昭和32年度に新種登録された「白鳥」の、登録時の銘鑑の説明文中に「白砂」の実生」の
記述が見られるのですが、日本巻柏連合会編の書籍、「原色イワヒバ銘鑑」の記述には、
「白妙」の胞子発芽」の記述と、古来種「飛奈鶴」の改名説の、両説が見られます。
一つの書籍に、両説の掲載が有り、どちらが正しいのか迷うところです。
「白妙」と「白砂」の関係を、銘鑑で追ってみると、「白妙」名の掲載は明治31年に始まり、
「白砂」名は昭和6年の、東京巻柏会銘鑑が初めで、翌7年銘鑑では「白妙」に成っており、
両種の説明文は同文で、「立葉にして葉幅廣く、白砂子斑入、上品なり」 と成っています。
日本巻柏連合会銘鑑では、第1号〜3号は「白砂」で、第4号〜10号までは「白妙」です。
日本巻柏連合会銘鑑でも、交互掲載で、両種が同時掲載された事は無く、参考書籍での
扱いも混同しており、両種は異名同種と判断せざるを得ない状況です。
「白砂」に付いては、日本巻柏連合会編、主婦の友社発刊の書籍の「白鳥」の項に、
次のような記述が有ります、「「白鳥」・・・この品種は「白砂」の胞子発芽種といわれています。
・・・(中略)・・・もっとも昭和四十九年以後は「白砂」も「白鳥」に統合されることになりました。」
以上の記述が有る事から、「白砂」は昭和49年に「白鳥」に統合された、とも取れるのです。
重箱の隅を突付くような事に成ってしまいましたが、どうもスッキリしない状況です。
結果はいずれにしても、統合された物と判断した場合、歴史ある古来種の品名が、
後から生まれた品種名に吸収された事には、個人的には納得できません。
管理や環境などで変化を見せる巻柏です、交通の便が悪かった昔、長い歴史のうちに、
同種が異名で流通した事は充分考えられますが、このような状況の時には、歴史ある
品種名を残すべきだっと考えるのは、私だけなのでしょうか。
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