<日本の神々>

神社に祀られている祭神は、古事記や日本書記に登場しますが
何やらむずかしい漢字が並んでいたり、何と読んでよいのかさえわからずに
有名な神々を除いては商売繁盛や学業祈願・縁結びなどの御神徳のほうが知られていることがあります。
ここでは古事記神話をもとに、日本の八百万の神々にスポットをあて
少しずつではありますがご紹介していきたいと思います。
あと難解な神社用語などもわかりやすく解説をつけていきます。
ナビゲーターは海夢です。

家の近くの神社の祭神さまを調べてみたけれど詳しいことがわからない…
神社名しかわからない…などございましたらお知らせください。


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<日本の神々 CONTENTS & UPDATE>

神々の系図 ・ 古事記ショートストーリー (’01.07.26)


神道の基礎知識 (’01.10.27)  用語解説 (工事中)




●神々の系図●

神々の系図


●古事記ショートストーリー●

神社に祀られている神々の来歴を知るために古事記神話を要約し紹介します。

[天地開闢]

 遠い昔、天地は境がなく何かがただ渦巻いているような状態だった。やがて清く澄んだ気がたなびいて天となり、重く濁った気が凝って地となり、世界が2つに分かれた。天地の誕生である。この天地の中心に最初に生まれたのが天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)、続いて高見産巣日神(タカミムスビノカミ)、神産巣日神(カミムスビノカミ)である。

 次に宇摩志阿斯訶備比古遅神(ウマシアシカビヒコジノカミ)、天之常立神(アメノトコタチノカミ)が生まれた。以上の5神は男女の性別がない独神で、別天神(ことあまつかみ)と呼ばれた。さらに、国之常立神(クニノトコタチノカミ)豊雲野神(トヨクモヌノカミ)が生まれ(この2神も独神)、次に男女1組ずつの5組の神が生まれ最後の組が伊弉諾命(イザナギノミコト)・伊弉冉命(イザナミノミコト)であった。別天神はイザナギ・イザナミに、天の沼矛(あめのぬぼこ)を授け「国土を整えよ」と命じた。2神はその矛で海をかき回して引き上げると、矛先からしたたった潮が固まりオノコロ島ができた。

[国づくり]

 2神はこの島に降り立ち夫婦の交わりをしたが、先に誘いの言葉をかけたのがイザナミであったため、生まれたのは水蛭子(ヒルコ)という未熟児だった。その子は葦舟に乗せて流し、今度はイザナギのほうから言葉をかけ、交わりをやり直した。こうして次々と8つの島を生み、ここに豊秋津根(とよあきつね)の大八嶋(おおやしま)、日本列島が完成した。

 国生みが終わると、次は山・海・岩・土・風・五穀などを司る神々を生み出した。大山津見神(オオヤマツミノカミ)、大綿津見神(オオワタツミノカミ)、速秋津日子神(ハヤアキツヒコノカミ)・速秋津日売神(ハヤアキツヒメノカミ)などを生み、最後に火之迦具土神(ホノカグツチノカミ)という火の神を生んだことから、イザナミは御陰(みほと)を焼かれ死んでしまった。

 最愛の妻を失ったイザナギは、カグツチの首を切り落とすと、その刀に付いた血やイザナミの糞尿などから、建御雷之男神(タケミカズチノオノカミ)、金山毘古神(カナヤマヒコノカミ)・金山毘売神(カナヤマヒメノカミ)、和久産巣日神(ワクムスビノカミ)など多くの神々が化生した。ワクムスビの子が、豊宇気毘売神(トヨウケヒメノカミ)である。
未練やまないイザナギはイザナミに会いたくなり黄泉の国へ行ったが、そこで見たものは蛆がわき恐ろしい8種の雷神がとりついたイザナミの醜い姿だった。

[三貴子の誕生]

