ザルツブルクはウィーンから３００�q西に位置する、オーストリアの由緒ある都市です。

ユネスコの世界遺産に登録されている旧市街と歴史的建造物を、妻の弟に案内してもらいました。

川沿いの駐車場から歩道に出ると、小高い丘が目に入りました。
川の右手からこの丘にかけてが、世界遺産の旧市街なのでした。

歩道の右側にモーツアルトの大きなポスターが立っていました。

この地はモーツアルトが２５歳まで過ごした生誕の地なのです。それで音楽の聖地とも言われているそうです。

この年は、ちょうどモーツアルト生誕２５０年に当たり、モーツアルトイヤーなのでした。

車は立ち入り禁止の、狭いながらにぎやかなゲトライデ通りを歩いて行くと、細長い赤と白の旗をたらした黄色い建物が見えてきました。
これがモーツアルト生誕の家なのでした。
旗はどうやら目印のようです。

入り口には日本語の案内表示もありました。日本人観光客が多いのでしょう。

中に入ると、当時の楽器や家具、楽譜や写真などが置いてありました。

ここでモーツアルトが１７歳まで過ごしたのかと思うと、一歩一歩踏みしめる床板のきしむ音さえが、なにか貴重なものに感じられてくるのでした。

見学を終えて外に出ると、出口前で焼き栗を売っていました。 　↓

１０００年にわたりザルツブルクに君臨していたのが大司教で、その宮殿がレジデンツです。レジデンツは写真右側の入り口を入った右手になります。

ドームの見える左側の建物は大聖堂。最初のドームは７７４年に建てられたといいますから、古い。

広場には観光用の馬車が待機していました。

大聖堂の扉には、変わった模様のレリーフがありました。
時代は新しそうです。

左上の大きな手は救いの手なのか、やはり宗教性を感じさせる扉です。。

大聖堂の中は大きな窓から入る光で明るく、天井の模様も華やかでした。

パイプオルガンが複数備え付けられており、モーツアルトもミサの演奏で常用したといいます。

そのモーツアルトが洗礼を受けたといわれる洗礼盤もありました。

カラヤンの葬儀もこの大聖堂で行われたそうです。

堂内には、クリスマス用と思われる人形を飾ったコーナーがありました。

中央にいるのは生まれたばかりのキリストを見下ろすマリアと、東方の３博士だと思います。天使あり庶民ありの人形劇です。

歴代の大司教の宮殿レジデンツの入り口にある彫刻です。

この中で６歳のモーツァルトがピアノ演奏し、それをきっかけに神童と言われてヨーロッパを演奏旅行して回ることになったのでした。
しかしその大司教もモーツァルト１５歳の時に亡くなります。

その後を継いだコロレード大司教は権威主義者で、待遇も悪く、ついに２５歳の時に大口論、側近に足蹴にされたモーツアルトはウィーンに旅立ちます。

そう思ってみると、今にも殴られそうな怪獣がモーツアルトにも見えてきます。

丘の上に建つホーエンザルツブルク城は、１０７７年に着工してから約７００年間にわたり増築を重ね、現在の形になったそうです。

堅固な守りで難攻不落だった城も、圧倒的な強さを誇るフランスのナポレオン軍にはかなわず、戦闘なしに占領されてしまったとのこと。

いまではふもとからケーブルカーが出ており、ウィーンのシェーンブルン宮殿に次ぐ、オーストリア第二の観光名所だそうです。

確かにケーブルカーから見下ろす景色は見事でした。

足元に見えるのは、ケーブルカーの２本の線路です。
写真中央がレジデンツや大聖堂など、歴史的建造物。
川を境に手前が旧市街で、川向こうが新市街。

新旧の市街地が一望の下に見下ろせる絶景です。

いかにも中世の古城らしい堅固な城壁です。

その城壁に紋章が掛けられていました。古風なその文様は、ザルツブルク大司教の所領でも現すのでしょうか。

城内の空き地に牛の像があり、子どもが遊んでいました。　　↓

城内にはところどころに銃眼が設けられ、鉄製の大砲が備えられていました。

いまは観光のために置いてあるだけですが、これが実践的に活用されていた時代を思うと、殺伐とした思いがしてきます。

尤も、この時笑っている被写体にはそういう深慮は感じられないのですが。

城内には井戸もしつらえてありました。実際、城の歴史によると何度も周囲を包囲されたことがあるそうです。
その包囲を耐え抜いた必需品。

城は丘の上にあるので、井戸もかなり深かったと思われます。汲み上げるのも大変だったと思うのですが、この水口をみると湧き出る工夫でもあったのでしょうか。

それにしても情けなさそうな竜の顔。

城の西側には峨々たる山々が連なっていました。
これが絵葉書にもなっている有名なウンタースベルク山でした。

絵葉書は真っ青な空に白い雪をいただく鮮やかな写真なのですが、この時はあいにくもやのかかった曇り空でした。

旧市街を一通り散策した後、新市街にあるミラベル庭園に行ってみました。映画「サウンド・オブ・ミュージック」に出てくる公園です。

映画ではピクニックの最後の場面で、子供たちが緑の庭園内をドレミの歌を歌いながら走り、踊ります。

この庭園から、ホーエンザルツブルク城が見渡せるのでした。　↓

ザルツブルクは2010年と2014年の冬季五輪に立候補し、落選。

それは良好なスキー場に恵まれているということでもあります。

そのスキー場に向かう途中、高く連なる山々の間に、古城がポツンと建っていました。

あたりに人家はなく、山中に孤立して建つ古城には、中世の世界を感じさせる不思議があります。

オリンピックに立候補しただけあって、スキー場には長期滞在用のペンションがたくさんありました。

雪に埋もれているのですが、外装も内装もまだ新しい感じです。

この写真の居間のほかに、ベッドつきのゆったりした部屋が３室あります。

家族での長期滞在には十分のスペースだと思いました。

近くには食料や日用品のそろったスパーがあり、なんでも間に合います。

店員さんも明るくサービス精神にあふれていました。

貸しスキーの店もあり、私はスキー・靴・ストックを借りました。

ペンションの前の空き地には、駐車スペース用に除雪した雪が高く積み上げられ、格好の遊び場になっていました。

近くのペンションの子どもたちもやってきて、それぞれ穴を掘り、もぐって遊んでいました。

スキー場にはペンションから歩いて１０分ほどで着きました。

見上げると適当な傾斜のゲレンデです。

リフト乗り場にはゴンドラとペアリフトがありました。

私たちはゴンドラで頂上まで上ることにしました。

ゴンドラから見下ろすと、下から見えていたゲレンデはほんの一部で、頂上まではその１０倍はある長いスロープが続いているのでした。

頂上からは比較的緩やかな斜面が続き、１時間ほどかけてゆっくり滑り降りてきました。

するとバンガロウ風の大きなレストランがあり、ちょうど昼時だったので入ってみました。

中は満席でかなりの混雑でした。しょうがないので外に設けられた木製の長いテーブルで待ち、やっと食事にありつけました。

それからまた１時間ほどかけて下まで滑り降りたのですが、今度は傾斜が３０度もあろうかという急斜面が待ち構えていました。

そこは斜め、斜めにジグザグを大きく描いて滑り、なんとか滑り降りることができました。

その後、最後の緩斜面をゆっくり滑り降りて、ほとんど終着点に来たところを、滑らずに下で待っていた妻が偶然見つけて撮ってくれた写真です。

３人とも無事に帰還でき、ほっと一安心したところ。

さすがアルプスに隣接する本場だけあって、滑りがいのあるコースでした。