ウブドは、バリ島の中央より少し東南に位置する村で、ガムラン音楽（打楽器中心）、バリ舞踊、バリ絵画などの芸術の村として有名。こにも４日間滞在しました。

トゥガル・サリホテルは、朝食付きで１泊1,800円という安さでした。

フロントの脇に「ガルーダ」の像が置いてありました。ガルーダはインド神話に登場し、蛇や竜を飲み込む聖鳥として崇拝されています。

日本ではこれが「天狗」になったと言われます。

レストランは簡素で、テーブル数が少ないと思ったらルームサービスがあります。部屋まで配達してくれ、不便はありませんでした。
なお、 この写真の真ん中より少し左側の奥に、四阿があり、そこで庭と池を見ながら食事ができます。いい雰囲気で何度か利用しました。

ウェイトレスははにかみながらも、うち解けた雰囲気です。従業員はみな穏やかで、感じのよい応対でした。

部屋は一階、写真の右端で、ベランダから庭と田園風景が見渡せます。

日本なら秋にあたる稲の収穫の時期。南緯８度、赤道を越えた南半球なので納得。これがアジアの原風景なのだな、と共感。

ベランダに取り寄せた朝食のバリ料理です。食事に必ずつくジュースは新鮮で、いろいろ試してみたのですが、このアボカドミックスジュースがお気に入りでした。

麺類の朝食と、ココナツ。真ん中のココナツは、挿してあるストローで汁を吸い出して飲みます。

隣のヴィラに泊まっている子どもたち。活発で、池のまわりをちょこまか動き回り、仕草がかわいくて見ていてあきない。

池の前にある小さな木に、小鳥たちがしょっちゅう出入りしているのに気づき、近づいて見上げると、たくさんの巣が作られていました。
１５までは数えたのですが、写真でそれがわかるか。葉の間にこんもり黒っぽくなっている部分が、巣です。くちばしにわらをくわえて飛んできては、修繕していました。ところどころ、そのわらくずが長く垂れ下がっているのが見えます。

その木に留まっている小鳥たちです。 こんな小さな木に何十羽も巣くっているとは不思議です。

ベランダの前の椰子の木には、トカゲが張り付いていました。
木の色に同化していて、ぼんやりしていると気づかないのですが、のそのそ動いたので気づきました。
下のトカゲのあごの黄色い突起に注目。

広さは１５メートル四方ほど、泳ぎ回るには物足りない大きさですが、さいわい少人数の利用者で、涼を取るには手ごろか。

プールサイドには長椅子も準備され、日よけの下で読書している人が５・６人いました。
この時は家族連れで、子どもをわざと水中にぶん投げたり、楽しそうにサービスしていました。

娘が書庫から日本語の本を借りてきて読んでいました。
ここに泊まった客が置いていったのだそうです。英語の本が多く、ドイツ語、中国語、韓国語など多彩でした。

このコーナーには絵があったので撮りましたが、反対側にも同様に書架があります。

パソコンセットもあり、インターネットが使えるそうです。

バリ舞踊を見ながら食事のできるレストランがあるというので、夜出かけました。テーブルは８つで、私たち以外は西洋系の観光客で占められました。

食事はバイキングで食べ放題、料金は舞踊鑑賞付きで一人当たり１，７００円。それでも娘は「たかい」と驚いていました。
客に現地の人がいないところを見ると、観光客値段だと思います。

