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全日本プロレス観戦記

2001年(2)

2001.10.27「ジャイアントシリーズ最終戦」(日本武道館)
2001.10.8「ジャイアントシリーズ」(後楽園ホール)
2001.8.26「サマーアクションシリーズ2 開幕戦」(後楽園ホール)

2001.12.7(日本武道館。2001世界最強タッグ決定リーグ戦優勝戦)

 上位2チームで優勝戦が行われる予定だったのだが、4チームが同点で並ぶという混戦のため、トーナメント方式で優勝戦出場チームを決定することになった。
 当初は苦戦していた川田・長井組も、踏ん張って上位4チーム入り。
 長井の成長ぶりが見どころだった。
 トーナメントの試合が増えたためか、宮本選手の試合はなかった。

(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)

第1試合 30分1本勝負
○ 荒谷信孝 13分13秒
逆エビ固め
土方隆司 ●

 荒谷、やや前屈みに登場
 土方に白テープがたくさん飛ぶ。
 荒谷の方が体が厚い。力の荒谷の方がありそう。
 荒谷がボディスラムで投げて、ロープの外に出てコーナートップへ。
 しかし、土方がすぐ起きあがり、パンチ。続いて投げる。
 さらに、荒谷を場外へスライディングキックで落として、エプロンから稲妻レッグラリアット。
 リングに戻り、土方がフィッシャーマンズ。・バスターをかけるがカウント2。
 続いてのブレーンバスターの掛け合いは、荒谷の勝ち。
 荒谷は片エビ逆エビを多用。
 最後は荒谷が力にものをいわせ、垂直落下ブレーンバスターから逆エビで土方からギブアップを奪った。
 最後は荒谷が土方の健闘をたたえて場内から拍手。
 いかにも第一試合らしい試合だった。
 ケガで欠場の奥村は、第1試合からセコンドについていた。

第2試合 30分1本勝負
○ スティーブ・ウイリアムス
マイク・ロトンド
安生洋二
15分27秒
片エビ固め
(デンジャラス・バックドロップ)
田中将斗
保坂秀樹
本間朋晃 ●

 ウィリアムスとロトンドは、花道の途中で立ち止まり、TOPのポーズ。その後ろで安生もしっかりTOPのポーズ。ウィリアムスとロトンドは、後ろの安生を見て驚き、うれしそうに、安生と拳を重ね。
 いつの間にTOPに入ったんだよ。
 リングインしても、ウィリアムスたちがコーナーに立つと、安生も慌ててコーナーに立ち、ポーズを取り、受ける。
でも、コールでは安生はしっかり、親指を立ててグッドポーズ。
 安生、ロトンド、ウィリアムスと、あとにコールされる選手ほど飛ぶテープの数が多い。
 まずは、ウィリアムスと田中から。
 田中は気後れせず、ウィリアムスに向かっていく。ロープに飛んでウィリアムスを倒し、カバーにはいるが、これは高くはねとばされる。
 本間に変わると安生。
 本間が安生をロープに振ると、安生はリング外へ滑り出る。
 そこで本間が反対側のロープに飛んで場外へ飛ぼうとすると、安生はさっとリングインし、腹這いになって本間を見上げる。
 場内沸くが、本間は安生の後頭部へエルボー。
 次は保坂とロトンド。
 保坂が、体当たりしてきたロトンドをかわし、場外へ落とす。保坂はトペで飛ぶがロトンドにダメージ無し。
 途中保坂がつかまる。
 ウィリアムスがなぎ倒し、TOPのポーズで客席にアピールしている間に安生がリングインしてせこく痛めつける。
 しかし、安生、2度目はウォーリー山口に見つかり、そそくさと戻る。
 安生は胸へのキックを連発し、相手が踏ん張ると、さっと足首へのキックで足下をすくう。
 ロトンドが保坂にコブラツイスト。安生にタッチすると安生もコブラ。ロトンドに手を引いて貰う。
 田中たちがレフェリーに抗議している間に、ウィリアムスとタッチせず交替。レフェリーが怪しがると、安生は、客席に「ちゃんとタッチしてるよな」とアピール。
 ウィリアムスは卍固めもだす。保坂の体が90度に折れる。
 ウィリアムスが保坂を外に出し、安生が痛めつけ、しっかりウィリアムスをサポート。
 乱戦になり、田中たちは、ウィリアムスとロトンドを外に出して安生をねらう。
 保坂が投げて、田中、本間がコーナーからほとんど間を開けずに連続して飛ぶ。
 しかし、ウィリアムスたちが戻り、保坂をつかまえて、ウィリアムスとロトンドがダブルのアキレス腱が為。安生は上半身を攻める。
 6人が入り乱れるが、ウィリアムスのバックドロップで決まる。
 安生はウィリアムスとロトンドの間に入って勝ち名乗りを受け、コーナーにも立ってTOPのポーズ。
 退場の時も、いつものように愛想を振りまきながら去っていった。

 ここで、トーナメント第1回戦の組み合わせ抽選。
 「王者の魂」が流れると元子コール。元子社長が封筒を選び取る。
 まずは、天龍・冬木組。
 次に引いたのは武藤ケア組。
 場内が沸く。

