オフショアルアー入門の定番 相模湾シイラ、カツ

私がジギングを始めた頃(1990年頃)は、今と違ってジギング事情は決して優しく無く、道具を購入出来る釣具店やオフショアでルアーが出来る船宿など殆ど無かった。
現在ではオフショアのルアーフィッシング入門と言えば、ライトルアー船の鯖がポピュラーだが、当時はシイラ がソルトルアー入門の釣りと呼ばれていた。
神奈川県の平塚では、まだ遊魚乗り合い船でルアーをやらせる船が殆ど無い時代から、7~9月の夏場はシイラのルアー乗り合い船を出していました。


まずはタックルを揃えるのだが、たまたま勤務先の近くにオフショアのルアーを豊富に揃えているキャンベルが有ったのはラッキーだったかも。
早速キャンベルの店長に「銭洲のジギングタックルが欲しいのです が、これでシイ ラやったりできますか?」とお薦めタックルを聞いてみた。
店長薦めは、オフショア用にスミスのGS100Hにペンの550ss+16lbライン、リーダーはナイロン50lb。
そこでロッドはGS100Hを買ったが、シマノ党だった私としてはリールを磯釣で使用していたシマノGTX4000に、16Lbライン巻き使用する事にした。
ルアーはマリアのポッパーとヨーヅリメタルジグの40gを購入。

(後日判ったのだが、この時のキャンベルの店長はクラブビックワンズのメンバーで、お勧めの100Hは当時北村秀行氏がジギングで使っていたロッドだっ た。)


雑誌記事の釣り方を見たり道具の準備が出来たところで、船宿に予約を入れて友人と華々しくシイラの引きを堪能しながらオフショアルアーデビューを飾る予定だったが、自然はそれ程甘く無い。
当時は予約なんて有って無い様な感じで、天気の良い日曜と言う事もあり船は超満員状態。(夏休みシーズンの浅八丸ライトジギング船くらいの密集状態)
とりあえず2隻出しになるが、それでもロッドを振るのに苦労する程釣り客が多かった。

当時のルアーアクションは、「ポッパーもジグもキャストしてからは早巻きオンリーだよ」、と言う感じの簡単なテクニックでOK時代であった。
ジギングに憧れていた私は、ポッパーも持っていたが、ひたすらジグをキャストして表層を早巻きしていた。
その日は天気は良かったが潮が悪かったのか、鳥山も無く潮目のゴミにも魚はおらず、カツオはおろかシイラすら船中全員ノーバイト、ノーフィッシュで終わってしまった。
もし状況が良かったとしても、初心者の私はルアーアクションなんて適当に早巻きする程度の知識しか無い、全くの素人状態で果たして釣れたかどうか?(その答えは深田屋で)

そしてあまりの釣れなさに、船の無線で船頭達が「今日はダメだ~ルアーの上にコマセ袋付けなきゃ釣れないよ」なんて話している始末。
餌釣りと違ってルアーは対象魚以外は全く釣の対象にならず毎回ボーズ覚悟か?と、初回でルアーへの期待感を粉々に砕かれた釣行となる。

このショックで暫く平塚に行くのが嫌になり、「シイラ簡単に釣れるじゃん!」を味わうのはもう少し後になる。

シイラ釣に関して。
後年ソルトルアーの仲間が増えると、シイラはチャーター船で狙う様になりトップで喰わせる釣りにハマるが、次第にバス用ベイトタックルで狙う変人アングラーとなっていく。
シイラは興奮すると動いているルアーなら手当たり次第に食いつき、バス用クランクベイトやバイブレーションやスピナーベイトでまで食い付いてきます。
当時の相模湾では120CM位のシイラはゴロゴロ釣れて150CMが大きいと言われていて、これをいかに短時間でバスタックを駆使して留めるのに燃えてましたね。

近年相模湾のシイラはスレてると聞きますが、日本各地でシイラ船が出ているので、黒潮に乗るシイラのDNAにルアーが学習されてる?と言うのも頷けるんですが。
スレたシイラを食わすテクニックとか、なんだか釣りを難しくしている感じですね。


 

ヨーヅリ40gジグ Lジャック / k-tenリップルポッパー ノーマルフック使用(交換用強化フックなど、殆ど無かった)


 

左上 K-TENリップレスミノー  左下 マリア ポップクイーン  右 サンスイ サルボ

当時はトップで喰わせるのが、シイラフィッシングの基本と言う感じだった。

 

本格的にメジ、カツオを狙って深田屋の便乗乗り合いへ


相模湾の乗り合い船の情報を色々と調べていると、ルアーでカツオをやらせてくれるらしい船宿が佐島に有り、その船宿深田屋へ早速電話で問い合わせてみた。
カツオをルアーでやっても良いかと聞いてみると、船宿の返事は「ルアーでも大丈夫だよ、先着順だから早めに来なさい」との事。

船宿情報(乗り合い料金¥8000-、予約無し先着順)

