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飼い猫クロが亡くなって1年たちました。この間ノラネコが我が家の庭に出入りするようになったのですが、その様子をご紹介します。前編です。 「 もう猫は飼わない 」 クロが亡くなった去年の春、久しぶりに畳替えをした。その青々とした新しい畳を愛でて、妻は「お父さん、もう猫は飼わないからね。せっかく新しくした畳を爪研ぎでぼろぼろにされるの嫌だから」と言う。私もまだクロの喪失感から解放されていなかったので、「そうだね」とあいづちを打った。 しばらくすると裏の家で飼っている猫が我が家によく来るようになった。飼い主が妻の友だちで、その来訪時に一緒に付いて来ていたのだったが、そのうち猫だけでしょっちゅう来るようになったのである。 妻も気さくに声をかけていたが、やがて抱き寄せて頬ずりするようになった。
その熱の入ったかわいがりように、「それならまた猫を飼ったら」と私が言ってみると、妻は「飼うとしても今度は家には入れないで外で飼う」と言う。 ノラネコ家族の出没 5月のある日、我が家の倉庫の2階の上がり口でちょこちょこ動くものがある。目をこらすと、子ネコたちが階段の上から交互に顔を出し、ちらちら下を見下ろしているのだった。4匹もいる。
翌日になると、前日にはいなかった母猫が、1匹の子ネコの首の後ろを器用にくわえ、慎重に階段を下りてきた。どこに行くのか見ていると、途中で何回か休みながら、隣の家の畑を横切り、瓦礫を積み上げた藪の中に消えていった。
私が子ネコたちをパニックに陥れた時に母猫は不在だった。それなのにどうしてここが居場所に不適だと分かったのだろう、不思議だった。子ネコたちの様子から危険なできごとがあったのを母猫は察したのだろうか。 いずれ引っ越していったのは好都合だったので、私は階段の奥をベニヤ板でふさぎ、2階の倉庫にノラネコが自由に入れないようにした。 我が家の床下を住み家に 6月になると、そのノラネコの家族がまた我が家の庭に出没するようになった。はじめは裏の畑やベランダの脇にたむろして、こちらの出方をうかがっている様子だった。
追い払うこともせずそのままにしていると、今度は我が家の床下に出入りするようになった。そして、床下の入り口に一家で居座るようになったのである。
庭が遊び場に
私たちが追い払わないので安心したのか、子ネコたちは次第に大胆になり、庭で遊び始めた。
広がる行動範囲 我が家で自信を深めたのか、7月になると子ネコたちは隣の家の庭にも出入りし始めた。
我が家の畑を歩いているのもよく見かけた。
生トウモロコシ ある日その畑で、カララが食べようとしているものを見て驚いた。それは生のトウモロコシだった。
そういえば、それまでも畑で未熟なトウモロコシの食べ残しが転がっているのを何回も見ていたのだが、妻は狸かハクビジンの仕業だろうと言って、今年の収穫はあきらめたと言っていた。
その後注意して見ると、トウモロコシの食べかすは畑だけでなく、庭にも、さらには隣の家の裏庭にも転がっているのだった。
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