 イザナギは黄泉の国から逃げ帰り、穢れを祓うため九州の日向の国に行き、清流に身を浸して禊祓をした。水底・水中・水上の順で底津綿津見神(ソコツワタツミノカミ)・中津綿津見神上津綿津見神底筒之男命(ソコツツノオノミコト)・中筒之男命上筒之男命など多くの神が生まれた。最後に顔を洗うと、左の目から天照大御神(アマテラスオオミカミ)が、右の目から月読命(ツキヨミノミコト)、鼻から建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)が生まれた。イザナギは大いに喜び、後生を託す“三貴子”(みはしらのうずのみこ)とし、「アマテラスに高天原を、ツキヨミに夜の国を、スサノオに海原を治めよ」と命じた。

 三貴子はそれぞれ治めるべき任地へおもむくことになった。しかし、スサノオだけは任務を果たさず、母を慕って毎日泣いてばかりいた。そのため悪神がはびこり禍がわき起こってしまい、怒ったイザナギはスサノオを高天原から追放した。スサノオは別れを告げにアマテラスのもとに行くが、高天原を奪いに来たと勘違いしたアマテラスは武装して待ち構えた。スサノオは邪心がないことを伝えると、その証明として誓約(うけい:神に誓って事の正否を決める呪礼)を行なうことにした。

 2人は天の安河をはさんで向かい合い、互いに剣と玉を交換して打ち砕き、心のあかしを立てるというものだった。アマテラスは天之忍穂耳命(アメノオシホミミノミコト)・天之菩卑能命(アメノホヒノミコト)・天津日子根命(アマツヒコネノミコト)・活津日子根命(イクツヒコネノミコト)・熊野久須毘命(クマノクスヒノミコト)の男神を得、スサノオは多紀理毘売命(タギリヒメノミコト)・市杵島毘売命(イチキシマヒメノミコト)・田寸津毘売命(タギツヒメノミコト)の女神を得た。女神を得たスサノオの疑いは晴れたが、心がおごり再び高天原で乱暴を働くようになった。これを恐れたアマテラスは天の岩戸の中に隠れこもってしまい、天も地も暗闇となりあらゆる禍が起こった。

[天の岩戸]

 困った八百万の神々は、天の安河原に集まって対策を練った。思金神(オモイカネノカミ)・玉祖命(タマノオヤノミコト)・天児屋根命(アメノコヤネノミコト)・布刀玉命(フトダマノミコト)らがいろいろ方策を実行したが、最後に天宇受売命(アメノウズメノミコト)が岩戸の前で胸をあらわに神がかりの踊りを踊ると、八百万の神々がどっと笑った。アマテラスは岩戸を細めに開けて、なぜ笑っているのかと不思議そうに声をかけた。アメノウズメは「あなたよりも尊い神が現われた」と答えるとともに、鏡を差し出した。アマテラスはその姿をもっとよく見ようと身を乗り出したところを、戸の陰に隠れていた天手力男尊(アメノタヂカラオノミコト)が手を取って外に引き出した。こうして天も地も明るくなった。八百万の神々は、事の起こりであるスサノオの処分を話し合う会議を開き、罰を科し高天原から追放することを決定した。

[八岐大蛇退治]

 高天原を追放されたスサノオは、出雲に降り立ち、老夫婦が美しい娘を囲んで泣いているところに出くわした。老夫婦はオオヤマツミの子、足名椎命(アシナヅチノミコト)と手名椎命(テナヅチノミコト)であると名乗り、「この地には8つの頭と尾を持つヤマタノオロチという巨大な蛇が棲んでいて、毎年やって来ては次々と娘を食っていく。今年もまたその時が来て、今度はこの娘櫛名田比売命(クシナダヒメノミコト)の番になったので泣いている」と語った。スサノオは、クシナダヒメの可憐な美しさにうたれ、妻にもらい受けることを条件にオロチ退治にのりだした。

 まともに戦っては勝ち目がないため、家のまわりに8つの門を設けた垣をめぐらしそこに8つの酒樽を置いて待ちかまえた。するとオロチは酒を飲みほし、ついに酔いしれて眠ってしまった。そこを十拳剣(トツカノツルギ)で切り散らし、その際尾の中から一振りの太刀(のちにいうクサナギノ剣)が現われた。見事オロチを退治したスサノオはクシナダヒメと結婚し、須賀の地に宮を建て国固めをした。2人の血を引く6代目の孫が大国主神(オオクニヌシノカミ)である。

