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12月14日付け「岩手日報」の『日報論壇』に掲載された記事です。 △TOP Copyright (C) 室根山のふもと, All Rights Reserved. |
本 文 の 補 足
こたつの向こうで岩手日報を広げていた妻が、「『日報論壇』ではカジノの問題がさっぱり取り上げられないね。お父さん、投稿してみて」と声をかけてきました。それで久しぶりに投稿してみたら早速掲載されたのがこの記事です。(あいかわらず主体性のない投稿だったのですが)
世論調査では国民の65%が反対しているカジノ法案を、自民中心に会期末の延長国会で突然提案、衆議院ではたった6時間弱の審議で強行採決し、参議院でも公聴会は行われず、当初「廃案に追い込む」と意気込んでいた民進党もなぜか腰砕けになり、参議院を通過させてしまいました。 法案賛成者によると、カジノリゾートは2020年の東京オリンピックなど海外の観光客誘致の起爆剤になる、とのことです。 しかし、アジアではすでに ウラジオストックやマカオ、シンガポール、マレーシアなどに多数カジノが設置されており、韓国とフィリピンにも開業が予定されています。地域間の競争が激しくなれば、中国の成長が鈍化し始めたいま裕福な中国旅行客もかつてほど当てにならず、カジノリゾートがもたらす経済効果も期待ほどでないだろうといわれます。 利益を運んでくれる(=カジノで負けてくれる)観光客がさほどでなければ、カジノ経営者が狙うのはもちろん国内の客、日本人のふところです。不幸にも、日本はもともと競輪・競馬・競艇にパチンコを加えると、世界一のギャンブル大国といわれています。いざとなればカジノ予備軍が国内に大量に待機しているのです。 現に海外のカジノ経営者は「一定の所得と貯蓄を持つ分厚い中間層がいる日本の大都市圏は大変魅力ある市場」だと言っているそうです。カジノ法によって現実的に狙われるのは、海外からの観光客以上に、高い貯蓄率を誇る日本の庶民なのです。 胴元は必ず勝つというカジノが民営化されれば、その利益を多く手にするのは長年のカジノ経営にたけた外資系企業になるのではないでしょうか。 アメリカではカジノの負の側面が明らかにされた「国家ギャンブル影響度調査」(1999年)以降、米国内で新たにカジノ合法化を進めようとする州政府は、カジノ解禁の経済的効果のみならず社会的コストの調査を行うことが一般化しているそうです。例えば、ニューハンプシャー州は地域によってはカジノのマイナス効果が上回る評価が出たことで、議会では否決され続けているそうです。 カジノ法案推進者の期待する経済効果の真偽とともに、ギャンブル依存症、資金洗浄、組織犯罪といった社会的コストの調査もまったくされないまま、まともな議論を回避してカジノを合法化するのはあまりにも問題が多過ぎです。 投稿記事の最初に戻ると、青少年に大きな影響を与える有名人が、合法化されたカジノでの手柄話を発信し始めるようなことがあれば、それでなくても低賃金に苦しむ日本の若者が、一夜での逆転をねらってカジノに賭ける「勇気」を与えられ、ギャンブル依存症に沈んでいく悲劇も発生しかねないと思うのです。 |