気分はエスカレートする一方となり、鳥島遠征へ


銭洲の次は、さらに南下して八丈島あたりに行きたいと思っていたのだが、その思いが届いたのか、5月連休に鳥島へ遠征船をチャーターするので良かったら便 乗しないか?との誘いに、二つ返事でOKを出した。
そして正式な日程案内を聞いたのが銭洲解禁の後くらい、私以外は全員餌釣りだからタックルに対してのアドバイス的なモノは何も無く、釣り物やポイントのお およその水深を確認して慌ててタックルを準備していた。
釣り物: カンパチ、シマアジ、オナガダイ
釣り方: 係り釣りでのカッタクリ、泳がせ釣り、コマセ釣り、深場の釣り
その中で一番頭を悩ませたのが、状況により浅場が全くダメな場合に300m以上の深場ポイントでオナガダイを攻めるから、釣りが出来なくて悔 しく無い様に準備せよだった。
今ならば、深場に行っても表層や中層の魚を狙えば良いと割り切って余計なタックルなど準備しないのだが、この頃は経験が無く深場対応に走ってしまった。(コレはコ レで楽しいのだが)
(準備編)
基本タックルは3ozのメタルジグにナイロン20Lbとリーダー50Lbの組み合わせで、ロッドはスエルズ860SGSとスミス GS100H。
全く未知の深場については、ベイトのフェンウィックツナスティックにラインを400m以上巻けるだけ巻いたベイトを考えていた。
手持ちのabu7000cではラインキャパで役不足と考え、まずナイロン30Lbクラスを400m巻けるリールを探すと,トローリングリールしか無くジギ ングには不向きだ。
そこで遠征に誘ってくれた方に、8号程度のラインを400mのキャパを取れるリールではルアー釣りは厳しいと相談したところ、最近流行りの新 素材(当時PEとは呼ばれて無かった)を使えば、細い糸でも恐ろしく強いから検討する価値有りとアドバイスを貰う。
そこで船釣用の新素材ラインを探しに大型釣具店に出掛けると、このラインは高価だが強度が一番細いライン(確か3号)で15kg以上有り、とりあえず5巻分500m買ってみた。
そしてリールは軽量+ラインキャパを考え、シマノのグラファイトボディにレバードラグ付きTLD10をチョイス。

シマノTLD10に思いきりテンションを掛けてPEラインを400m以上を、かなり時間を掛けて巻き込んだ。
そして深場用ルアーとして、メタリックサーディン200gと深場まで沈めるジグの重量不足対策に、50号と100号の追加用オモリを用意し た。
またフックは大物対応にトリプルフックの他に管付き泳がせ針と石鯛針をシングルフックとして用意。
飛行機にロッドを持ち込む為、プラノのロッドケースも買い込んだ。

(遠征一日目)

遠征当日は天候が悪く出船は1日延期され、先輩達の餌釣り用にムロアジを釣りに出掛けた。
鳥島へは八丈島からチャーター船で、八丈島→青ヶ島→須美寿島→鳥島と釣りながら移動して行くのだが、距離が有る為か船のスピードは燃料を節約するユック リな巡航スピードだ。
午前中に青ヶ島沖へ到着、早速100Hと20lbラインにカーニバル3oz黒銀を投入する。
透明度が高く水深は50~60m、ボトムを取ってジギングを開始早々、1投目5シャクリ位で、強烈なアタリが有り一気に50m位走られた所でラインブレイク。
強烈な洗礼を受けて、ガックリしている所に、船頭の助手が「今のはヒラマサかな?」「糸は何号?」と聞かれ、「5号(20lb)だ」と答えると「細すぎる、最低12号だよ」と呆れられる始末だ。
もちろん20lbタックルしか持ち合わせの無い私は、スペアスプールに交換し再び根性ジギングを開始するのだが、アカハタが掛かる程度で青物からの魚信は一向に来ない。。
その後餌釣りもアタリが無くなり、先輩餌釣り師達の「全然釣れねーぞ」の一言で、船頭が場所を一気に移動すると宣言しベヨネーズへ向かう事となる。

日中ベヨネーズを通過するも磯釣り師が多く、ここはパスして次の目的地須美寿へ向かう。
夕方近くに須美寿島へ到着、ここでも100Hにカーニバル3ozでジギングを始めるが、赤ハタのヒットのみで終わり、沖合いで夕食を済ませて一路鳥島へ向 う。
昔の事で記憶が薄いが、アカハタだけは1投1匹位のペースで釣れていた気がする。

(遠征二日目)

