結婚式の翌日、メルボルンの南方にあるフィリップ島へ、名物のペンギン・パレードを見に姪の案内で出かけました。車で２時間の距離です。

その途中、オーストラリア固有種の見られる小動物園にも寄ってみました。

小動物園に着くと、入り口で姪が驚きの声を上げました。姪は日本人向け観光案内の仕事をしていたのですが、その同僚にばったり出あったのです。

左の写真は、その驚きの場面。

タスマニアデビルは、世界最大の肉食有袋類だそうです。とは言っても小型犬ほどの大きさでした。
デビルという名は大げさな気もしましたが、やはり肉食のどう猛さを感じさせます。

オーストラリア大陸では絶滅し、現在はタスマニア島にのみ生息。絶滅危惧種に指定されているそうです。

コアラが主食にするユーカリの葉は栄養に乏しく、エネルギーを節約するため１日に２０時間は眠って過ごすそうです。
この時も目はつぶったままでした。

下で寝転んでいるのはワラビーで、カンガルーに比べて後ろ足が短く、小型です。穏やかな気性らしく、手のひらで餌を与えると静かに食べていました。

エミューはダチョウの仲間で、オーストラリアの国鳥です。

羽は鳥類で唯一、２本で１対になっているそうです。

背丈は人間並みの高さがあり、かなり大きかったです。

カンガルーは「跳ぶもの」という意味だそうです。後ろ足でジャンプするからでしょうか。

大型のは１６０�pにもなるそうですが、これはワラルーと呼ばれる中型のカンガルーです。

飼われているせいか人なつっこく、皿の餌をねだって寄ってきました。

お目当てのフィリップ島の、ペンギンのパレードが見られるという海岸の施設の、入場券売り場です。　

フィリップ島のペンギンはペンギンの中でも一番小型なので、リトル・ペンギンとかフェアリー・ペンギンと呼ばれるそうです。　

早朝に魚を獲りに海に出かけ、夕方戻ってくるのです。戻って海から上がり巣まで歩いて行く様子がパレードのようなので「ペンギン・パレード」と呼ぶのだそうです。

その時刻にはまだ早かったので、施設内のレストランで夕食を取りました。

見学場所は撮影禁止なので、肝心のペンギンの写真は撮れませんでした。
左の写真はウェブサイトで見つけたのですが、これで雰囲気がよく分かると思います。

写真の左側の観覧席は、私たちが行ったときはほぼ埋まっていました。
それでもやっと前の方に空きを見つけて座れました。

やがて写真右下のように、ペンギンが海から上がって来るのが見えました。しかし波打ち際近くの砂浜にそれぞれの群れごとに止まっていて、すぐには歩き出しません。様子をうかがっているのでしょうか。

そのうちカモメが砂浜に群れ始め、その何羽かがペンギンの群れに近づいて突っついたりし始めました。

それからやっと、１０羽ぐらいずつが一団になり、観覧席の方に向かって群れごとによちよち歩き出し始めたのでした。

翌日はマイクロバスを借り切って、姪の友だちと一緒にグレート・オーシャン・ロードのドライブに出かけました。

この道路は、ビクトリア州沿岸（オーストラリア大陸南東部）を走っていて、「世界一美しい海岸道路」とも言われており、自動車メーカーがＣＭ撮影に訪れたので有名なそうです。