 休憩。
 リングサイド9割、1階7割、2階6割ぐらいの入り。

第3試合 2001世界最強タッグ決定リーグ戦決勝トーナメント一回戦第一試合
 時間無制限1本勝負

○ 武藤敬司
太陽ケア
14分30秒
体固め
(フランケンシュタイナー)

天龍源一郎
冬木弘道 ●


 入場時、先に入っていた天龍が、ロープを開けてケアたちを迎え入れる。
 ケアはちょっと警戒するが、天龍が、「どうぞ」というジェスチャーをしたので、天龍の顔を見ながらリングイン。
 和田レフェリーだったが、コール無し。
 まずは、冬木とケア。
 天龍が入りケアを飛ばして、エプロンの武藤にチョップ。
 武藤と冬木になった時に、武藤が天龍にエルボーを出そうとするが空振り。
 5分もしないうちに、ケアがハワイアンスマッシャーを出す。早く決めようという気持ちがあるのだろう。
 武藤が冬木をボディスラムで投げて、ムーンサルトを出すときのようにコーナーに登ると、天龍が駆けつけ、武藤の股に頭を差し込んでパワーボム。
 天龍はスモールパッケージ・ホールドまで出す
 倒れた武藤へ、天龍はコーナーからのエルボーを狙うが空振り。
 ケアに代わると、天龍とパンチと張り手の乱れうち。殴り合い張り合う。
 どちらのチームにも声援が飛び、誰がカットに入ってもブーイング。
 天龍たちのサンドイッチラリアットは成功
 ケアが場外へ落ちた時、セコンドについていた荒谷にぶつかり、荒谷ダメージを受けていた。
 場外で天龍がケアをつかまえている間に、冬木が決めにかかる。
 アッアッアッ・ヘッドバットや、地団駄ラリアットなど、冬木のフルコース。
 ラリアットで決まらず、続いてパワーボムに行こうとしたところを、ケアがフランケンシュタイナーのようにして無理矢理冬木を押さえ込み、ばたばたと3カウント。
 天龍は、リングのようすを見ながら武藤を痛めつけていたが、冬木が決めるものと油断していてカットに入れなかった様子。

第4試合 2001世界最強タッグ決定リーグ戦決勝トーナメント一回戦第二試合
 時間無制限1本勝負

○ 川田利明
長井満也
7分05秒
ストレッチ・プラム

ロン・ハリス
ドン・ハリス ●

 コールの時、長井にテープが飛ぶが、川田にはもっとすごいテープの量。リングがテープで埋まる。
 長井は、ロン(スキンヘッド)の方を指差すが、ドン(長髪)が先発。
 客席からは長井コール。一部の客からハリス・コール。
 長井が投げられると、川田すぐにリングイン。しかし、ハリス兄弟のダブルキックを食らう。続いて長井にもダブルのハイキック。
 全員場外へ。
 ハリス兄弟が二人がかりで、長井、川田を鉄柵へ振る。すごい音
 続いて、それぞれが、長井、川田を喉輪で軽く投げつけ、パワーを見せる。
 ブレーンバスターの掛け合いは長井が勝ったが、すぐハイキックを食らった。
 ドンが喉輪に行こうとしたところへ川田がカットに入り、長井がニールキック。
 そこで川田にタッチ。川田は一度はハイキックを食らうが、すぐにハイクック連発で反撃。コーナーに振ってハイキック。場内それに合わせて一斉に「イーーヤッ」。
 ここでハリス兄弟はロンにタッチし、二人で川田を持ち上げ、投げ捨てるのを連発。
 長井が入るがダブルハイキックで迎撃される。
 川田がバックドロップを決め、続いて延髄キック。ドンがカットに入ると、長井も入り、長井と川田で両面からのキック。
 長井はコーナートップから、川田はリングに立ったまま、ロンへ二人でキック。
 ここで川田がストレッチプラム。
 長井はドンをつかまえている。
 ギブアップが奪えず、川田は延髄キック。2カウント。
 すぐにまたストレッチプラム。ドンは長井を外に出し、カットにはいるが、川田は放さない。
 長井がすぐに戻って、またドンをコーナーに押しつけ動きを封じる。
 川田はひたすら締め上げ、ついにギブアップを奪って勝利。
 あーよかった。長井に余裕が感じられた。

第5試合 30分1本勝負

北原光騎
●平井伸和
22分24秒
片エビ固め
(ブリティッシュ・フォール)

