「わだち」指揮者:諸井氏のご紹介により、
合唱:福島県立郡山東高校合唱部のみなさんに、
マルチヌーのカンタータ『泉開き』を演奏していただきます。この合唱部は第2回コチャール合唱コンクール東京大会、
全日本合唱コンクール東北大会において、それぞれ金賞を受賞しており、この3月にはチェコ・ハンガリー・ドイツで演奏旅行を果たし、
好評を博しました。生徒さんたちの瑞々しい歌声をどうぞ聴きにいらしてください。 |
マルチヌーの『泉開き』H.354は、ボヘミアとモラヴィアにまたがる大地ヴィソチナ地方で、
美人の娘を女王様にしたて、『泉開き』から冬の間にたまったゴミを取り除き、春を迎えるという、民俗行事を題材に取り上げたカンタータで、
1956年にマルチヌー誕生の地、ポリチカで初演されましたが、当初から反響が大きく、レコードに録音され、映画にもなり、
テレビでも放映され、チェコ国内ではよく知られた美しい曲です。 |
また国外でもワルシャワ、チューリヒ、モスクワ、ソフィア、イェレヴァン、ペキン、エジンバラ、
アムステルダム、ブリュッセル、ベルリン、ハレ、ニューヨーク、ワシントンで相次いで演奏され、その結果マルチヌーは、
さらに同じようなカンタータを3つ作ることになったのです。 |
日本では、今年7月の上記高校第30回記念定期演奏会での初演に続き、2回目の公演となります。 |
『泉開き』の中のナレーションが長いので、「わだち」のバリトン・パートで活躍される吉川さんに
日本語でナレーションしていただくことにより、全体像をわかりやすくしました。 |
バリトンを歌うジェフリー・トランブリー氏は、米国の大学でロシア語を専攻、チェコに渡り、
3年間ゼロチン音楽学校で声楽を学び、1995年にチェコ声楽コンクールに出場、第1位を獲得。その後来日し、東京音楽大学大学院を終了。
現在は歌手として日本で活躍をしている。スラヴ語・日本語の堪能で研究熱心な歌い手として今後が期待されています。 |
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ヤナーチェク「チェロとピアノのためのおとぎ話」は、1910年に初演されましたが、
そのときの3楽章版が現在演奏されている版です。しかし、1923年に出版されるまでの3年間に何度か書き換えられており、
1912年に演奏されたときには4楽章でした。1楽章にも改訂が見られ、それについては資料が不十分なので今回演奏は断念しましたが、
同じ頃に書かれていて、「おとぎ話」に入れるべきかどうか議論がなされている「プレスト」を入れ、5楽章として演奏し、
解説では十分に演奏に耐えうる美しさを持った第4楽章がなぜ割愛されたのかを考察します。 |
尚、楽譜は前マルチヌー協会会長:故佐川吉男先生から演奏するように、
と手渡された手書きのコピーから起こしたものを使用します。(Supraphon-Bärenreiter Critical Edition Prague) |