補 足
現存種の項
この類別では、日本巻柏連合会第一号以降の銘鑑に、一度でも其の名で掲載された品種は、
現存種としました、従って其の後に日本巻柏連合会で、他の品種と統合した品種も、現存種
の項に分類してあります。(「雪月花」は「高砂」に統合)(「京更紗」は「榧ノ雪」に統合)
(故郷錦は「九重錦」に統合)等です。
また「唐織」「天乙女」「黒龍」「玉孔雀」「金襴織」の各品種は、近年の銘鑑には見られません。
不現存種の項
この項にある「高尾にしき」と「雲井」は、現在の「高尾錦」「雲井鶴」とは、無縁の品種です。
天保14年の名寄に有る「水野爪金」は、この名寄の「唐花」だと言う説が複数あり、この名寄
の「水野爪金」は、天保のものとは別種扱いされています。
近年発行された書籍に、「群龍」「花染」の名が見られますが、其の関係はわかりません。
改名現存種の項
まず真っ先に取上げたいのは、「金毛織」の「金龍」説ですが、昭和50年代以前に発行された
書籍には、この説が有るのですが、其の後に存在が確認されたと思われる、明治三十四年の
銘鑑には、別枠で大きく「金龍」が掲載されており、「金毛織」も掲載があることから、現在の
「金龍」は明治の銘鑑に掲載されたものが始めで、この説は誤りではないかと思っています。
昭和32年に登録された「白鳥」は、登録時の銘鑑の説明文に「白砂」の実生と有るのですが、
「飛那鶴」の改名説も書籍に見られます。
「不二の旭」⇒「雲井鶴」説も、参考書籍に見られるのですが、「不二の旭」名の現存品が存在
します、登録品では有りませんが、同じ白斑曙(金銀斑)系のやや細葉の品種です、その様な
事から、この説にも疑問を感じます。
「夕日影」⇒「暁」説は、其の経歴が銘鑑で確認できる唯一の品種です。
「夕日影」⇒「寶簑」と名を変え、日本巻柏連合会第一号銘鑑から「暁」になりますが、
改名毎に銘鑑に小さな文字で、「夕日影改め」「寶簑改め」の補足が見られます。
「都乃錦」に付いて、
「都乃錦」は「みやこにしき」「都錦」で、昭和6年の銘鑑まで掲載があるのですが、その後の
記録は有りません。明治31年の「都錦」説明文には「都紅の如くして葉は厚し」とあリます。
昭和44年に発行の参考書籍「よみがえる古典植物いわひば」には、現在の品種として、
「都錦」の掲載が有り、その説明文は「葉の姿色彩共に都紅と全く同じであるが、葉に幾分
厚味が有る。別々に見ると全然分からないが、一緒に並べて見ると何処となく違う点がある」
と記述されていいます。
ここで「都乃錦」の改名品種とした「泉乃華」は、昭和63年新登録された品種であるため、
それ前に出版されている参考文献に、その経緯等は当然出ていません。
「泉乃華」は登録前より「都錦」名で一般に普及しており、登録時点で数十年物の古株が
存在していた事や、肉厚の葉で特徴が何処となく「都紅」に似ている点などを考慮して、
私が主観で改名継承品種に分類したものです。
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