ジョニ―・スミス○
ジョージ・ハインズ
バンピーロ

 ハインズ、スミス、バンピーロの順に登場。バンピーロは盛んに場内にアピール。
 平井、北原、嵐の順に登場。いつもながら、平井は不機嫌そうな表情。
 嵐は花道のところで客に何か言われたのか、立ち止まってにらむ。
 コールの時に、平井に緑と赤のテープ。北原赤テープ。嵐白テープ少し。
 バンピーロにテープ、ハインズにもテープ、最後にコールされたスミスに一番多くテープが飛んだ。
 リングアナが、ウォーリー山口をコール。場内ウォーリー・コール。
 平井とハインズ。バック取り合戦からグランドへ。地味な始まり。
 ハインズが腕を取り、平井が返す。
 ロープに飛ばし合い、ハインズが2度平井を飛び越えてみせ場内をわかすが、平井が投げる。
 平井は北原にタッチ。
 北原はハインズのバックを取るが、腕を取られ、グランドへ。
 北原がヘッドバットをかけたが、北原の方が痛そうだった。
 ハインズがスミスにタッチすると、北原は嵐にタッチ。
 スミスはすぐに、バンピーロにタッチ。場内バンピーロ・コール。
 嵐がロープにふり、体当たり。2回。2回とも、バンピーロが突き倒され、痛そう。
 北原にタッチ。バンピーロは北原の鼻をねじって逃れる。北原はバンピーローを花道に出してブレーンバスター。
 次にロープ越しにブレーンバスターでリングに戻す。
 タッチして入った平井が、ロープの2段目に立つと、バンピーロが立ち上がり、平井にフランケンシュタイナー。
 やっと自軍コーナーに戻ってハインズにタッチ。
 平井とハインズのエルボー合戦。
 その後、ハインズがきれいなドロップキックを決める。
 平井がハインズを自軍コーナーに連れて行き、嵐とタッチ。
 嵐はすぐに北原とタッチしてダブルのショルダータックル。
 ハインズが北原のバックを取ると、北原は急所蹴り。
 平井にタッチし、平井がコーナートップからハインズの肩へチョップ。
 カバーにはいるが、カウント2。
 平井は、フィッシャーマンズ・スープレックスで投げてから嵐にタッチ。
 場内からは、ジョージ・コール。
 嵐が場外へ出し、北原が鉄柵に振る。ハインズはこのあたりいいところなし。
 平井がコーナーのスミスたちを落とし、3人でハインズを攻め、3人がかりでハインズをコーナートップへ持ち上げ、そこからパワーボム。
 しかし、ハインズ返す。
 続いて嵐のサソリ。スミスがヘッドバットでカット。
 そこへ北原が入ってスミスを場外に落とす。
 コーナーに振られたハインズはエルボーで反撃に出る。ハイキックで嵐を倒し、スミスにタッチ。
 スミスはコーナーからミサイル・キック。
 嵐は北原にタッチ。バックを取られた北原は金的を蹴ろうとすると、スミスはうまく足を絡めて蹴らせない。
 しかし、体が離れたときに、北原は前からパンチでスミスへ急所攻撃。
 北原がスミスを投げ、平井がダイビングエルボー。しかしスミスは立ち上がり、パワースラムで平井を投げて、バンピーロにタッチ。
 バンピーロは連続キックを見せて、客席にアピール。
 続いてパワーボムをかけるのかと思ったら、持ち上げた平井をコーナーへそのまま投げる。平井は顔面からコーナーに激突。それもちゃんと当たらず、側頭部がぶつかったようだった。
 平井は場外でハインズに鉄柵に振られ、続いてバンピーロの方へ振られそうになったが、北原が後ろからバンピーロを押さえ、それは逃れる。
 特に平井はがんばっているのだが、客席には、早く決定戦が見たい、という空気が流れていて、選手には気の毒な雰囲気。
 バンピーロはいいところを見せようとするがなぜかうまくいかないことが多かった。
 細かいところをとばすと、スミスが平井のバックをとり、ジャーマンに行こうとしたところを平井が回転エビ固め。スミスが返して脇がために入ると、平井が返して逆さ押さえ込み。
 それでも決まらず立ち上がったところへ、スミスのラリアット、続いてリバースDDTでカウント3。
 バンピーロは大喜びしていたが、左肘を押さえたりしていた。
 退場するとき、バンピーロは客席に入っていって客に囲まれ、カメラに向かってアピール。
 セコンドに促されて戻るが、バンピーロは、手を振ったりして上機嫌。

第6試合 2001世界最強タッグ決定リーグ戦 優勝戦
 時間無制限1本勝負

武藤敬司
○ 太陽ケア
16分49秒
片エビ固め
(ハワイアン・スマッシャ―)

