ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲(1958) 1956年から畢生の大作オペラ「ギリシャ受難劇」H.372(完成は1959年)に、全精力を傾けていたマルチヌーは、息抜きとしての1幕オペラ「アリアドネ」H.370を完成した直後、1958年6月28日から7月1日にかけ、シェーネンベルク=プラッテルンでこのドゥオを作曲、トラウティ、モール=バリ夫人に献呈した。初演は1962年3月4日(私的)と1963年春(公開)に、いずれもバーゼルで、ハンスハインツ・シュネーベルガーとディーター・シュテヘルムにより行われた。演奏時間:約12分。 マルチヌーの2挺の弦楽器のためのドゥオには、この作品以外にヴァイオリンとチェロのためのドゥオ第1番H.157(1927年)、ヴァイオリンとヴィオラのためのドゥオ第1番(3つのマドリガル)H.313(1947年)と第2番H.331(1950年)、および2挺のヴァイオリンのためのドゥオ(9つの易しいエチュード)H.191(1930年)がある。
シンコペーションをきかせた主題(譜例1)が、カノン風に奏でられ、すぐチェロに変ホ長調の叙情旋律が現われ、中間部は16分音符のモトリックなパッセージである。 第2楽章:アダージオ、3/4拍子、変ホ短調~ニ短調。 チェロの上向主題(譜例2)についで、チェロがニ長調叙情旋律を奏で、チェロの重音ピチカートの上で、ヴァイオリンが変ト~ヘ長調の旋律が出る。冒頭主題が2度目に提示されたあとの後半では、両楽器が16分音符で対話し、最後の主題提示時にヴァイオリンは32分音符のトレモロで応える。 |