登り口は須川温泉の露天風呂の脇にあります。写真のじき下が源泉で足湯のできるひろい池になっています。

ここでは強酸性の湯が湧出するので酢川岳と言ったのが、須川岳になったのだそうです。

我が家から須川温泉までは車で２時間半ほど。そこから頂上まで歩いて２時間ぐらいかかるのですが、今回は紅葉狩りが主なので頂上行きは無理しないことにしました。

最初の分岐点で右側の剣岳を通るコースを選びました。その剣岳のふもとの紅葉です。

下の写真がその右側になるのですが、剣岳は屏風のようにそばだっています。

ここはかつての噴火口付近で、剣岳はその名残りだそうです

手前は湿地帯で、登山用の木道が剣岳の脇を通って左の名残ヶ原へ続いています。

左奥に見えているのが須川岳。　

これは木道から剣岳の右手を撮った写真。大きな溶岩石が転がっているのを、賽の河原に見立てたのでしょうか。

奥の紅葉に陽が差し、鮮やかでした。

実は、この位置で三脚を立てた大きなカメラで写真を撮っている人がいたのです。それを真似て同様のアングルで撮ってみました。

このあたりはイワカガミ（下の写真の花）の群生地なのです。
　

剣岳を過ぎると名残ヶ原に出て、ここで名残ヶ原直登コースに合流します。

名残ヶ原は初夏にはワタスゲ（下の写真）などの高山植物が咲き乱れるお花畑です。
　

前方には須川岳とそのふもとの山々が、紅葉の錦を織りなして横たわっていました。

苔花台には分岐点の白い標識（写真右下にチラチラ見える）が立っています。ここを真っ直ぐ登るのが須川コースで、左に曲がって足下を流れる渓流（ゼッタ沢）を超えていくのが産沼コースです。

そのゼッタ沢の対岸の紅葉が見事でした。

ここで立ち止まって見とれている人が多かったのですが、たしかにここまでで一番の見どころでした。

そのポイントから左下方を見下ろしたのが左の写真です。

私たちもこの場所で、休憩をかねてしばらく紅葉の錦の豪華さを味わいました。

ゼッタ沢（左の写真では沢自体は紅葉に隠れて見えない）を挟んだ両岸の山々に広がる紅葉の様は、まさに錦秋と呼ぶにふさわしいものでした。

須川コースを選んで進み、ゼッタ沢を渡ってしばらくすると、硫黄のにおいが立ちこめてきました。

地獄谷です。

この沢は有毒ガス（硫化水素）のため立入禁止でした。その沢を左手に見ながら、木で足場を組んだ登山道を進みます。

地獄谷を過ぎ、登り始めて１時間ほどすると昭和湖に着きました。

ここが山頂までの中間地点になるそうです。

この湖は、1944年(昭和19年)11月20日に水蒸気爆発を起こして出来上がりました。
それで”昭和”湖なのですが、強酸性ゆえエメラルドグリーンの水をたたえています。

この時はあいにく曇りだったので、その色がよく写っていません。

昭和湖を後にして登り始めると、「胸突坂」といわれる急勾配の難所にさしかかります。足場を木で組んだ急な坂道を登っている時、立ち止まっている人を追い越して驚きました。旧知の大先輩だったのです。　　↓
　
奥さんや近所の方とご一緒でした。

胸突坂を登りあげ、溶岩石の転がる賽走りについたところです。

最難関を過ぎてさすがに疲れ、一休み。

その賽走りから見上げた頂上です。

この尾根を右手から登って左奥の頂上に至るのですが、ここからだとまだ40分ほどかかります。

その尾根までの紅葉の様子をしっかり目に（写真に？）おさめ、ここで引き返すことにしました。

頂上にはこれまでも何回か登っているのですが、その証拠写真　↓

私たちと違って元気なグループが、次々と頂上を目指して登ってきます。

下りながら頂上からの斜面を見渡すと、下の山々の華やかに燃え立つ紅葉とはまた違って、独特の趣きがあります。

高地ゆえの低木が這う、穏やかに落ち着いた絵模様を、もう一度写真に納めました。

下山途中で偶然妻の友人に会ったのですが、その方は10月1日にも登ったのだそうです。その時はちょうど初雪が降り、紅葉と雪が同時に見られたと喜んでいました。

だから頂上の紅葉は盛りが過ぎたのだ、とのことです。どうりでしっとりなじんだ感じがします。

胸突坂を下りると、眼下にまた昭和湖が見えてきました。

湖のほとりを歩いている人と比べると、昭和湖の大きさが分かります。　

木道を渡った奥にある屋根が緑色の建物はトイレ。

昭和湖から下りて来ると右手が地獄谷になります。

登山道の左側に登ってみると、道路からは見られなかった隣の山が目に入ってきました。その山の紅葉も見事でした。

地獄谷の下流に出ると、また鮮やかな紅葉が目に入ってきました。

登山道から右側に大きくそれた、岩のとったんで撮った写真。紅葉の錦を縫って流れる渓谷も味があります。

登山道は写真の左側になります。

更に少し下った、ゼッタ沢に下りる途中で撮った写真。

妻もこの景色が気に入ったのか、ポーズを取っています。

妻の足下にある角材は、腰掛け用に準備してあるみたいです。ここから少し先にも置いてあって、それを道路脇に寄せて腰掛けて紅葉を観賞している人が５〜６人いました。

ゼッタ沢に沿って苔花台に向かう途中の対岸の山々は、むせかえるような紅葉の真っ盛りでした。

どこを切り取ってもそのまま錦秋の絵図になります。

その中から順に写真を５枚紹介します。

苔花台を過ぎ、名残ヶ原に向かう途中の登山道です。

実は、雨が数日続いた影響で道はまだ乾かずビショビショでした。

それでも道の両側に続く紅葉の鮮やかさには、ハッとさせられっぱなしでした。

ここでもナナカマドの赤とカエデの黄が鮮やかに映えていました。

登山者はひっきりなしに登ってきます。

互いに足場を気にしながらも、狭い道で譲り合い、すれ違います。

やっと名残ヶ原に戻り、須川岳を振り返ったところです。

ここが須川岳全景の見納めなので、"名残"が尽きないのかも。

帰りは剣岳のコースを通らず、登り口まで直行です。ここからは10分ぐらい。

名残ヶ原を過ぎても、紅葉の壁は途切れずに続いています。

須川温泉の駐車場が見えてきました。

下山してからわかったのですが、車は駐車場に入りきれず、路上駐車の列が長々と続いていました。
平日にもかかわらず大混雑だったのです。

確かに、全山これ紅葉、といった美しさを見ては、それも無理がないと思いました。

私たちは朝７時半に家を出たおかげで、すんなり駐車できたのでした。

登り口の上にある大きな岩は大日岩です。この下から湧き出る湯が、白濁した掛け流しの足湯になっているのでした。

その足湯に、娘が子どもの頃助けられたことがあります。

家族で須川岳に登った時、娘が帰りの坂道で捻挫してしまったのです。途中から私が負ぶって下ってきたのですが、ここで足湯につかって痛みを和らげたのでした。
　< その時の家族　 ↓ >

下山後温泉に入ろうと思ったのですが、大勢の客で混雑していたのであきらめました。

車で30分ほど山を下った所にある真湯温泉に寄ってみると、ここはがら空きでした。

しかも、「胸突坂」で会った大先輩と、室根在住の妻のいとこ夫婦に偶然出会ったのです。
いとこ夫婦も須川岳の紅葉を見ての帰りでした。