竹製の楽器の弾むような演奏に合わせて踊られる舞踊は独特で、特にこの少女達の踊りは１０歳前後と思われないしっかりしたものでした。

腰を落としたまま、左右にスライドする首の動きや、くりくりした目を見開いたままリズムに乗って素早く踊る姿は、かわいかったです。

最後に観光客をさそって一緒に踊ってくれました。

踊り手はみな１０代の感じで、地元の青年団みたいなところがやっているのだそうです。
男の子もいました。

ホテルから歩いて１５分ほどの所に、モンキーフォレストがあります。文字通りサルのいる森で、オナガザルが住んでいるのです

ここは観光地としても有名。遠足だったのか、入り口では親子連れがにぎやかに待機していました。

入り口から２００メートルも行くと広場があり、係の人が餌を投げ与えていました。（真ん中右よりの、係の人の後ろ、金網で囲まれた容器に餌が入っている）

芋のようなかたいその餌は食べ残しも多く、実際には観光客が買い与えるバナナに群がっていました。

オナガザルは人を恐れず、道路際の縁石でのんびりシラミ取りをしていました。

その手の間から覗いている小猿はまだヨチヨチ歩きで、かわいい盛りでした。

パンフレットには、猿を刺激しないようにと注意書きがありました。

写真は、身体にすがりついてするするっと登った猿に、あっけにとられてパンフレットどおり刺激しないようじっとしているところです。

すると猿は、袋の中を見つめ、手で中を探る仕草をしました。

その直後、スルッとペットボトルを抜き出すと、飛び降りてあっという間に逃げていきました。

同じ公園内にある寺院です。入場料は取らないのですが、拝観のために腰に巻く布を貸し出し、その分をお布施として自主的に入り口の箱に入れるようになっています。

ヒンズー独特の彫刻が見事でした。

その寺院の屋根を見上げると、なんと、先ほどの猿が座ったまま、悠々とペットボトルを抱えていました。

その中味はほとんど空だったので、ふたをねじって外し、飲んだものと見えます。
敵ながら器用なものです。

公園は意外に広く、たっぷり２時間ほど歩きました。

この小さな寺院は、深い森の谷にあり、神秘的な雰囲気が漂っていました。

その寺院前に僧がやってきて、供え物を置き、香をたいて祈りを捧げていきました。

いかにもこの小寺院の雰囲気に似つかわしい情景でした。

しかし、僧がいなくなるとすぐにモンキーが集まり、寺院内に入って自由に歩き回っています。

モンキーフォレストの主人公は、やはりモンキーだったのです。

大トカゲの彫刻の下で、フランス人が４人写真を撮ろうとしていたので、声をかけて４人そろった集合写真を撮ってあげました。
するとお返しに撮ってくれたのがこの写真です。

実はここは谷底近い狭い場所で、撮影者の足下は谷にせり出した岩場の、狭い危険な場所でした。ですからこれでも味のある一枚なのです。

ペットボトルを盗むような悪さをするのも知らず、子どもたちには人気のモンキー。

しかしよく見ると、さすがに小さい方の男の子の表情には、不安な心情も現れています。

案の定、このあと右側の猿が肩から降りる時、置きみやげに尿をふりかけて行きました。

ウブドの観光案内所です。ここにいる他の観光客はフランス人。

この時はあいにく雨でしたが、用が済み次第ホテルに電話すると、すぐ車を差し向けてくれるので便利でした。

翌日の新聞によると、この日王族の誰かが亡くなったそうです。
この人達は旧王宮の中から集団で出てきたので、もしかしたらそのことと関係があるかもしれません。

旧王宮の中庭は開放されているのですが、そこで子どもが走り回って遊んでいました。

観光客の絶えないスポットで、この中庭でバリ舞踊の演舞も行われるそうです。

そのバリ舞踊を、今度はプロの劇場で鑑賞しました。

バリ・ヒンズーの物語に沿って、動物のぬいぐるみ？も登場して繰り広げられる舞踊は、豪華絢爛、なかなか楽しいものでした。

眺めのいい渓谷を見下ろせる吊り橋があるというので、その吊り橋を捜して歩いていくと、橋の手前で日本語で話しかけてきた青年がいました。
その青年は車での観光案内を仕事にしているといい、半日ほどの行程を２，０００円ぐらいで案内するというのでした。名前はカトさん。

そのカトさんお薦めの最初が、この「グヌン・ルバ寺院」です。
８世紀に建てられた寺院で、ウブド発祥の地でもあるといいます。 

谷にそって下っていくと小さな校舎があり、高校だということでした。そこからさらに下った所にグヌン・ルバ寺院はありました。

後で考えると、なぜこんなすばらしい寺院が無人で無料なのか、不思議なくらいです。その広さといい、金色に輝く建物の美しさといい、タダなのがもったいないぐらいでした。

普段は無人の寺院も、お祭りには大勢の人々が集まり、にぎやかになるそうです。

カトさん案内の２番目が「ゴアガジャ遺跡」でした。この遺跡は１１世紀ごろのものだそうです。異形の大きな顔の口にあたる部分が洞窟の入り口です。

ゴアガジャとは「象の洞窟」という意味で、洞窟の中には象の頭と人間の体を持つガネーシャの像が祭られています　　↓

洞窟の中には、他にシヴァ、ウィスヌ、ブラマンを表す３つのリンガ像が祭られています。
これらはいずれもヒンズー教の神々です。

この狭く暗い洞窟内で修行をしたのだそうですが、昔の人は偉かった。

外には広い沐浴場があり、６体の女神像から水があふれ出ていました。
（写真は沐浴場のほぼ４分の１）

カトさんの案内で３番目の史跡「グヌン・カウィ」に向かう途中で見た光景を紹介します。

最初は子どもたちです。
登校途中の子どもたちに出会い、カメラを向けたらポーズを取ってくれました。

その子どもたちが通うとおぼしき小学校。

校門にあたる入り口がヒンズー寺院の門と似ています。庭にもヒンズーの神と思われる白い像が見えます。

ここでも子どもたちはカメラに向かって笑顔を返してくれました。

道ばたの工房の壁に、たくさんの彫刻が並んでいました。

お土産用の民芸品と思われます。

移動中突然車を止め、カトさんが撮影を勧めた場所です。秀麗な山が二つ遠くに浮かんで、見晴らしの開けた絶景でした。

右側の雲を頂いた山は、バリ島最高峰のアグン山。標高３１４２ｍの活火山で、最も神聖な山だそうです。

なお、写真左手前にちょっと見えるのは、せんべいみたいな食べ物を天日に干しているのでした。

同じく移動中、刈り入れの農作業をしている風景に出会い、車を止めてもらって撮影した写真。

ここでは刈り入れと脱穀を同時に行っていました。右下の人が手に持っているのは鎌で、二人で刈り入れた稲をすぐに後ろの人が二人、脱穀機に穂先を夾んで引っ張り上げています。その籾を座った女の人が二人その場で袋詰めしています。