川田利明
長井満也 ●


 優勝カップが運び込まれる。
 リングサイド満員。
 和田レフェリーがリングに立つ。
 「世界最強タッグシリーズ優勝戦」のコールで最強タッグのテーマ「オリンピア」が流れ、ケアと武藤が登場。
 続いて長井と川田が登場。
 長井の幟が振られる。
 おなじみの竹内さんが優勝戦宣言。
 竹内さん4人と握手して退場。
 コールの時、長井にテープ。川田に大量のテープ。ケアにはテープない。武藤に声援はすごいがテープは一本ぐらい。レフェリーもコールされ、場内京平コール。
 8時32分ゴング。
 はやるケアを武藤が押さえ、川田を指名。
 場内大いに盛り上がる。
 川田はリング中央に立つ。
 武藤はリングの張りを確かめるかのように、背中をロープに押しつける。それに対して、川田は屈伸運動。
 四つに組んだが、ロープではきれいにブレイク。
 また組んだと思うと川田がバックドロップ。しかしすぐさま武藤のシャイニング・ウィザード。両者倒れたまま起きあがれない。
 長井とケアが身を乗り出し、声をかける。
 武藤が先に立ち上がり、ケアにタッチ。
 ケアがカバーにはいるがカウント2。川田が長井のいる青コーナーに近いところに倒れているので、リング中央へ引きずっていってまたカバー。カウント2。
 川田はケアのチョップと蹴りを食らいながら回復していく。
 ケアが川田を持ち上げると、長井がカットに入り、川田は蹴りでケアを倒してから長井にタッチ。
 長井とケアのミドル・キック合戦。
 両者譲らない。それぞれ腕でブロックして譲らない。
 エルボー合戦からケアのチョップ。長井たえる。何度も耐えて、ニーリフトで反撃。
 続いて串刺しニー。
 武藤が入ると武藤にもニー。さらにコーナーへ振って串刺しニー。
 長井は気合いが入りまくり。
 ケアは長井をロープに振ると、至近距離からドロップキックを放って武藤にタッチ。
 武藤は低空ドロップキック連発。しかし、長井はひるまずエルボー。
 しかし、武藤はさらに低空ドロップキックを放ち、長井苦悶。
 武藤は、ドラゴン・スクリューから足4の字へ入ろうとするが、長井は下から武藤の顔を蹴って逃れ、川田にタッチ。
 川田は武藤の頭を押さえつけ、連続顔面キック。
 武藤は浴びせ蹴りから反撃に入り、川田をコーナーへ振って側転エルボー。続いてフェイスクラッシャー。その上、シャイニング・ウィザードを放つ。
 しかし川田は腕でブロックし、キック。続いてラリアット。
 カバーに入るが返される。
 川田のハイキックを武藤は腕で払い、低空ドロップキック。
 ここで長井にタッチすると、なんと長井はドラゴンスクリューを見せ、場内から歓声があがる。
 長井はキックのあと、またドラゴンスクリュー。
 ムキになったか、武藤が無理矢理ドラゴン・スクリューをやりかえす。その時、長井が踏ん張っていたので、変に力がかかったのか、長井のダメージが大きかったようだった。
 武藤はすかさず足4の字へ。ケアは川田を外へ出す。
 長井は苦しい。
 川田が入れない。場内長井コール。
 長井耐える。
 川田が戻ろうとするが、ケアがハイキックでエプロンから落とす。
 長井は何とかして足をはずそうと、体を起こし、それから横に倒れてやっとロープをつかんだ。
 ブレークしたが、長井は倒れたまま右膝を気にしている。武藤は、その長井の膝へ低空ドロップキックを放ってケアにタッチ。
 ケアはコーナートップからボディプレス。続いてバックドロップ。
 カバーにはいるがカウント2。
 ここで10分経過。
 ケアがコーナートップからダイビングボディプレス。川田がカット。
 ケアが川田にトラース・キック。
 川田場外で倒れる。
 武藤がコーナー長井にミサイルキック。続いてムーンサルト。
 カバーするのを、川田がカットに入り、武藤へ延髄キック。続いて川田がニードロップ。
 川田が武藤を押さえ、長井がコーナートップからハイパーニ空牙。
 武藤をコーナーへ振って、川田がフロント・ハイキック。長井が続いたが、武藤はエルボーで返し、川田へドラゴン・スクリュー。ケアにタッチ。
 ケアは長井へハワイアン・スマッシャー。川田がカット。武藤は疲れ切ったのか、コーナーで倒れていたが、リングインして川田へキック。ケアと武藤でダブル。ブレーンバスター。
 ケアが長井のバックを取るが長井取り返し、ケアがロープに走ったところをつかまえてジャーマン。
 場外に出されていた川田は、武藤側である赤コーナーからエプロンに立ったが、自分のコーナーがわからず、赤コーナーに立ったまま長井に手を伸ばす。和田レフェリーに教えられて青コーナーへ戻った。
 長井はタッチしようとするが、武藤のシャイニング・ウィザードをくらってしまう。
 武藤が川田を外へ出すと、ケアが長井にジャーマン。カウント2.99。
 場内ストンピング。
 ケアのキックが後頭部に当たり、長井崩れる。
 2度目のハワイアン・スマッシャーへ行こうとしたところへ川田が入るが、ケアと武藤で連続して低空ドロップ・キックで川田の膝を攻める。川田は10発ぐらい食らっていた。
 ケアが長井に、武藤は川田にシャイニング・ウィザード。
 武藤が川田を場外へ落とし、ケアがカバーに入るが、長井はカウント2で返す。
 場内ストンピング。
 しかし、ケアがハワイアン・スマッシャーを決めついに、長井は力つきて3カウントを聞いてしまった。

 3カウントをとられた長井は大の字になったまま立ちあがれない。
 川田は足を引きずりながら、長井の所へ。
 和田レフェリーが、心配そうに長井の顔をのぞき込み、川田が長井の手を引いて起こそうとすると、長井はやっと上体を起こした。
 渕もリングに入って長井を抱きかかえ、よくやった、とほめていた。
 優勝カップが運ばれてくると、武藤はそれを長井のそばへ持っていき、その上に顔を載せて長井に見せつける。
 渕が長井を抱きかかえて青コーナーへ連れて行き、表彰式が始まった。
 バンピーロ、ハインズ、ウィリアムス、ロトンド、ハリス兄弟、冬木、北原、嵐、安生、スミスの順に登場。
 ウィリアムスとロトンドは完全に私服。

