金沢市は石川県の県庁所在地。江戸時代加賀百万石の城下町として栄えました。

第２次大戦中空襲を受けなかったことから、歴史的風情が残っているといわれます。

金沢城のある場所は、もと加賀一向一揆の拠点で、浄土真宗の要塞ともいえる「尾山御坊」があった所です。

それが信長に攻め落とされた後、前田利家が改修・築城します。

明治になって陸軍の第９師団司令部がおかれ、戦後は金沢大学のキャンパスとなりました。大学が1995年に転出してからは公園となっています。

石川門は1759年の大火で一度焼失し、1788年に再建されました。
屋根が白いのは鉛瓦が使用されていいるからで、金沢城に残る数少ない遺構として重要文化財に指定されているそうです。

下の公園模型写真では、左端と下端からそれぞれ４�pにあたる箇所に見える白屋根が石川門です。公園の入り口になっています。

明治14年の火災で石川門のほか二箇所を残して城は消失してしまいました。

それでいま金沢城の復元整備事業が行われているそうです。

　　復元された「菱櫓」　↓

石川門から出て真っ直ぐ高架橋を渡ると、兼六園でした。

加賀藩五代藩主前田綱紀の作庭がもととなり、代々の藩主が増改築して今の姿になりました。

園内で一番大きい池「霞ヶ池」とその前にかかる虹橋です。

立派なカメラで写真を撮っている若い外国人女性がいて、その人を案内している付き添いの女性と一緒の記念写真を頼まれ、その立派なカメラのシャッターを押してあげました。

その風景を私も撮ってみました。

なお、観光パンフには冬の風物詩として人気の高い雪景色が紹介されています。　↓

確かに枝を守る三角錐の雪吊りが園内くまなく張られていました。しかし雪の降った形跡は見当たりません。

タクシーの運転手に、兼六園の雪景色が見たさに正月に何度も訪れて来るという客の話を聞きました。しかし１月の下旬でなければ雪は降らないという話でした。
私たちが訪れた時がまさしくその１月下旬だったのですが。

雪吊り作業は11月１日に行われるそうです。それから３ヶ月も雪が降らないのでは、雪対策のためというより観光客に期待を持たせるためなのかな

園内には芭蕉の句碑もありました。
【 あかあかと　日はつ
　 れなくも　秋の風 】

『奥の細道』で金沢からの道中吟として載っている句です。
【 日は容赦なく照りつ
　けるが、吹く風は涼し
　い秋の気配 】

妻は禅に興味を持ち、友だちと一緒に座禅会に参加したり、家で座禅を組んだりしています。
それで金沢出身の仏教哲学者、鈴木大拙の記念館をどうしても訪れてみたいというのでした。

写真は記念館の水鏡の庭を前に一休みの妻。左側に一部が見えている白い建物は思索空間棟。

念願叶って妻も満足げでした。

金沢百万石の城下町の、文化人たちの社交場や歓楽街として栄えた東茶屋街は、現在も芸子さんや芸者さんが２０名ほどいて、８軒が営業中だそうです。

笛や太鼓、三味線などの音が流れ、当時の風情をいまにとどめているのでした。

この東茶屋街には「まいどさん」という観光ボランティアガイドの方がいて、頼むとこの一帯を説明しながら案内してくれるのでした。その際この写真も撮ってくださいました。

昔は通りの真ん中を小川が流れていたこと、そのため小川の両脇の通路は狭かったのだが、それは通りの左右に並ぶ茶屋が、客の手を引いてすぐ呼び込めるようにするためだったのだ、などと、いろいろ詳しく説明していただき、楽しかったです。

ここ数年禅に凝っている妻は、永平寺参拝が宿願のようなものでした。

それで「大人の休日倶楽部」企画の「金沢フリータイム・加賀料理満喫と永平寺参拝〜３日間の旅〜」に申し込んだのでした。

上に紹介した金沢城公園や兼六園、鈴木大拙館と東茶屋は、１日目のフリータイムで行った箇所です。

これからご紹介する永平寺・越前人形の里・丸岡城・那谷寺は、添乗員付き貸切バスでの旅でした。

バスを降りて歩いて行くと、参道の入り口の掲示板に永平寺全景図が描かれていました。左上の写真はガイドさんがそれを見ながら説明しているところ。

左下の写真がその全景図。朱書きの建物は「七堂伽藍」と呼ばれるものだそうです。そのうちの僧堂（90人が座禅できる修行の根本道場）・東司（お手洗い）・浴室は三黙道場といって、一切の私語が禁止されています。