作業は全部手作業で、二人ずつ分業になっているようです。家族総出でしょうか。

グヌン・カウイ遺跡は、階段を数百段下りた谷底にあり、そこまで歩いて降りるのでした。

 途中には土産売りの店が点々と続き、やはり有名な観光地なんだと実感させます。

道ばたの草の上に、洗濯物が干してありました。

のんびりした生活感覚です。

渓谷に近づくと、見事な棚田が広がります。
椰子の木がなければ、日本の田園風景と同じだと思います。

しかし、この青々とした水田が、先ほどの収穫と同じ時期に見られるのですから、驚かされます。

長かった階段もいよいよ谷底に近づき、なにやら寺院めいた建物が見えてきました。

階段の尽きた右手に土産屋があり、その左手に少し入ると王妃の陵墓がありました。
墓というより、岩肌を削って作られた記念碑。

次に、その谷川を超えて行くと古い寺院があり、入り口はやはりヒンズー特有の垂直に切り立った門でした。

青いテントが見えるところは工事中の箇所。

その奥に、王家の陵墓がありました。これも墓というより岩肌を彫って作られた王たちの記念碑のようです。
王妃の陵墓に比べると、さすがに規模ははるかに大きいです。

王妃の陵墓と合わせ、11世紀の遺跡。

千年前の遺跡を後にし、長い階段を登って帰るのですが、その登りはじめ。
炎天下の坂道は運動不足を解消してくれました。

腰に巻いている青い布は、入場料を払ったところで貸してくれたものです。これがヒンズーの寺院にお参りする際の礼儀なのでした。

次にカトさんの車で案内されたのが、ライステラスの見えるレストラン。
ちょうどここで食事がとれるようにとの配慮です。

ライステラスとは要するに棚田なのですが、椰子の木があるのがいかにも南国風です。

そのライステラスの写真を撮っていると、突然レストランの下から一人の農夫がカルガモを片手に登って来て、それを突き出して見せます。
よく訳もわからずその写真を撮ったのですが……。

すると今度は帽子を突き出して、お金を請求し始めました。
要するに撮影料を請求しているのです。

支払った後に、レストランに張り出されている注意書きを見ると、「農夫の写真を撮ると撮影料を請求されるので注意」とあります。
後の祭りでした。

それでも、休憩を兼ねたレストランでの食事は、グヌン・カウイ遺跡探訪の疲れも癒し、快適でした。

ただ、案内のカトさんが車で待っていると言って、食事をともにしなかったのは、食事代を節約しているんだな、と、案内料の少なさに少し気の引ける思いでした。

このあと植物園にも行ったのですが、入場者が５日ぶりとかで、経営が成り立つんだろうか、心配になるような所でした。

最後の夜に「ケチャ」を見に行きました。

ケチャは、バリ特有の舞踏劇で、円陣を組んで「チャチャチャチャ」と声をそろえて歌う男性合唱に囲まれ、「ラーマーヤナ」というヒンズーの物語を舞踊で演ずるものです。

勇壮にリズムを刻む男性合唱の迫力や、一斉に両手を挙げたり、前後に倒れたり、立ち上がったりのパフォーマンスにも圧倒され、１時間半ほどがあっという間でした。

８日間の旅も過ぎてしまえばあっという間でしたが、最後にお土産を買いに市場に行きました。

値段の交渉は旅慣れた娘がやってくれたのですが、言い値の半値以下に値切る交渉術には感心しました。

土産と言えば、子どものころ音楽の時間に習った歌に「土手のスカンポ　ジャワさらさ」というのがあったのを思い出しました。

それで更紗も買いました。（テーブルクロスに使用しています）

ホテルの裏は田んぼで、ここでもカルガモが大活躍でした。
鳴き声がホテルの部屋にまで聞こえてきます。

この作業小屋も、かつての日本を思わせる懐かしさがありました。。

ホテル滞在中に、田んぼの風景は大きく変わりました。１日目には黄金の稲穂が波打っていたのですが、その後収穫作業が進みました。

ここでも刈り入れと脱穀、袋詰めが、分担して同時に行われていました。

この写真では、奥の田んぼで刈り入れと脱穀を、手前で袋詰めをしています。

田んぼから逆にホテルを見渡したところです。

ホテルと言ってもヴィラが並んでいるのですが、その様子がよくわかります。

日本と違ってバリでは年に３回米が収穫できるのだそうです。
それぐらい農民は忙しく働いている、ということだと思います。

ホテルからすぐの、通りに面したレストランで昼食を取りました。
この料理が２００円ほどというのですから、安い。

田んぼの向こうに見えているのが、私たちの泊まったホテルのヴィラです。

ここでもウェイトレスは快く撮影に応じてくれました。

デンパサール国際空港に置かれているガルーダの像です。インドネシアの国営航空会社が「ガルーダ・インドネシア航空」であるのもうなずけます。

バリを後にして８時間、日本です。

上野はあいにくの雨でしたが、桜が満開でした。