 各賞は以下の通り。

○内外タイスム賞  安生・スミス組

○週刊ファイト賞  嵐・北原組。

○レジャーニュース賞 ハインズ・バンピーロ組。

○報知新聞賞 ウィリアムス・ロトンド組。
(ハリスが勘違いしたのか、渡す方が勘違いしたのか、ハリスが受け取ろうとしてしまった)

○スポーツニッポン賞  ハリス兄弟。

○サンケイスポーツ賞  天龍・冬木組
(ここで初めて天龍がいないことに気がついた)

○デイリースポーツ賞 川田・長井組

○日刊スポーツ賞 武藤・ケア組

○技能賞 ハリス兄弟

○敢闘賞 天龍・冬木組

○殊勲賞 川田・長井組

 優勝チームへの1000万円のパネルが武藤・ケア組に贈られ、ケアが場内にかざしてみせた。

 選手が退場するときに、土方がロープを開ける。
 バンピーロが何か話しかけ、土方は笑顔で答える。アンピーロは土方と握手し、場内に手を振って去っていった。

 最後に退場した武藤は疲れ切った顔。
 それでも、南側の客席にポーズをとって見せ、場内を沸かせる。
 馬場さんの幕の前でもポーズをとっていた。

 武藤の姿が、馬場さんの幕の向こうに見えなくなったのが、ちょうど9時だった。


2001.10.27(日本武道館。ジャイアントシリーズ最終戦)

 全日対WARの5対5シングルマッチ決戦。
 ともに、出場者のうち一人はX。誰が出るのか。
 また、11年ぶりに全日リング復帰を果たす冬木と、川田の決着は。
 メインで、武藤が挑戦者の蝶野を迎え撃つ。全日の大会なのに、メインは新日の選手同士というのが、現状を象徴しているのか。

 例によって、ポスターをプリントアウトして持っていくと、記念品がもらえるので、同じものが二つになってもいいや、と思って持っていったら、なんと、川田か天龍のクリアーファイル、どちらか好きな方をもらえるのだった。とりあえず川田を貰ったが、こんなことなら、二枚プリントアウトして行って、両方貰うんだった。

 席は、1階東南D列。花道への入場口の斜め後ろになっていて、選手の後ろ姿を見送る席。
 5時10分にはがらがらだったが、50分になったら、アリーナ9割、1階8割、2階7割ぐらい入っていた。

 各試合ごとに組み合わせが発表されるという事がアナウンスされ、場内どよめく。

(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)
第1試合 30分1本勝負
● キム・ドク 8分58秒
体固め
(ボディプレス)
ジャイアント・キマラ ○
 最初に流れたのはキマラのテーマ
 続いてキム・ドク登場。
 コールの時、テープを投げたのは一人だけだったが、文字通り五色のテープが飛んだ。何色ものテープを切り張りしてつなげた手作りテープのようだった。
 キムは体調が悪いのか、キマラに、正面からのショルダークローで、両肩をつかまれ、膝を着いている時間が長い。
 反撃に出て、ボディスラムをかけると拍手、ドロップキックで拍手。
 しかし、ボディプレスであえなくスリー・カウント。
 一度リングから降りたが、キマラが去った後、またリングに上がって客席に手を振った。
 ただの挨拶ならいいが、永の別れなどにならないことを祈る。
 第1試合から、浪速がセコンドについている。

第2試合 30分1本勝負
ジョニー・スミス
○ ジョージ・ハインズ
宮本和志
11分53秒
片エビ固め
(ハインズ・ドライバー)
田中将斗
平井伸和 ●
土方隆司
 田中、平井、土方が登場。
 田中は最初、相島に見えた。いつもながら、平井は不機嫌そうな表情。
 相手は、宮本を先頭に、ハインズ、スミス。
 まずは田中とスミス。
 スミス先生のプロレス教室。腕を取られたらこう返すのだ、ときれいにやってみせる。
 スミスはどんな技もきれいに見せる。
 土方はキックで奮闘する。
 宮本は相変わらず声援が多い。ハインズとスミスで宮本に実地教育を施している、という構図。
 宮本は、場外へのプランチャを見せ、場内を沸かせる。
 最後は、宮本は場外で田中を押さえていて、平井がつかまった。
 ハインズがトップロープ最上段からのフライングヘッドバット、そしてフェイスクラッシャー、続いてハインズドライバーと連発。平井もがんばったが、力尽きた。
 カウントが三つはいると、宮本がすぐハインズに抱きついたのが印象的だった。
 スミスにも抱きつく。
 最後は六人それぞれ握手。