深夜鳥島に到着したらしく浅瀬に船を停泊させていた。
朝暗いうちに起きて、早朝から早速ジギングを開始した。
水深30m位の浅瀬だが、まだ日が昇っておらず暗かった為、カーニバル2ozの手製ピンク+パールホワイトカラーを投入し、ここでも1投目からガツンと 引っ手繰る様なアタ リが有り、カンパチの3kgクラスがヒット。何回か突っ込まれるが砂地で水深が浅かった為か意外と簡単に釣り上げる事が出来た。
殆ど釣り船など入っていない場所なので、ヒットの連続を味わう事が出来て良い経験になった。
その後もヒットは続き、皆が朝飯を食べている間も、ひたすら釣り続け片手でロッドを操作しながら片手でタモ入れと忙しい釣りで相当な数を仕留めた。

それから暫くして水深50~60mにある船頭秘蔵のシマアジポイントに移動し、そこで錨を入れて係り釣りが始まった。
ここではスエルズ860SGSとバリバス20lbにカーニバル3ozの黒銀を投入。
暫くアタリが無かったが、カッタクリの釣り師にアタリが出たと同時にルアーにもヒット!2~3kgのシマアジだ。
その後もポツポツヒットし続けてシマアジばかり10匹以上キャッチ。
大物が来ることを期待し、ジャーク&ジャークを続けた。

皆が昼飯を食べている間もアドレナリン全開で釣りを続け、今度はロッドをスエルズ800SGS、リールはシマノバイオマスター5000にルアーをカーニバ ル3ozからボリュームの有るメタリックサーディン120gに替えてジャークを開始した。
数投後、ボトムを取って5m位ジャークした所でアタリは唐突に来た。
ガツンでは無く今度はグオンとロッドのバットから持って行かれる強烈さだ。(竿ごと持っていかれる感じだ)
一気にラインが30m位走った所で魚は全く動かなくなり、時々ラインテンションをグングンと掛けるとジリジリ動き始める。
青物のアタリでは無?エイか?それとも?、周囲に「根掛りじゃない?」なってからかわれたが、粘りに粘ってポンピングを繰り返しながら一進一退状態でリー ルを巻き続けた。
ポイントは砂地混じりのかけ上がりで、沖側から急激にドロップしている場所と聞き、恐らく魚は深場の方向へジリジリと逃げている様だ。
1時間半が経過しラインが150m以上出された所で、リールからガキッツと鈍い音がしてギヤが飛んだ。
一度ギヤが一箇所飛んでしまうと、リールを巻く度にガリガリガリと音が出始めて、ギヤの山が全て無くなってしまった様で、ついにリールが空回りしてしまい 全く巻けなくなってしまった。
こうなってしまうとお手上げで、船頭の助手にラインを手繰ってもらって、私がスプールを手で回しながらラインを回収するしか無く、強引にラインの回収をし ていくと意外とすんなり寄って来てしまい、「ひょっとして取れるかも?」なんて二人で期待していた矢先、グンと大きく引き込まれた瞬間あっけなくラインブ レイク。
 終わってみると体が疲れていないと感じていたのはアドレナリンが出ていたおかげで、釣りをやめると腕が重くて全く動かなくなり、遅い昼飯に出してくれたカレーライスのスプーンが上手く持てない始末。


当時シマノの最上級リールはツインパワーGTXで、これには冷間鍛造メインギヤを採用していたが、ツインパワーGTXは4000番までしか無く20lbラ インは200m弱しか入らない。
それ以上のラインキャパと言うとツインパワーの下位機種のバイオマスターの5000番で、20lbラインは250m以上巻けるがアルミダイキャストギヤ を使用していたので耐久性は劣ってる。
今回は少しでもラインキャパを多く取りたい為にバイオを選択してギヤを飛ばしてしまった。


この釣行で感じた事として、私のテクニックと20LBタックルでは大物を寄せられないし勝負にならない。
そしてロッドパワーとリールの耐久性を重視した道具選びと、大物対応に30lbラインシステムを模索して行く事となるのだ。

 bio500
これは後日ツインパワーGTX4000にバイオ5000のスプールを装着し、ラインキャパを200m以上に改造してみた仕様。

  

左からシマノTLD10 200gのジグ スミスリフレクション60g

 

 

(青ヶ島)                                    (須美寿島)

torisima  

(鳥島)

 

 

遠征情報
八丈島まで羽田より空路にて八丈島へ、八丈島の民宿をベースとして八丈のチャーター船で青ヶ島、ベヨネーズ、須美寿を経由して鳥島へ。
遠征費は飛行機代、民宿代、船代で15万程度だったと記憶している。(チャーター代は12人で頭割り/餌代込み)

 

バーチカルジギングのイメージとして。(付録記事)

 

 


1997年頃発売された ビックワンズ 著北村秀行氏
ジャークスタイルの紹介として、脇にロッドを挟まず二の腕と肘でバットをサポートしストロークの大きなジャークを行っている。
当時のタックルとナイロンラインならではのジャーキングスタイルだ。
PEラインを使用する様になると、ハイピッチショートジャーク派とロングジャーク派に分かれていた様に記憶している。
このスタイルもジャークのバリエーションとして覚えていて欲しい。

 menu