釣行当日は友人と気合が入り過ぎで、朝かなり早く船宿に到着。
全員で15人位は乗ったと思うが、私達の他にルアーマンが2人乗り込み、彼らのタックルはオフショアスティック8fに60g位のジグとポッパーをセットし ていた。
私のタックルは銭洲と同じく、スミスGS100Hにナイロン16Lb、ルアーをキャスティング用に45~60gのジグをメインに、シイラ用にミノーを準備 しておく。

 

TIFA ジックス2OZ                   深田屋 一本釣り風景

    

鳥山を探す船長と、イワシをストックしている生簀から船に積み込むシーン



乗り合い船の釣り座はミヨシが漁師専用区域で、左舷が散水付きの一本釣り、右舷がフカセ釣りとルアーとなっているが、フカセ師が2人でルアー は私と友人の2人、あとの大多数は一本釣りだ。
ポイントは鳥山を探してイワシを撒いて釣るスタイルで、最初のポイントでイワシを撒くと一本釣りにシイラが次々とヒットし船の上にシイラの跳ねるバタバタ 音が鳴り響く。
こちらは60gのジグ(ジックス)を軽くキャストし、ルアーを表層で横引きにジャークさせた瞬間、ゴンと言うアタリが有りメータークラスのシイラジャンプ した。
タックルの限界を知りたい気持ちも有って、かなり強引に引き寄せて友人にギャフを入れてもらい無事キャッチし、一発目からコレなら今日はかなりイケるとニ ヤニヤしてしま う。
散水とイワシを撒いている為、シイラの群れは船の周りから離れず80cm~1mクラスのシイラが入れ食い状態になり、あっと言うまに二人で10本以上のシ イラを釣った。
その後、鳥山を見つけて釣りをするもカツオの姿は見えず、数え切れな程のシイラを釣り今日は終わりかなと思っていたが、あくまで狙いはカツオ なので午後3時を過ぎても帰港する気配が無い。
最後に大きな鳥山に遭遇すると、船頭の「撒いてみて(イワシを撒く)」「来た来た来た」の声と共にジグをキャストすると着水とほぼ同時にヒット。
シイラとは違うスピードの強烈な引きに翻弄され、走られまくった挙げ句にラインブレイク。
船の近くの水面下には、イワシを追いかけるカツオがビュンビュン泳いでいるブルーの背中が見える。
切れたラインシステムなど組んでる余裕など無いので、スペアスプールに替えるが焦りに焦ってしまいドラグも強めに締め付けて慌ててキャストした。
この強めに締めたドラグが良かったのか、恐らくカツオの型が小さかったのだろうと思うが2kgクラスのカツオが1本取れた所で終了。

この便乗乗り合いでの大型シイラやカツオを釣り上げた体験は、テクニック不足は棚に上げてタックルのパワー不足をひたすら感じていた。
そして帰りがけに遠回り までしてショップを物 色しながらラインを16Lbから20Lbへ変更し、ロッドもティファから新発売されたスエルズ8fにスイッチしていく事になる。(苦笑)


この深田屋には毎年通って、カツオ、シイラ、キメジを良く釣らせてもらって鍛えられたものです。
イワシの撒き餌に狂ったカツオは、ジグを軽くキャストしてチョンチョンとアクションさせる程度で、ガツンと良く食いついて来る。
ヒットさせたらアワセと同時に強引にやり取りするスタイルが私は好きで、カツオのサイズが良い時にはラインはナイロン30lbを使用していました。

カツオ類はスピードとパワーが有り、その瞬発力によりラインシステムの良し悪しの確認や、魚とのファイトの良い練習になる。
こうやって釣り上げた魚の引き具合から自分の経験値を養っていく事で、未知の魚が掛かった時にも慌てずに対処出来るテクニックを養う事が出来るのだ。
この釣りは群れを追う釣りと言う性格上、あまりウルトラライトなタックルでは練習と言ってもファイトに無駄な時間が掛かり過ぎて、仲間内でのチャーターで記録狙い以外ではお勧めできない。



   

このサイズのカツオで破壊されてしまったLジャック60g(当時のジグの貧弱さがわかる) 右はスエルズ800SGS (当時のロッドとしてはパラボリック(柔らか目)な調子だったかな)

1990年頃のジギング事情(付録記事)


ターゲットは相模湾がシイラ、カツオ、メジ。
銭洲はカンパチ、ヒラマサ、シマアジ。
乗り合い船は平塚の数件がルアー専用船を出していたが、基本的に仕立ての餌釣りに乗せて貰う。
ルアー専門の仕立ては三浦や伊豆にルアーOKの船宿が数件有る程度。
ラインはナイロン以外使っているのを見た事は無かった。
ジギングスタイルはロングジャークで、シャクるスピードは可能な限り早く。

ジギングのタックルや釣り方、船宿などの情報は雑誌の記事を参考に、殆どが手探り状態だった。

  

1990年発行のフィッシング別冊 ザ・ゲーム  北村秀行氏のジギングや村越氏のショアジギングなどが紹介されていた。
ハイスピードロングジャーク&リトリーブ時代で、まさに根性のバーチカルジギングと言う表現がピッタリ。

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