三河連合 東洋巻柏会

昭和12年に発行されたと言われる、三河連合 東洋巻柏会 巻柏之銘鑑 は、
参考書籍に写真掲載が無いため未だ目にした事が無く、どの様な構成なのか解りません。

参考書籍 「原色イワヒバ銘鑑」の「品種名のうつりかわり系統図」に、
その掲載品種名の記述があるので、引用して私なりの見方で類別して見ます。

三河連合 東洋巻柏会 巻柏銘鑑 掲載品種名

類別
不現存種
改名現存種(現在名)
同名現存種


曙 類
都 鳥 
金 山
龜 綾
錦牡丹
東海錦
(錦蜀光)
(楊貴妃)
(金牡丹)
(花 車)
有 明
立 浪
花 車
唐 織
唐 花
都 紅
玉 葛
楊貴妃
玉川染
金華山
大花菱
玉手箱
錦孔雀
銀世界
唐駒錦
春の曙
八重爪
白 妙
白斑曙
丹 頂
朝日の瀧
金銀獅子
白爪類
雪月花
(高 砂)
高 砂
天鵞絨
松 ノ 雪
刷毛込
斑 類
榧ノ雪
白 綾
友白髪
蜀光錦
一天四海

砂子斑 
神代錦
上作の紫金襴説有り
茨城古金
九重錦説有り
小雨の錦
故郷の錦
金獅子
(小雨錦)
(九重錦)
(金砂子)
古金襴
紫金襴
金麒麟
九重錦
金襴織
山本砂子
金砂子
萌黄葉
寶 山
羽 衣
黄金鶴
黄金錦
天乙女
茶 斑
(墨 流)
墨染錦
龍 斑
金 龍

龍 青
群 龍
雨 龍
青 龍
臥 龍
龍 尾
龍 登
飛 龍
猿 候
燕 尾
青 葉
折 鶴
玉獅子
玉麒麟
黒牡丹
八重麒麟
古今独歩
特徴その他詳細不明
 錦蜀光  錦 星  亀 鶴   御代錦    紅古金襴
 相  生  玉 紋  御所車  黒牡丹斑  唐花楊貴妃
※  赤い文字は、この銘鑑が始めての品種名です。  
※  「流」はもしかすると参考にした書籍の誤植かも?。

昭和12年 三河連合 東洋巻柏会 巻柏之銘鑑 推察雑記

巻柏に関しては培養以外のことにも興味を持つ私は、手持の書籍で品種解説等をよく見る、
その時に昭和12年の文字を目にしたが、同年に係わる資料は無く、行き詰まっていた。
数年前に先輩のご好意で「原色イワヒバ銘鑑」を熟読することが出来、その一部は理解する
事ができたが、どの様な構成の銘鑑なのか、写真掲載が無いことが残念ではある。

 掲載品種は79種、この銘鑑が初めての品種名は16種ですが、その内「唐駒錦」は、
天保14年の「頂砂子」の改名が定説となっています。
他の新掲載15種の一部を取り上げてみると、同名現存種には「錦牡丹」現「金牡丹」と
「東海錦」昭和49年「花車」に統合が有ります。

「流」は参考文献では現在の「墨流」となっており、他の参考文献でも「墨流」の初めは
昭和12年となっている。

「神代錦」は参考文献「イワヒバを楽しむ」の「紫金襴」品種解説の一部に「この紅葉の
色彩が渋く出たものを一部地域では「神代錦」と呼ばれていました」と記述されています。

「茨城古金」は昭和6年の東京巻柏会銘鑑の「九重錦」の説明文に「茨城古金とも云ふ」と
記述有るが、「九重錦」も同時に掲載されています。 真相や如何に。
 
次に「錦蜀光」ですが、現在の「錦蜀光」の定説は、この時点では「金山」名の品種が該当し、
本種は はみ出し物扱いとなっています。 この件をふくめた疑問も有り、後述します。

この「錦星」は、現在の「錦星」と文字も同じですが、全く無関係の品種です、
現在の「錦星」は、まだ記憶に新しい昭和61年の登録品種です。
 
「黒牡丹斑」は、昭和6年の青桃園銘鑑に、同名品の掲載がありますが、関連については
解りません、黒牡丹は白や黄色の変わり葉が稀に出る事が有りますので、その様な品だった
のだろうか、などと一人思いを巡らせています
「黒牡丹」からの変化種で、この後に発表された品種には、白牡丹、湖東錦、紫玉、司牡丹、
牡丹冠、など有り、また未登録品種ですが、「黄牡丹」の名で存在する品種も「黒牡丹」の
変化種と言われており、「黒牡丹」からの変化種は彩り豊かです。