それぞれの建物は全て広い廊下で繋がれていて、一度中に入ったら廊下伝いにどこにでも行けるのでした。
　＜ 渡り廊下 ↓ ＞

左の写真は、傘松閣（さんしょうかく）という建物の中にある、156畳敷という大広間の絵天井です。

花や鳥の色彩画からなる230枚の天井画は、1930年に著名な画家144名によって描かれたのだそうです。

ガイドさんによると、この絵の中に鳥以外の動物の絵が５枚交じっていて、それを全部見つけると願いが叶うそうだとのこと。

それを聞いたバスの客が一斉に探し始めたので、私も目をこらして探してみました。
「あった！」という声の方向も参考にして、無事に？５枚とも見つけることができました。
（動物の内訳は獅子が２枚、鯉が２枚、リスが１枚）

妻が「見つかった？」と聞きに来たので、探しあぐねていた何枚かを教えてあげたのですが、私は肝心の願いを考えていなかったので、せっかくの努力も報われないままです。

次は法堂（はっとう）の正面階段で撮った写真。

法堂は七堂伽藍の中で一番高い場所にあり、380畳敷だそうです。住職が修行僧に説法する場で、法要も行われる所。

この時は、若い僧たちが10人ほど和気あいあい儀式の練習？をしていました。　　↓

これは渡り廊下を通って「承陽殿」に向かう途中、庭が見えたので撮った写真 。

渡り廊下はほとんどが腰板で覆われています。そうでない箇所も風が吹き入るのを防ぐためビニールで囲われているので、窓やビニール越しにしか庭の様子を見ることができません。

それがここでは腰板もビニールもなかったので、庭の様子をじかに眺めることができました。

承陽殿の正面です。
香炉の上の獅子が面白いので撮ってみました。

承陽殿（じょうようでん）は、道元の御真廟（お墓）で、曹洞宗発祥の根源として曹洞宗の聖地とでもいうべき場所なのだそうです。

奥の中央に道元の像と遺骨が安置されているそうです。　　↓

山門は本来修行僧が入門する玄関にあたる場所なのだそうですが、順路に従い最後に参拝となりました。
　 < 山門正面　↓ >

門の両側には四天王が祀られています。写真では、左上が増長天、右上が広目天。左下が多聞天、右下が持国天です。

いずれも外部から進入する悪魔を遮る仏教の守護神。

なお、東方の守護神が持国天（右下）、北方の守護神が多聞天（左下）、西方の守護神が広目天（右上）、南方の守護神が増長天（左上）なのだそうです。

１時間ほどかけてゆっくり回った拝観を終え、入り口に帰ってきたところです。

妻の笑顔には、永年の夢が実現した満足感があふれているようにも……。

道元の『正法眼蔵』は難解な書ですが、日本の禅僧のみならず西洋の哲学者からも注目されているそうです。

「悟り」とは修行の結果たどり着く特定の状態をさすのではなく、日常の行いを通じてそれを求め、修行し続けること自体の中にしかないのだそうですが、＜である＞ことと＜する＞ことに関連する事象に多くの示唆を与えます。

それを思うと禅を志す妻の行く手も、本当は笑ってなどいられない厳しいものだと思うのですが……。

次にバスが訪れたのは、「越前竹人形の里」でした。ここで昼食を取り、工房と人形館を見学しました。

越前竹人形は福井県出身の水上勉の小説『越前竹人形』で知られ、若尾文子主演で映画化されて一躍脚光を浴びたのだそうです。

竹人形工房「篝（かがり）」では、職人さんが実際に竹人形を制作している様子を見学できました。

上の写真の手前に写っている竹筒の中に、細く削った竹の束が入っていますが、この竹は0.2�oの細さだそうです。

この細い竹で下の写真左にあるような髪の毛を造るのだそうですが、竹をこの細さに仕上げるには４〜５年の修行がいるのだとのこと。

下の写真には拡大鏡が写っていますが、これで髪の毛を頭に植えつけている様が見られるようになっています。のぞいて見ると、頭に小さな穴が無数に開けられており、その一つひとつに細い竹一本いっぽんが、実際に髪の毛の生えている状態で埋められているのでした。

職人技は、気の遠くなるような根気のいる作業なのでした。

竹人形館「黎明」には、創作竹人形が展示されていました。日本で唯一の竹人形館だそうです。

左は廊下に飾ってあった「よさこいソーラン」の群像。

展示室には50点ほどの作品がケース入りで展示されていました。その中から「かぐや姫」を紹介します。 　↓

部屋の脇の棚にも様々な作品が展示されていました。左の写真はその一角を撮ったものです。

２段目は大名行列でしょうか。下の段の三味線弾きの右側の長い衣を着た人形には、「紫式部」と表示がありました。

これほど多彩な人形が作られているとは、初めて知りました。