第3試合 30分1本勝負
長井満也
荒谷信孝
奥村茂雄
● 相島勇人
13分51秒
片エビ固め
(トップロープからのエルボードロップ)
スティーブ・ウイリアムス
マイク・バートン ○
マイク・ロトンド
ジム・スティール
 ウィリアムスのテーマ曲が流れ、バートンとスティール登場。最後にウィリアムスが出て6人タッグかと思ったら、ウィリアムスはロトンドと並んで登場。なんと8人タッグ。
 全日側のXはウィリアムスの可能性もあると思っていたのだが、違った。
 相手は、相島、奥村、荒谷、長井。
 長井のテーマ曲なのか、UWFのテーマではない耳慣れない曲。
 いつ長井が出てくるのか分からないので、いつも長井の幟を振っているファンも所在なげに通路の奥で振っていた。
 花道のすぐそばに奥村ファンがいて、奥村の幟を振っていた。
 長井がいきり立っていて、先に出ようとした奥村を押さえる。相島が先発を買って出ようとするがそれも許さず、自分が出る。
 外人側は一人ずつじっくり出る。
 最初は、長井のローンバトル。いい蹴りを出すのだが相手が大きすぎる。
 また、いつものように、どうしても相島のつかまる時間が長いが、これもいつものように相島は奮戦。
 終盤に、日本側にチャンス。
 バートンをつかまえ、他の3人をリングから落とす。長井のハイパーニ、荒谷と奥村のバックドロップ+喉輪のあと、相島のダイビングエルボー。しかしきまらず、逆に相島がつかまる。
 ウィリアムスの雪崩式フロントスープレックス、スティールのロープ最上段からのボディプレスのあと、ロトンドのフライングエルボーとくらい、バートンのエルボードロップで決められる。
 あれだけくらっても生きているのだから、それだけでもたいしたものだ。
 終わってからも、長井と荒谷が外人選手に突っかかっていった。長井が燃えている。

 ここで休憩。
 休憩後、武藤とケアが登場。何事かと思ったら、BATT商品の売り上げを、盲導犬育成組織に募金するのだという。
 リング上で目録をわたす。
 考えてみると、武藤は新日の選手なわけで、新日のリングでやってもよさそうだが、全日のリングでやるところがすでに全日の一員になっている証か。
いよいよ、全日対WARの5対5シングル決戦。
 それぞれの陣営から、試合ごとに立会人に出場選手名が渡されるという。
 立会人は元子社長と日刊スポーツの竹内さんと発表される。場内から拍手。
 「王者の魂」が流れ、場内元子コール。花道を通って現れるかと思ったら、そういうことはなく、リングサイドから階段を上ってリング・イン。
 両陣営からの使者が封筒を持ってきて元子社長に渡し、その中身を竹内さんと二人で確認し、竹内さんが力強く読み上げる。
竹内さん「WAR、天龍源一郎」
場内「うおおお!」
竹内さん「全日本、太陽ケア」
場内「うわあああ!」

全日本プロレス vs WAR 決着 5 vs 5 シングル

第4試合 無制限1本勝負
● 太陽ケア 11分35秒
片エビ固め
(ノーザンライト・ボム)
天龍源一郎 ○
 天龍が、レフェリーのチェック中にケアに襲いかかるが、ケアはよく見ていてトラースキックで応戦。
 天龍は右肩に大きなテーピング。すぐに取ったが、痛いらしい。
 序盤、ケアは天龍の右肩を狙う。
 途中グーパンチで殴り合い。
 場外で、天龍が本部席を狙うが元子社長たちが阻止。
 天龍はノーザンライト・ボムも出すがケアはしのぎ、チョップ合戦。
 気がつくと、平井が全日の Tシャツを来たまま天龍側のセコンドについている。
 天龍がコーナーに追いつめられたとき、なぜか、平井がエプロンに立つ。
 それをケアにとがめられ、ケアにフェンスに飛ばされる。 
 しかし、平井は、隙を見て天龍の口に何か含ませる。天龍がリングに大の字になり、ケアがコーナーから飛ぶと、天龍の口から赤い毒霧。ああやって口に含んでいたのか。
 そのあとすぐに、ノーザンライト・ボムで決まり。
 ケアは悔しそう。大荒れ。

第5試合 無制限1本勝負
○ 白使 10分42秒
片エビ固め
(ファルコンアロー)
北原光騎
 本来ならハヤブサが参戦するはずだったのだが、首を痛める重傷を負っており、人生が代打出場。天龍の意向を汲んだものか、白使で登場。
 北原がパイプ椅子を持って登場するが、和田レフェリーは許さない。
 白使は、文字通り真っ白な衣装。北原の赤と好対照。
 白使が、コーナーに立つとき、ちょっとよろける。しかし、コーナーに立ったまま衣装を脱ぐと全身に経文。白い袴のまま戦う。
 白使が静かでリアクションも鈍く、反撃してこないので、北原は、「なんだこれ」と一度リングから去りかける。扱いかねる様子。
 しかし、白使の動きは、曼陀羅ひねりから動きが早くなり、すぐに念仏パワーボムへ。
 ところが北原は、急所攻撃で反撃。
 北原は、リング下に降りてぱいぷ椅子を取り、それを持ち込んで白使を攻撃。和田レフェリーが、白使と北原の間に立って、椅子を棄てさせようとしていると、何と、白使が、立っている和田レフェリーの肩に手をつき、レフェリーの上を飛び越えて、北原にキック。
 和田レフェリーは、すかさずスライディングキックで椅子をリングから蹴り出し、場内拍手。
 極楽固めは決まらなかったが、ファルコンアローで3カウント。
 白使は、花道ではなくフロアーを戻っていった。

