* 四重奏曲(Cl.Hr.Vc.小太鼓)H.139
パリに出て半年後、まだ手元にピアノがない1924年4月に作曲されたもので、とくにリズムが強調され、ストラヴィンスキーの“兵士の物語”を連想させる。
1.アレグロ・モデラート ハ長調、4/5(10/8)~6/4~3/4~4/4~5/4拍子
小太鼓とVc.の軽快なリズム乗り、Cl.(B管)が軽快な主題を奏で、Hr. Vc.と渡さてゆく。ポコ・ヴィヴォ~モデラートで、小太鼓は小刻みとなりVc.が低音で唸り、Hr.の音が冴え、Cl.が高音で叫ぶ。アレグロを経て最後、モデラートでVc.が曲頭部分を微かに響かせ、5度音程をつき重ねた和音のfff~ppで終止する。
2.ポコ・アンダンテ 4/4拍子
Vc.がソロでエレジーを歌いはじめ、これにCl.、Hr.が加わり、調性はト~ハ~~ヘ~変イ~ト~ニ~変ニ~変ホ長調と絶えず変化し、絶妙なポリフォニーを展開してゆき、最後に冒頭部分がト~変ロ長調で回想される。
3.アレグレット・マ・ノン・トロポ ト長調
5/8拍子にはじまるが、速度記号、調性、拍子がたえず変化する。Vc.の重音ピチカートと小太鼓のリズムに乗り、Cl.に軽快な主題が出る。Vc.とHr.が対旋律を奏で、各楽器のトリルを経てハ長調主和音に終る。
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* セレナーデ第2番(Vl2,Vla.)H.216
1932年3月パリで作曲、モーツァルトのディヴェルメントを模したVl2,Vla.という編成の作品は、ドヴォジャーク(テルツェット)や、コダーイ(セレナーデ作品12)がある。初演は1947年10月16日、FOK・SO団員による。
1.アレグロ ニ長調、2/2拍子
8分音符で軽快に動き回り、時折ヴァイオリンに息の長い下降音型やトリルが現れる。
2.ポコ・アンダンテ 変ロ長調、2/4拍子
静かな牧歌でヤナーチェクの弦楽合奏曲を思わせる。
3.アレグロ・コン・ブリオ 4/4拍子
アクセントのきいたト長調主和音進行ではじまり、16分音符の躍動する動きに支配されている。
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黒人の詩による2つの歌 H.226 Dvĕ písnĕ na taxty negerské poezie より
1932 年パリで作曲され、ハープ奏者で歌手だったネッシ=ベヘロヴァー夫人に献呈された。
1.子守唄Ukolébavka:
黒人の赤ん坊が“自分は白くない”といって泣くと、母親が“あたしの小っちゃな黒いバラよ”と歌い寝かせつける。
ピアノのフリギア旋法で下降する前奏についで、子守唄が歌われる(譜例1)。シンコペーションのきいたリズムの間で、旋律は長短調の間を揺れ動く。
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新スロヴァキア歌曲集 H.126 Nové slovenské pésnĕ (全30曲)より
22.「Kopala studenku女は泉を掘った」:ゆっくり、ホ短調、4/4拍子
“娘が孔雀に水をやってた、お前の主人はだれ?”この旋律は歌詞をかえスロヴァキア国歌に転用されている。
16.「Trenčanskej kasárnyトレンチンの広い兵舎の庭を」:やや速く、ト長調、4/4拍子
“恋人が行き来し、娘の心はときめく。”
15.「Hore hájomフロン川のほとりで」:真面目に、ト短調、4/4拍子
“フロン川を魚が泳いでる、可愛い漁夫の娘は釣師にぴったり、もしあたしが嫌なら、もっとハンサムな若者んとこへいっちまうわよ“
26.「Holubienka bielá白い雌鳩は」:ゆっくり、ホ短調、4/4拍子
“矢のように飛んでいった、どこへ行ったか? 神様は善良で偉大、きっと雌鳩は雄鳩のもとへ行けよう”。
2.「Povedz že mi zelený borovec言ってくれ緑の松よ」:極めてゆっくり、ヘ短調
3/4~2/4拍子。“あの方は晩に来るの? 放牧を終えたら黒い馬に乗ってくるさ”。
8.「Mala som ja rukávceジプシー女に上げたブラウス」:速めに、イ短調、2/4j拍子
“あたしは美しいブラウスをあげた。それをジプシー女に上げたのは、好きな若者との間をとりもってもらうため”。Rukávceはスロヴァキアの民族衣裳で白地に花模様をあしらい、レースの縁取りをつけたブラウス。
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