[因幡の白兎]

 オオクニヌシはまたの名を大穴牟遅神(オオナムチノカミ)といい、大勢の兄弟神がいた。ある時、兄弟神たちは因幡の国に八上比売(ヤガミヒメ)という美女がいると聞いて、自分の妻にしようと思い揃って出かけた。オオクニヌシもこれに従ったが、まだ若かったので、皆の荷物を持たされ、1番後ろから遅れてついて行った。途中一行が気多の岬にさしかかると、一匹のウサギが皮をむかれ赤裸になって泣いていた。兄弟神たちはおもしろがり、「海の水を浴びて、風に当たっていれば治る」とからかって行ってしまった。

 ウサギがその通りにすると、治るどころか痛くてたまらない。そこへ遅れて来たオオクニヌシが通りかかり体を治す方法を教えた。その通りにしたウサギは傷が回復し、オオクニヌシに「あなたこそヤガミヒメを娶るにふさわしい」と祝福の言葉を贈った。ヤガミヒメも兄弟神たちの求婚を断りオオクニヌシを選んだ。兄弟神はくやしがり襲って来たが、結局争いはオオクニヌシの勝利に終わり、ヤガミヒメを妻に迎えて国の王となった。その国を葦原中国(あしはらのなかつくに)または、豊葦原の水穂国(とよあしはらのみずほのくに)という。また、オオクニヌシが出雲の岬を訪れた際、船に乗って近づいた神が少名毘古那神(スクナヒコナノカミ)で、オオクニヌシと力を合わせてこの国をつくり固めた。

[国譲り]

 アマテラスはスサノオを高天原から追放したものの、下界の様子が気になって仕方がなかった。そこで息子の天忍穂耳命(アメノオシホミノミコト)に統治を任せようと、地上に遣わすことにした。八百万の神を集めて協議の末、使者を送ってオオクニヌシをはじめとする国神(くにつかみ)を説得し、国を譲るよう迫った。しかし、1度目も2度目も失敗に終わったため、残る手段は強談判しかないと、武勇の誉れ高い建御雷之男神(タケミカズチノカミ)を遣わした。 
 タケミカズチは出雲の稲佐の浜に降り立ち、剣を逆さまに突き立て、その切っ先の上にあぐらをかいて、オオクニヌシに国を譲るよう迫った。これに対しオオクニヌシは返事を渋ったが、その息子の事代主神(コトシロヌシノカミ)は異存はないと国譲りを承知し、身を隠してしまった。もう1人の息子建御名方神(タケミナカタノカミ)は承服せず戦いを挑んだが、あえなく敗れて諏訪まで逃げ降参した。こうなるとオオクニヌシも否応もなく承知したが、代償としてこの出雲の地に天に届くばかりの立派な御殿を造り、自分の住みかにすることを承諾させた。これが現在の出雲大社のもとであるという。

[天孫降臨]

 オシホミノミコトは降臨の準備にとりかかったが、そのさなかに邇邇芸命(ニニギノミコト)が生まれ、オシホミは自分の代わりにこの子を降ろすことを提案し、アマテラスもこれを受け入れた。ニニギノミコトが天降りの途中、上は高天原を下は葦原中国を照らす神がいた。国つ神の猿田毘古神(サルタヒコノカミ)で、天の御子にお仕えしようと出迎えたのだという。

 これを聞いてアマテラスも安心し、天児屋根命(アメノコヤネノミコト)・布刀玉命(フトダマノミコト)・アメノウズメノカミ・伊斯許理度売命(イシコリドメノミコト)・玉祖命(タマオヤノミコト)をニニギに従えさせ、さらに八咫鏡(ヤタノカガミ)と八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)、スサノオから献上された草薙剣(クサナギノツルギ)、それにオモイカネノカミ・タヂカラオノカミ・天石門別神(アメノイワトワケノカミ)を添えて、「この鏡を私の御魂と思ってお祀りしなさい」といって送り出した。こうして、ニニギの一行は、筑紫の日向の高千穂の峯に降りて行った。

