名寄の掲載品種

延元年 東都 岩檜葉名寄 掲載品種名

名寄せに掲載された品種名を、現存種、改名現存種、不現存種に分けてみました、
改名現存種に類別した、品種名の後の(現在名)は、疑問に感じる部分も有り、
真偽の程は定かではないのですが、手持の参考書籍に、その様な記述が有った物です。

類別
同名現存種
改名現存種(現在名)
不現存種
曙類
大花菱
唐 花
花 車
錦 木
有 明
玉川染
楊貴妃
玉手箱
唐 織
金花山
金毛織
金  山
玉かつら
(金華山)
(金 龍)
(錦蜀光)
(玉 葛)
花 菱
陸奥山
都 鳥
金輪際
金の
春の曙類
 八重爪
四季の曙
羅紗爪 
富士の雪
飛那鶴 
(西ノ有明)
(越ノ誉)
(銀世界)
(白 鳥)
高尾にしき
白斑曙類
丹 頂
金銀獅子
不二の旭
旭の滝
(雲井鶴)
(朝日滝)
雲井
真ナ
東 鏡
白斑類
高 砂
天鵞絨
雪月花
まつの雪
(松ノ雪)
檜葉
刷毛込斑類
一天四海
蜀江錦
友しら賀
(蜀光錦)
(友白髪)
白地の錦
唐さらさ
砂子斑類
都 紅
山本砂子
古金襴
白 綾
みやこ錦
虎金砂 
小雨のにしき
(泉ノ華)
(金砂子)
(小雨錦)
水野爪金
萌黄葉類
立 浪
萠黄縮緬
黄金鶴
天乙女

黄金獅子
夕日影 
羽衣裳 
宝の山 
(金 山)
( 暁 )
(羽 衣)
(宝 山)
千代笹
一本葉類
龍 登
青 龍
臥 龍
龍 尾
群 龍
青葉替類
青 柳
猿 候
黒 龍
玉獅子
玉麒麟
八重麒麟
麒麟獅子
織 鶴
雲 鶴
出物斑入
京更紗
故郷錦
御所錦
花の山
金襴織
雪 笹 
猿候斑入
(黄門殿)
(猿候ノ斑)
華 染
出物青葉
燕 尾
飛 龍
黒牡丹
玉孔雀
青 嵐

 

 現存種の項
この類別では、日本巻柏連合会第一号以降の銘鑑に、一度でも其の名で掲載された品種は、
現存種としました、従って其の後に日本巻柏連合会で、他の品種と統合した品種も、現存種
の項に分類してあります。(「雪月花」は「高砂」に統合)(「京更紗」は「榧ノ雪」に統合)
(故郷錦は「九重錦」に統合)等です。
また「唐織」「天乙女」「黒龍」「玉孔雀」「金襴織」の各品種は、近年の銘鑑には見られません。


 不現存種の項
この項にある「高尾にしき」と「雲井」は、現在の「高尾錦」「雲井鶴」とは、無縁の品種です。

天保14年の名寄に有る「水野爪金」は、この名寄の「唐花」だと言う説が複数あり、この名寄
の「水野爪金」は、天保のものとは別種扱いされています。

近年発行された書籍に、「群龍」「花染」の名が見られますが、其の関係はわかりません。


 改名現存種の項
まず真っ先に取上げたいのは、「金毛織」の「金龍」説ですが、昭和50年代以前に発行された
書籍には、この説が有るのですが、其の後に存在が確認されたと思われる、明治三十四年の
銘鑑には、別枠で大きく「金龍」が掲載されており、「金毛織」も掲載があることから、現在の
「金龍」は明治の銘鑑に掲載されたものが始めで、この説は誤りではないかと思っています。

昭和32年に登録された「白鳥」は、登録時の銘鑑の説明文に「白砂」の実生と有るのですが、
「飛那鶴」の改名説も書籍に見られます。

「不二の旭」⇒「雲井鶴」説も、参考書籍に見られるのですが、「不二の旭」名の現存品が存在
します、登録品では有りませんが、同じ白斑曙(金銀斑)系のやや細葉の品種です、その様な
事から、この説にも疑問を感じます。

「夕日影」⇒「暁」説は、其の経歴が銘鑑で確認できる唯一の品種です。
「夕日影」⇒「寶簑」と名を変え、日本巻柏連合会第一号銘鑑から「暁」になりますが、
改名毎に銘鑑に小さな文字で、「夕日影改め」「寶簑改め」の補足が見られます。


 「都乃錦」に付いて、
「都乃錦」は「みやこにしき」「都錦」で、昭和6年の銘鑑まで掲載があるのですが、その後の
記録は有りません。明治31年の「都錦」説明文には「都紅の如くして葉は厚し」とあリます。
昭和44年に発行の参考書籍「よみがえる古典植物いわひば」には、現在の品種として、
「都錦」の掲載が有り、その説明文は「葉の姿色彩共に都紅と全く同じであるが、葉に幾分
厚味が有る。別々に見ると全然分からないが、一緒に並べて見ると何処となく違う点がある」
と記述されていいます。

 ここで「都乃錦」の改名品種とした「泉乃華」は、昭和63年新登録された品種であるため、
それ前に出版されている参考文献に、その経緯等は当然出ていません。
「泉乃華」は登録前より「都錦」名で一般に普及しており、登録時点で数十年物の古株が
存在していた事や、肉厚の葉で特徴が何処となく「都紅」に似ている点などを考慮して、
私が主観で改名継承品種に分類したものです。


 

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