ギボウシ(ホスタ)のウイルス病
ホスタ・ウイルスX (HVX)


Hosta Library(英文)「HOSTA VIRUS X」のページより和訳・転載

感染例写真 流通している感染品種

はじめに

 ホスタ・ウイルスX(HVX)というウイルスに感染しているギボウシ(ホスタ)が多く見受けられます。最もよく見受けられる品種は「ゴールド・スタンダード」「ストリップティーズ」「サム・アンド・サブスタンス」ですが、他の一般的な品種も多数感染が報告されています。この病気では植物自体は枯死しないものの、強い感染力があることが最も危険な点と言えます。感染後症状が出るまで数年かかるため、HVXは数百数千の苗に伝染し、世界中で流行している状態です。HVXの症状が出た苗が含まれる株は、株全体が感染しているとみなし破棄されるべきです。個体検査は非実用的かつ不確かです。
 
 もし貴方が園芸愛好家であれば、ごくわずかな徴候がほんの一部にでも出ている株の苗は買わないで下さい。症状が出ている株からの苗が家にある場合は、すぐに捨てて下さい。もし貴方が栽培や販売業者でしたら、感染の徴候がどういったものか学び、在庫にそうしたものがあれば供給元に連絡をして下さい。現段階では、このウイルスは上記品種をはじめ、他品種にも広く感染しています。そして2006年5月現在、供給元の種苗場は未だにこの問題を学んでいる段階です。HVX対応の特殊なELISAキットでの病原検査以外にHVXを検出する手立てはありません。非常に多くのHVX感染個体がいまだにあらゆるレベルで流通しているのが現状です。
 
 このウイルスは、まず植物を切ることにより伝染します。感染したものの汁が健康なものの汁に触れることで新たな感染が発生します。これは剪定した際の器具や手を作業後に消毒しなければいつでも起こりうることです。ギボウシを株分けした、花茎や葉を除去した、踏んでしまった、うっかり芝刈り機をかけてしまったなどということがウイルスを広めてしまいます。ウイルスは生きた植物の組織内でしか生存できず、宿主がいなければ死滅します。鉢植えのものはシンプルに捨てるか焼却するかしましょう。地植えのものは可能な限り多くの根を回収出来るよう念入りに掘り出します。そしてその場所は、残存する根が枯死するか腐朽するまで再度何かを植えることは無いようにすべきです。
ホスタ・ウイルスX (HVX) 症状



インクブリード(インクのにじみ)
HVX感染で最初に気付くであろう、最も一般的な症状です。これは初期の徴候で、目に見える症状が出てきたギボウシ(ホスタ)のほぼ全てに、通常この症状がある程度みられます。大抵は周囲の組織とはっきりと違う色が葉脈沿いに現れます。ウイルスは葉脈から入り、健全な組織に感染し変色させながら、葉の組織に広がっていくと考えられています。




組織の崩壊
これは大抵重度の感染を示す症状で、葉の組織がそこだけ水分がすっかり抜けてしまったかのように崩れます。この症状を表現するのに「乾燥」という言葉が時々使われることがありますが、感染組織は乾燥したり枯死したりしている訳ではなく、シーズンを通して残存することが出来ます。写真を見るとお分かりのように変色を伴うことがあり、周囲の組織より濃い青緑色で、よりワックスがかった感じであることが多いです。インクブリード様の症状は組織の崩壊を伴うことがよくあります。




斑紋様の組織
三番目のタイプの症状には独自の名前がありません。この症状は他のウイルスでも見られるものだからです。この斑紋が出ている個体はHVX検査で陽性が出たものですが、他の病気によってこうした症状が出ていて、HVXは存在するもののこの症状の原因ではないという可能性もあります。こういった症状が出たものはウイルスに感染しているものとして破棄すべきです。このようなタイプの斑紋は健全なギボウシ(ホスタ)の突然変異では有り得ません。


※訳者は一般愛好家で、翻訳は個人的に行ったものです。訳文はいかなる機関や専門家の認証も受けていません。従って誤りがある可能性がありますので、その旨予めご了承下さい。