B.Martinů : Duo No.1 by violin and violoncello
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 (1927) この「ドゥオ」が作られる数ヶ月前の1926年秋、マルチヌーは将来妻となるパリジェンヌのお針子、シャルロットとサーカス見物で知り合い、その前後には、オーケストラ曲「ラ・バガール=騒ぎ」H.155(1926年作)や、バレエ「キッチン・レヴィュー」H.161(1927年作)など、名作をつぎつぎと書いていた。 この作品は1927年1月26日パリで完成し、同年3月17日パリに来ていた、スタニスラフ・ノヴァーク*1とマウリツ・フランクにより初演され、内外の出版社から出版依頼が殺到するほどの成功をおさめた。とくにリズムには1925年作の弦楽四重奏曲第2番H.150の名残が見られ、マルチヌーはこの四重奏曲を初演してくれた彼ら*2への返礼としてこの曲を作った。
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲では、コダーイのドゥオ作品7(1914年作)、ラヴェルのソナタ(1923年作)、オネゲルのソナチネ(1932年作)が有名である。 演奏時間:第1楽章約5分、第2楽章約8分、計約13分。
単一主題から成る。静かな主題(譜例1)がまずチェロに現われ、3小節目からヴァイオリンがカノン風に入り展開してゆく。中間部ポーコ・ヴィーヴォで両楽器は重音となり、主題は13度上の変ト長調で優美に奏でられ、最後はアンダンテに戻り、チェロのトリルを経てハ長調主和音に終止する。 第2楽章:ロンド。アレグロ・コン・ブリオ、4/4拍子、ハ長調。 変則的なロンドでA(譜例2)= B(譜例3)= C(譜例4)= A = D(譜例5)= E(譜例6)=
カデンツァ= F(譜例7)= C‘= A と推移する。
A主題のあと歌うようなD主題、途中ジャズ的リズム(*)を示すE主題と続き、両楽器のトレモロを経て、長大なカデンツァに入る。 コダーイの無伴奏チェロ・ソナタ作品8(1915年作)ばりの技巧を駆使した、このカデンツァは、はじめチェロで提示され、のちにチェロのトレモロの上でヴァイオリンに受け継がれる。 両楽器の和音進行のポーコ・アンダンテのあと、テンポが戻りF主題による常動的なカノンとなり、C‘のあとAが再帰し、ハ音4つの3オクターヴ・ユニゾンで終止する。 |