 ニニギは降臨した日向国に壮大な宮殿を営んだ。ある日、ニニギは木花佐久夜毘売(コノハナサクヤヒメ)と見目麗しい乙女に出会った。一目惚れしたニニギはただちに求婚し、父であるオオヤマツミのもとにおもむいた。オオヤマツミはたいそう喜び、姉である岩長比売(イワナガヒメ)も一緒に輿入れさせたが、ニニギは姉の器量がひどく悪かったため、すぐに父のもとへ返し、コノハナサクヤだけをとどめて一夜をともにした。オオヤマツミが姉妹をそろえて献上したのは、イワナガヒメによって天神の御子の命が岩のように永くあり、コノハナサクヤヒメによって、御子の世が花の咲くように栄えるようにと願ったからで、イワナガヒメを返したことにより、御子の命は木の花のようにうつろいやすく、ニニギの子孫である天皇の命が限りあるものとなったのもこのためだという。

 その後、コノハナサクヤが大きなお腹をかかえ出産を告げにきた。一夜の契りによる妊娠を疑うニニギに対して、「まことにあなたの子であるなら無事に生まれましょう」と産屋の戸をふさぎ火を放ち、その中で出産した。炎が真っ盛りの時に生まれたのが火照命(ホデリノミコト)、次に生まれたのが火須勢理命(ホスセリノミコト)、その次が火遠理命(ホオリノミコト)であった。

[海幸と山幸]

 兄弟は成長すると、1番上のホデリノミコトは海幸彦(ウミサチヒコ)と称し漁につき、1番下のホオリノミコトは山幸彦(ヤマサチヒコ)と称し狩りに生業を求めた。ある時、2人はたわむれに互いの狩猟道具を交換し、山幸彦は兄の釣道具を持って漁に出かけたが、1匹の魚も釣れないばかりか借りていた釣針までなくしてしまった。そのため自分の剣をくだいて500本の釣針を作ってわびたが、兄の海幸彦はもとの釣針でなければだめだといって納得しない。山幸彦が、海辺泣いていると、塩椎神(シオツチカミ)が通りかかり、「海神の娘がなんとかしてくれるでしょう」と言って船を貸してくれた。そこで船に乗り潮にまかせていると、やがて海神の宮殿に着き、ワタツミノカミの娘豊玉毘売(トヨタマヒメ)に迎え入れられた。2人は一目で互いを好きになり結婚して、幸せな日々を過ごした。

 こうして3年が過ぎ、失った釣針も見つかったので、山幸彦は1人故郷に帰った。しかし、海幸彦は依然として弟を許さない。なんだかんだと文句をつけるため、山幸は海神から土産に貰った潮の満干を操る潮盈玉(しおみつたま)・塩乾玉(しおひるたま)を使ってこらしめると、ついに海幸も降参した。やがて、山幸の子を宿していたトヨタマヒメがお産のためにやって来た。トヨタマヒメは海辺に産屋を建て、決してお産の様子を見ないようにと言い残し中に入った。。ところが、山幸彦はその言葉に不審を抱き、中をのぞいてしまった。

 すると、トヨタマヒメは巨大なワニザメになってうごめいていた。山幸が驚いて逃げ出すと、トヨタマヒメは未練を残しながらも、生んだ子を置いて海神の国へ帰って行った。その子は、鵜葺草葺不合命(ウガヤフキアエズノミコト)と名づけられ、トヨタマヒメが送ってよこした妹の玉依毘売(タマヨリヒメ)を乳母として育てられた。ウガヤフキアエズとタマヨリヒメは後に結婚し、4人の子をもうけた。4番目の子は、名を神倭伊波礼毘古命(カムヤマトイワレヒコノミコト)と言い、現在の天皇家の祖とされる神武天皇となった。



      
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