オペラ『ミランドリーナ』は1953年12月15日から翌54年7月1日にかけ作曲された、3幕のオペラ。 |
1953年4月半ばに「第6交響曲」を仕上げ、5月半ば13年ぶりにアメリカからヨーロッパに戻ったマルチヌーは、
アメリカのヴィザを持っていたため故国へは帰れず、まずはパリに落着いた後、約2年間、ニースにいた戦前からの親友、
画家シーマ(1891~1971)の閑静な別荘に滞在した。 |
グッゲンハイム財団委嘱(3千ドル)作品のための題材を、市立図書館で探していた彼は、
ゴルドーニ(1707~93)の「旅籠の女主人 La locavdiera」(1753年作)のイタリア=フランス語対訳本をみつけ、
自分でイタリア語の台本を書いた。 |
この間、彼は54年4月にはイタリア、アレッツォのサン・フランチェスコ聖堂に
ピエロ・デルラ・フランチェスカ(1415頃~92)描く「聖十字架伝説」の壁画を見にでかけており、
このオペラにはイタリアの明るい太陽が反映している。 |
作品は室内オペラの形式をとり、アリア、二重唱、アンサンブル、レシタティヴォなどの間に、
魅力あふれるワルツや軽快な間奏曲を入れ、3幕冒頭には8分の6拍子のイタリアのサルタレッロ舞曲が置かれている。
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