山開きのセレモニーは桜の名所蟻塚公園で行われました。

あいにく桜はまだつぼみのままでしたが、地元「南流太鼓」のみなさんが太鼓で歓迎してくれました。

折壁小学校と上折壁小学校の「森林愛護少年団」の生徒のみなさんが先陣を切って登山を開始しました。

最初の難関はこの長い杉林です。

しかし、杉林特有のひんやりした空気が、上着を脱いでも暑いくらいの身体の火照りを冷やしてくれて、心地よかったです。

田植えの壇で一休み。

ここは、室根祭の御輿が室根神社から下るとき、神事が行われる場所です。

真ん中に小さな祠がありますが、これが「農王社」で、その右手前に小さな塚が二つあります。
その塚に本宮・新宮二つの御輿を降ろして、「農王社」に稲穂を備え、杉の葉で田植えの物まねをし、祝詞を奏上して新穀に感謝するのです。

姫滝は細い渓流で、冷たい水が渇いたのどに心地よく浸みます。

姫滝の左脇には石室があり、そこに芦東山（『無刑録』を執筆して有名な儒者）がこもって思索したと伝えられています。

植生が変わり、雑木林になりました。

木々はまだ芽吹かず、見晴らしはいいのですが、足下に積もった枯葉が足をすくいます。

その足下の枯葉の間から、カタクリの花が顔を出していました。

その可憐な姿は、しばし疲れを忘れさせてくれます。

やっとたどり着いた室根神社の新宮。神社はもう一つ本宮が右側にあります。

二つの神社の由来は、次の写真の掲示板に説明があります。

由来のポイントは、本宮は７１８年に、新宮は１３１３年に、ともに和歌山県の本宮町と新宮町から、熊野大社の神を迎えて造営されたものだ、ということです。

新宮の左側には三十三観音があります。
掲示板によると1776年に造られたとのこと。アメリカ独立宣言の年です。

子どもたちが集まっている場所がわき水で、この水が姫滝に流れていきます。

なお、「室根祭り」の際、この清水で午前１時ごろから沐浴潔斎をするのだそうです

室根神社の本宮で行われた神事の様子です。春の大祭と山開きの安全祈願を兼ねて、３０分ほど行われました。

小学生たちも神社の前に勢揃いし、神妙に「のりと」を聞いていました。

室根神社を再出発して１５分、やっと見晴らしのいい頂上付近に出ました。

この小道の両側は、６月には山ツツジで真っ赤に染まります。

やっと頂上に到着。

風が少し強かったのですが、みんな疲れも見せず元気に万歳三唱です。

本来なら３６０度のパノラマが楽しめるのですが、前日の雨天の名残か、あいにく霞がかかっていました。

それでもかすかに気仙沼の海が見えています。

久しぶりに自分の足で登り切った充実感を味わいました。

親切な知人が撮影してくれました。

昼食のため、山の北側にある「牧場のレストラン」に下る途中に、雪渓が残っていました。

８００メートル付近の日陰はまだ冬の眠りから完全には目覚めていないようです。

「牧場のレストラン」から見た風景。

牛がのんびりと草を食み、いかにものどかな牧場の風情です。

レストランの焼き肉は、厚手の生のラムを使った贅沢な一品です。食後にはバニラと抹茶とチョコのソフトクリームもあります。

レストランから見下ろす隣の厩舎では、乗馬用の馬が飼われています。

子どもたちがポニーに乗って楽しそうでした。

帰りに蟻塚公園に寄ると、日中の暖かさにほころんで開いた花を発見しました。

一週間もすれば見頃になるか。