「唐花楊貴妃」、その名から察するに、葉形は唐花で色彩は楊貴妃と思われる。
現在でも斑色が出やすい「唐花」が存在します、その様な品種だったのでしょう。

「紅古金襴」もその名から、前記の「神代錦」と同様に、管理環境に起因する、
一時的な変化の「古金襴」だったのかもしれません。

残る5品種、「御所車」「御代錦」「相生」「玉紋」「亀鶴」に付いては、他の文献に似た様な
品種名の記述も全く無く、皆目見当が付きません。


旧「金山」改名「錦蜀光」説の疑問点
暇でしゃ〜ねぇ〜がら、重箱の隅でもつっついて見っか、ってが。

 現在の「錦蜀光」は、萬延元年より昭和18年までの各銘鑑に掲載のある「金山」が、
昭和22年から「錦蜀光」名になった様に記されています。
また、別のページでは、「金山」が昭和16年に「錦蜀光」名で改名登録されたとも有ります。

 しかし「錦蜀光」名の品種は、それ以前の昭和12年に発行されたこの銘鑑に、既に掲載が
有り、また昭和18年に発行された東京金龍会銘鑑にも掲載されて居ます。
参考書籍では、昭和12年のこの銘鑑の「錦蜀光」及び18年銘鑑の「錦蜀光」は、昭和22年
以降の銘鑑に掲載されている現在の「錦蜀光」とは別の品種であるとされており、同文字の
同名で有りながら、別系統の別種扱いになっています。

 また現在の「金山」については、書籍「原色イワヒバ銘鑑」に次のような記述が有ります。
〔現「金山」は昭和18年、宇都宮市、石川靖知氏再登録、古名は黄金獅子。〕

 この二つの説「錦蜀光」と「金山」の品種名の変遷説を図にすると下図の様になります。

 ※  ○印は銘鑑に同名の掲載有り 

 上の図から昭和18年の「金山」は、現在の「金山」でもあり、現在の「錦蜀光」でもあるという
矛盾が読み取れます。

 日本巻柏連合会第3号銘鑑(昭和27年に発行)に掲載された「金山」と「錦蜀光」及び、
第4号銘鑑、第5号銘鑑の「錦蜀光」には説明文が付いています、手持ちの参考書籍の
写真では、文字が小さく正確に読み取る事は出来ませんが、各銘鑑の「錦蜀光」の説明文は、
昭和18年の東京金龍会銘鑑の説明文と同文のようで、〔蜀光錦の一種にして蜀光錦より
立葉紅黄を帯中緑あり見事なる●種貴品〕となっているようです。 の部分は解読できず)
   
 つまり昭和18年から昭和32年までの「錦蜀光」は同説明文でありながら、昭和18年の
「錦蜀光」は別種扱いになります。 しかし同名で同じ説明文である両種が別種とは考え
られず、少なくとも第5号銘鑑に掲載された昭和32年までの「錦蜀光」は、昭和18年の
「錦蜀光」と同じと思われ、ひいては、この銘鑑の「錦蜀光」とも同じと思われるのです。

 また銘鑑に掲載された特徴説明文から、昭和32年までの「錦蜀光」は、現在の品種とは
特徴が異なり、「蜀光錦」に類似した別物と思わざるを得ないのです。
〔蜀光錦の一種にして・・・〕とある「蜀光錦」の黄色斑は、葉先から葉元の向かって入り、葉先
の黄色は強く葉元に行くほど緑を強く残します、時には刷毛込み斑類に類別される程ですが、
「錦蜀光」の曙斑は「金華山」等の様に中斑になり、「蜀光錦」の斑とは全く異質なのです。

昭和33年度第6号銘鑑以降の全ての銘鑑に掲載された「錦蜀光」には説明文が無いため、
実際にはどの時点で現在の「錦蜀光」に入れ替わったのか確認する事が出来ませんが
昭和22年入れ替わり説には疑問が残ります。

 以上の事から、この銘鑑に掲載された「錦蜀光」は、「蜀光錦」に似た特徴を持つ品種で、
少なくても昭和32年以降まで、この品種が「錦蜀光」として扱われていたように思われます。



                              あなた
 何だが むずがしいごどになっちゃたな〜。 読んでるおめえも解がんながんべ〜。
書いてる俺もどっちがどっちだが解がんなぐなっちゃったよ。
まぁ、暇潰しだがらいいとすっか。


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