつの管を持った笛、という意味の名前です。片方はリコーダーと同じ構造で6穴。もう一方は穴がなく、ドレミファソのソ、しか音が出ません。吹き口がふたつありますが、その両方をいっぺんに吹き、ふたつの管を同時に鳴らしながら演奏します。メロディーの伴奏として聞こえるもう一方の固定された音は、バグパイプの通奏低音のような役割を果たします。地方によりいくつかの種類があります。

 1.高タトラTatra地方の北オラヴァOrava地方のツベレツZuberec村で見ることができるものは、トネリコFraxinus<羅>の木から作られるもので、1本の木から2本の管が独立させないまま作られており、沸騰した羊の乳の中に入れ、その油脂をつけることで良い音を作ります。

 2.ジェトヴァDetvaを中心とした中央スロヴァキア(ポド・ポリャナPod Poľana地方)で多く見られるものは、西洋ニワトコsumbcus nigra<羅>(baza ciernaバザ チエルナ)の木から作るもので、独立した2本の管を膠などで固定し、さらに皮や装飾した真鍮で留められています。photo

★ Gajdica(ガイディツァ: Vychodoslovenska gajdica東スロヴァキアの角笛

 オーボエと同じようなリード楽器で、牛の角でできたラッパがついており、ラッパ部分には装飾がなされています。ウクライナなどでも使われ、「羊飼いの角笛:Pastushij rozhok(露) 」と呼ばれています。スロヴァキアでは「東スロヴァキアの角笛」と呼ばれる通り、東の地方で見られます(Krivany村など)。羊飼いがソロで吹いたり、踊りや歌の伴奏として吹いたりします。

 T.コブリーチェクさんが作っているガイディツァは、中央スロヴァキアでバグパイプを吹きたいという初心者の子供たちに作られていたものです。gajdicaとは本来「歌い手」の意味で、バグパイプの吹き口の部分もガイディツアと呼ばれます。

★ Gajdy(ガイディ)

 バグパイプのスロヴァキア版。→ www.gajdy.sk(写真がいっぱい!英語とスロヴァキア語の説明も)

★ Drumbľa(ドゥルンブリャ)

 日本語では口に琴と書いて、口琴(こうきん)といいます。 金属のフレームに一枚(一本?)のばねがついていて、フレーム部分を歯にあて、ばねを指ではじき、そのわずかな音を口蓋に響かせて、口内の広さを調節 して音を出します。 アジア、ヨーロッパに広く分布している楽器で、多くは金属でできていますが、日本では、アイヌの人々の、ムックリ、という竹製の口琴が知られています。
  → 日本口琴協会
  → saite-koukin

★ Ninera(ニネラ/Hurdy gurdy)

 手回しオルガン。スロヴァキアで現在これを作っているのはT.コブリーチェク氏だけだそうです。


注) スロヴァキア語表記は()内のカタカナからご想像ください。