途中、野生のカンガルーのいるスポットに止まりました。

ゴルフ場の芝生を食べているのでした。

次に止まったスポットが野生のコアラを見られる場所。

コアラが食べるユーカリの木は限られているので、繁殖地も狭いのだそうです。

左の写真では右上の隅の枝の陰にいます。

それを正面からアップで撮りました。

あいかわらず目をつぶったまま、枝に抱きついて身動きもしません。

天敵がいないので安心して眠っているのです。

同じ木にオームも止まっていました。

羽が緑青色で頭部と腹部が真っ赤です。

トイレ休憩に立ち寄った場所で、おもしろい彫刻を見つけました。

木の幹のでこぼこをそのまま利用したような彫刻です。

途中で昼食を取るために、レストランのある場所へ脇道をしました。
そこには広大な牧場が広がっていました。

左は牛の放牧です。

次は羊の放牧。

どこまでも続く放牧地の広さに、オーストラリアは牧畜の大陸なのだったと実感しました。

ここがそのレストラン。

周囲には濃いもやが立ちこめていました。

この窓からは美しい景色が見えるはずだったのですが、あいにくのもやで白一色でした。

裏庭に出てみると、黄色い小花が咲き乱れていました。

グレート・オーシャン・ロードで一番の見どころ、「十二使徒」です。

名前の由来は、絶壁の海に聳え立つ奇岩が１２個あったためで、キリストの十二人の弟子になぞらえて十二使徒と呼んだのだそうです。

しかし強風と荒波のため４つは崩れてしまい、今は８個しかないとのこと。

断崖や奇岩に次々と打ち寄せる波が、激しく砕けています。

見ていて飽きない、雄壮な景色です。

激しい荒波に削られて、海面に接する岩が細くなっていく様がよくわかります。

こうして４個の奇岩が消えていったわけです。

断崖には細い階段が掛けられていました。

その急な階段を下りていくと

そこには意外なほど静かな入り江が広がっていました。
上から見下ろした風景とは別な世界です。

見上げる垂直に切り立った絶壁には、自然の作り出した分厚い迫力があります。

その静かな砂浜で、何を思ったのか妻が太極拳を始めました。

それを見ていた姪の友だちも、見よう見まねで太極拳を舞い始めたのです。

若者の陽気な乗りは見ていてもおもしろく、すかさずシャッターを押しました。

グレート・オーシャン・ロードからの帰りに、市内に入って車から撮った写真。

道路はゆったりと広く、混雑には遭いませんでした。

市内にはいたるところに公園があります。
そこは芝生に覆われ、よく手入れが行き届いています。

この公園は宿の近くにあり、毎日歩いて通いました。
ヨーガにはうってつけだったのです。

ただ、急にスプリンクラーが作動し、芝生に自動的に撒水が始まるのにはびっくりしました。
オーストラリアは急激に乾燥度が増し、芝生は毎日撒水なしには維持できないのです。

お陰で何度かあわてて場所を移動させられました。

４日目の昼近く、変わったレストランはないか探しながら歩いていると、突然爆竹の音がしました。振り返るともうもうと煙が上がっています。

その煙の中から奇妙な姿が現れてきました。

黄色い服を着て坊主面をかぶった人と、張り子の虎？をかついだ黒装束の若者たちでした。

合わせて１０人ほどの一団は、春節を祝う行列なのでした。

中華圏では春節と言って旧暦で正月を祝うのです。南半球では夏が正月なのでした。

オーストラリアには、アジア系の人びとも大勢住んでいます。

その日は娘の勧めで中華料理店に入りました。

娘が選んだのはせいろに入って運ばれてくる蒸し料理でした。

ワゴンの中から気に入った料理を自由に選び取れるのです。

どれもが作りたての温かさでおいしく、娘が自信を持って勧めてくれただけある名料理でした。

料理名は残念ながら忘れてしまいました。

メルボルンはガーデンシティともいわれるそうです。

そこで ４日目と５日目はゆっくり過ごし、公園巡りをしました。

この公園はかなり大きく、一回りして芝生の上で昼食を取ったら半日かかりました。

大きな湖を囲んで、こんもり生い茂る樹木と花々の咲き誇る花壇、そして広い芝生が続いています。

芝生の間にはペンチが置かれているのですが、人びとはゆったり芝生の上に座り、ピクニック気分を楽しんでいるようです。

車いすを押している親子連れや老夫婦もよく見かけました。

湖には黒鳥が悠然と浮かんでいました。

鳥と言えば、オームをよく見かけました。
カラスぐらいの大きさです。

子ども連れの家族のほかに、若者たちもけっこう見かけました。

日陰に寝転んだり、本を読んだりして、のんびり過ごしているのでした。

ところどころに設けられた花壇はよく手入れされ、目を楽しませてくれます。

カラスもよく見かけましたが、日本と違って白と黒のまだら模様なのでした。

ジョギングしている人たちもいました。

この写真では木陰の暗さで見にくいのですが、 みな走り慣れた格好で、スピーディに次々と途切れることなく続いていました。

ジョギングはすっかり生活習慣になっている様です。

妻と娘はこれに触発されたのか、芝生の上でしばしヨーガをやっていました。

メルボルンはビクトリア州の州都なのですが、州の名称は1851年の植民地政府成立時に在位していたイギリスのビクトリア女王にちなんだからです。
当時はメルボルンがオーストラリア最大の都市だったのです。

そう思ってみると、このバラ園も何か歴史を感じさせるのでした。

公園の一角におもしろいモニュメントがありました。
子供たちが喜んで登って、椅子代わりに座って遊びそうです。

これは、５日目に行った公園にある、第二次世界大戦の追悼碑です。

オーストラリアは、第二次世界大戦で軍国主義国家日本の侵略に抗して戦った国だったのです。

日本にいただけでは気づきにくい、過去の日本の歴史的負の遺産を、目の当たりにするようでした。

メルボルンが「世界で最も暮らしやすい都市」といわれるのもわかるような気がします。

ガーデンシティともいわれるほど公園が身近で、ゆったりしたやすらぎの空間に囲まれているのですから、それが生活に人間的ゆとりを生み出しているのかもしれません。

メルボルンはヤラ川の河口に開けた街です。今も市の中心部を流れるヤラ川には遊覧船やボートが浮かび、遊歩道も整備されていて、市民の憩いの場になっています。

オフィス街のすぐ近くでゆっくりボート遊びができるのですから、生活を楽しんでいるのがよくわかります。

ここでも黒鳥が泳いでいました。

市街を散策中に、由緒ありげな教会を見つけたので入ってみました

立派な外観に比べて、中は思いの外簡素でした。

奥の祭壇は薄暗かったのですが、その分ステンドグラスが美しく映えていました。