第6試合 無制限1本勝負
竹内さん「WAR、安生洋二!」
場内「ええええっ!」
竹内さん「全日本、アブドーラ・ザ・ブッチャー」
場内「うおーっ!」
● アブドーラ・ザ・ブッチャー 7分27秒
体固め
(パンチ)
安生洋二 ○
 安生は、天龍との世界タッグのベルトを失ったばかりで、また、WARには入りたくないと言っていた。
 こりゃ、全日側に寝返って天龍を敵に回すんだろうな、と思っていたらそうではなかった。
 天龍は、WARのXはブッチャーか田中、と言っていたので、まさかブッチャーが全日側から登場とは予想もつかなかった。考えてみれば、馬場さんの恩義を考えれば、ブッチャーは全日側で当然なのだ。
 NOAHに行った田上が休場しているので、もしやXは田上では、という一縷の望みがあったのだが、そんな夢のようなことは起こらなかった。
 安生は、投げキスなどしながら、満面の笑みで登場。
 続いてのブッチャー登場に場内大いに沸く。
 レフェリーはウォーリー山口。
 安生は、リング・インしようとするブッチャーに奇襲攻撃を掛けるが、地獄突きで反撃されて転げ回る。ブッチャーは地獄突きを連発。逃げ回る安生。
 安生は耐えきれず、花道を逃げる。ブッチャーが追う。
 山口レフェリーが二人に追いすがり、リングに戻そうとすると、うるさい、とばかりにブッチャーがレフェリーに地獄突き。レフェリーは花道とフェンスに両足がかかって逆さ吊り。気の毒ながら、場内爆笑。
 リングに戻るが、また場外へ。セコンドについていた田中もブッチャーにやられ、反撃。それがきっかけになって、田中は安生に加勢。
 リングに戻ってもとにかく地獄突き。ブッチャーは、レフェリーにもくらわせ、レフェリーはしばらく動けなくなる。
 ブッチャーは倒れた安生に毒針を決めるが、カウントをとるべきレフェリーは倒れたまま。
 そこに、田中が乱入してブッチャーを攻撃し、宮本が止めに入る。
 安生は田中が落とした器を右手につけて、顔面にパンチ一発。
 急いで山口を起こし、レフェリーは力を振り絞って3カウント。しかし、決まったとたんキマラが飛んできて、安生は素早く逃げ出す。
 勝ち名乗りも受けないまま、安生は、田中と肩を組んで去った。
 控えのレフェリーが山口を逃がそうとするが、キマラはおさまらず、山口をつかまえ、リングへ入れる。山口がロープに振られると、待ちかまえていたがブッチャーが、地獄付きから毒針。
 それで気が済んだのか、ブッチャーのテーマが流れ、キマラと並んで退場。花道でお辞儀をして拍手喝采を受ける。
 おもしろかったけど、全日側2敗目。

第7試合 無制限1本勝負
● 渕 正信 15分55秒
体固め
(フロッグ・スプラッシュ)
嵐 ○
 静かな始まり。
 グランド技や、渕が嵐の顔を踏みつけたり、と渕らしさを見せるが、嵐のパワーに押され気味。
 腰をやられると、渕は腰を押さえることが多い。ほかのところを攻めさせないために、痛いふりをしているのかと思ったが、ほんとうに痛いらしい。
 何度も渕コールが起こり、声援を受けて、渕は、グーパンチ連発。さらに、バックドロップ2発、場外バックドロップ、中に戻って延髄からバックドロップと畳みかけるが腰が痛くてフォールに行けず。
 結局、嵐のボディプレス「フロッグスプラッシュ」に沈んでしまった。
 試合後、セコンド陣が集まって、箒でリングを掃き、しきりにリングを拭いていたがどうしたのか。
 試合の途中で、天龍、続いて安生がセコンドについた。

第8試合 無制限1本勝負
○ 川田利明 18分05秒
片エビ固め
(顔面蹴り)
冬木弘道 ●
 冬木は派手な紫のガウンで登場。
 川田はいつものように淡々とした表情。
 冬木が握手を求めるが、川田は無視。
 冬木はでっぷり太っているが、よく動き、プロレスはうまい。
 でも、弓矢固めをかけようとしたのは無理がありすぎ、崩れてしまった。
 冬木は川田をコーナーに押しつけてヘッドバット連発。
 場外では机を使おうとするが、リングアナたちに阻止され、川田を場外でボディースラム。
 川田がパワーボムをかけようとすると、自分の後頭部で川田の急所を攻撃。
 川田がストレッチプラムを出せば、冬木は冬木スペシャルを出す。川田はさらにストレッチプラム。
 終盤は、川田が顔面キック連発。
 冬木は、ジャーマンなど披露するが、川田はハイキック、バックドロップ、ハイキックと休まず攻め立て、3カウント。
 二人とも、花道ではなく、フロアーを歩いて戻った。
 途中から渕がセコンドについたのだが、太いベルトをしていた。
 どうやら、腰痛対策ベルトらしい。
 大丈夫だろうか。

