Update - 24 Dec 2020

成形不良現象

現象の理解と対策

 要因を正確に分析して対応する事が重要です。成形条件で対応できる範囲は限られています。要因の複合性により成形条件での改善施策は異なります。

 外観不良とする内容に於いては相反する状態が発生します。顧客先の要望をよく理解して、優先すべき内容を重視して改善に取り組む事が重要です。全てをパーフェクトに改善出来る形状は殆ど無いと考えるべきです。成形機、温調器、取り出し機が要因となる不良も多くあります。日常の整備とメンテナンス対応が重要です。

 量産時に発生する不良品において、成形工場の「環境不備」要因を除けば「形状不良」「金型構造」が要因と考えられる状況が多くみられます。開発段階でのトライに於いてはトライのためのトライは行わない事が重要です。量産を意識した安定成形条件を確立する事を目的として下さい。

 キシモト技研では、それぞれの成形不良現象を源流管理手法を用いて、設計改善+金型改善+安定成形条件により実現します。下記に主な不良現象に関する対策を説明しますので、参考にしてください。

バリ

  • 現象(1)
    • 金型に隙間があり発生する。
    原因(1)
    • 金型製作時の誤差により隙間が生じ発生する。
    • 金型の合わせに不具合があり隙間が生じ発生する。
    • 入れ駒、押し出しピンの隙間より発生する。
    現象(2)
    • 型締力の不足により発生する。
    原因(2)
    • 多くは成形条件の設定不備により発生させている事が多い。
    • 適切な型締力の計算不良。
    対策
    • 低圧力で充填できるように設計する。
    • 金型の誤作および突合せ検証レベルを上げる。
    • 成形時のサージ圧を押さえる。成形機の型締力を確認する。

ウェルド

  • 現象
    • 二つ以上の流動が合流するときに合流不良により発生する。
    原因
    • 多点ゲートにより発生する。2点の間には必ず発生するものです。
    • 穴部や薄肉部の周りに流動が分離して発生する。
    対策
    • 発生箇所の流動方向を意識(ガスを外へ押し出す)してゲート位置を設定する。
    • ガスベントを設ける。
    • 金型温度設定を高くする。
    • 充填時間を短くする。

ヒケ

  • 現象
    • 平面部に凹部が発生する。
    原因
    • 圧力不足により発生する。
    • 平面に対して垂直方向にあるリブにより、収縮により発生する。
    • 偏肉形状に於いて収縮により発生する。
    対策
    • 偏肉を含む厚肉形状を回避する。
    • 肉厚の変化形状に際してはゲート位置を適切に設定する。
    • 保圧を使う。

ショートモールド

  • 現象
    • 肉厚差の大きい形状に於いて薄肉部分の流動が止まり未充填が発生する。
    原因
    • 圧力不足により発生する。充填時間が長いため発生する。
    • 肉厚さが大きく空気に包まれて発生する。
    対策
    • リブ等の薄肉部を無くす。
    • 局部的に包まれる流動形状を回避する。
    • ガスベントを設ける。
    • 樹脂温度・金型温度を高くする。
    • 射出スピードを高くする。

ボイド

  • 現象
    • 厚肉部の製品およびスプール等の中心部に空洞が発生する。
    • 外側にヒケが発生しない状態により内側にヒケが発生する。
    原因
    • 射出時間が短いときに発生する。
    対策
    • 局部的厚肉形状を回避する。
    • ゲート位置、ゲートランド、ランナー形状・ランナー径の設定。
    • 透明品では金型温度を高くして射出時間を長くする。

フローマーク

  • 現象
    • 流動性の変化により発生する。
    原因
    • 流動性の変化に樹脂の流動特性が追従できない状態により発生する。
    • 肉厚の変化による流動性と射出スピード変化により発生する。
    • その多くは製品形状による乱流が原因と考えられ材料に含まれる添加剤等の特性が誘因する。
    対策
    • 材料特性に合わせる。
    • ゲート径、ゲートランド、ランナー形状・ランナー径の設定。
    • 乱流形状付近の射出スピードの調整。

シルバー

  • 現象
    • ゲート付近または流動阻害形状より銀状の糸引きが発生する。
    原因
    • 材料の乾燥不足より発生する。流動阻害となる突起形状により急冷された樹脂により発生する。
    • リブ形状の流動末端部よりガス(空気)と共に流動したときに発生する。
    対策
    • 原材料の乾燥状態をマニュアル通りに行う。
    • 流動途上にある乱流形状および圧縮ガス発生形状を回避する。

ヤケ

  • 現象
    • 樹脂温度が異常に高くなり樹脂の温度特性を超えたときに発生する。
    原因
    • 樹脂の温度特性を理解していない。
    • リブ等の流動末端部分が流動圧縮により温度が異常に上がる。
    対策
    • シリンダーの設定温度を下げる。
    • シリンダー内の滞留時間を短くする。
    • ガスベントを設ける。

ジェッティング

  • 現象
    • ゲートからヒモ状態で充填されてものが反対面の壁にぶつかり曲がり固化する。
    原因
    • 樹脂温度が低く、射出圧力が高い条件にあり、特にランナー径が太い状態において発生する。
    対策
    • ランナー形状、樹脂温度、射出圧力を適正にする。

ソリ・変形

  • 現象
    • 成形品の形状に歪(いびつ)が生じること。
    原因
    • 射出圧力、金型温度、流動形状により密度が均一にならない状態において成形収縮が加わり発生する。
    対策
    • 肉厚を一定にする。
    • 極端な起伏形状、切込み形状を回避する。
    • ゲート位置、ゲートランド、ランナー形状・ランナー径の設定。
    • 金型冷却回路を適切に設定する。

IMC - Injection mold consultant - KISHIMOTO GIKEN