ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲(1958)
                                第2番ニ長調 H.371  解説:関根日出男

1956年から畢生の大作オペラ「ギリシャ受難劇」H.372(完成は1959年)に、全精力を傾けていたマルチヌーは、息抜きとしての1幕オペラ「アリアドネ」H.370を完成した直後、1958628日から71日にかけ、シェーネンベルク=プラッテルンでこのドゥオを作曲、トラウティ、モール=バリ夫人に献呈した。初演は1962年3月4日(私的)と1963年春(公開)に、いずれもバーゼルで、ハンスハインツ・シュネーベルガーとディーター・シュテヘルムにより行われた。演奏時間:約12分。

マルチヌーの2挺の弦楽器のためのドゥオには、この作品以外にヴァイオリンとチェロのためのドゥオ第1番H.1571927年)、ヴァイオリンとヴィオラのためのドゥオ第1番(3つのマドリガル)H.3131947年)と第2番H.3311950年)、および2挺のヴァイオリンのためのドゥオ(9つの易しいエチュード)H.1911930年)がある。



第1楽章
:アレグレット、6/8拍子、ニ長調。三部形式。

シンコペーションをきかせた主題(譜例1)が、カノン風に奏でられ、すぐチェロに変ホ長調の叙情旋律が現われ、中間部は16分音符のモトリックなパッセージである。



第2楽章:アダージオ、3/4拍子、変ホ短調~ニ短調。

チェロの上向主題(譜例2)についで、チェロがニ長調叙情旋律を奏で、チェロの重音ピチカートの上で、ヴァイオリンが変ト~ヘ長調の旋律が出る。冒頭主題が2度目に提示されたあとの後半では、両楽器が16分音符で対話し、最後の主題提示時にヴァイオリンは32分音符のトレモロで応える。




第3楽章:ポーコ・アレグロ、2/2拍子、ニ長調。

 ヴァイオリンがイ音をくり返す下で、チェロがスケルツォ風の音型(譜例3)を奏で、ピチカートとアルコ奏法が交互に現われる。ついでチェロにイ長調の表情豊かな旋律、さらには両楽器のユニゾン・パッセージが現われ、このパターンがくり返され、最後はニ音のユニゾンで終止する。