 セミの試合が終わると、花道に人が殺到し、武藤・蝶野を待つ。
 しかし、ここで最強タッグリーグ参加チームの発表。

ウィリアムス・ロトンド。
ハインズ・バンピーロ
安生・スミス
ドン・ハリス、ロン・ハリス
天龍・冬木
川田・渕(ただし、大会終了後、渕は敗戦の責任を取って出場を辞退し、長井に変更になった。おそらく、腰痛のせいもあるのではないか)
武藤・ケア

三冠へビー級選手権試合 60分1本勝負
チャンピオン
○ 武藤敬司
22分52秒
体固め
(フランケンシュタイナー)
チャレンジャー
蝶野正洋 ●
 蝶野は、T2000に加わった全日の外人選手を従えて入場。ウィリアムスも蝶野の後ろを歩いている。みな、「T2000」の文字の入ったバスタオルを肩に掛けている。
 一方武藤は、ケアだけを従えて登場。
 ガウンを取ると、なんと5本のベルトを全部身につけている。
 以前、ウィリアムスとの防衛戦で3本とも巻いていたのには驚いたが、今度は腰に3本、あとは1本ずつ方から斜めにかけている。
 マカロニウェスタンあたりに出てくる山賊のようだ。
 認定書を読み上げるのは、毎度おなじみ竹内宏介さん。
 レフェリー和田京平。
 序盤は、新日らしい展開。
 じっくり相手のようすを見る。
 一度、蝶野がリングしたに降りて、あがろうとエプロンサイドに立ったとき、武藤は、ロープの二段目を使ったシャイニングウィザードを放つ。
 蝶野は、前から抱きつくようにして相手の首を抱え、大外刈りのようにして脚を払って相手をうつぶせに倒す技を二、三度使った。ダメージは与えられるらしいが、よくわからない。
(この技については、「全日本プロレス」の「応援ボード」で、「コンプリートショット」という技だと教えていただいた)
 武藤は、コーナーに上がった蝶野をつかまえ、雪崩式ドラゴンスクリューから足4の字。エプロンでのドラゴンスクリュー。いいところを見せるが、側転エルボーはかわされ、ムーンサルトもかわされ、STFを2度かけられ、苦しむ場面が多かった。
 蝶野が武藤をロープに振り、もどって来たところへケンカキック。武藤は前転してかわしドロップキック。武藤が体を起こしたところで、蝶野が新技。
 シャイニングウィザードかと思ったら、シャイニング・ケンカキックとでも言うべき蹴り。
 正面からくらった武藤は動けなくなる。蝶野はフォールに行かず、客席に向かってポーズを取ってみせる。
 それからは、シャイニングウィザードとシャイニング・ケンカキックのかけあい。
 互いに、相手のを両手でブロックし、すぐに自分がかけるがブロックされる。これを何度も繰り返す。
 最後は、フランケンシュタイナーから3カウント。
 外人はレフェリーに抗議し、蝶野の手を挙げる。
 蝶野が戻って行った道では蝶野コール。しかし、会場全体では、武藤への声援の方がはるかに多かった。


 全日本プロレスの興行でメインが新日の選手同士で、しかもかなりの盛り上がりというのはちょっと悔しかったが、考えてみれば、全日のリングでBATTの収益を寄付するあたり、武藤はすでに全日の一員とみなしてもいいのかもしれない。
 よく見えなかったが、花道を戻っていって、馬場さんのカーテンのところで、カーテンをまとって見せていたらしい。


2001.10.8(後楽園ホール。ジャイアントシリーズ)

 メインで、世界タッグとアジアタッグをかけて、4対4の8人タッグマッチが行われる。
 前日は冬木が乱入しており、今日も乱入することは必至。
 川田も本格的に対WARの戦線に登場。どうなる、新生全日本!

 ホームページのポスターを印刷して持っていくと記念品をくれるというので、持っていく。
 太陽ケアのクリアーファイルをくれた。ケアの生写真入り。

 会場にはいると、記者席に竹内宏介さんの姿が。黒いスーツ。武道館で認定書を読んだときと同じ服装だ。今日も認定書を読むらしい。

 席は西側に列。前から4列目。
 コーナーに近く、見やすいいい席だった。

(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)

第1試合 20分1本勝負
○渕 正信 7分47秒
腕固め
宮本和志●
 宮本にはまだ入場テーマ曲がない。渕のテーマが流れると、まず宮本登場。
 レフェリーは和田京平。
 試合は、渕がじっくり宮本にプロレスを教えるような流れになるのかと思っていると、宮本はなかなか強気。
 四つに組んでロープに押しつけられ、ブレークする時に、渕の胸を両手で強く押す。
 渕は、レフェリーに「ブレークなのに、なんだ」という不満顔を見せるが、レフェリーは取り合わない。
 逆に、宮本が渕をロープへ押しつけ、ブレークを命じられ、渕がさっきのお返しをしようとすると、なんと、宮本が先に渕の胸をたたく。またまたレフェリーを見る渕。レフェリーは取り合わない。
 その後、渕が宮本をヘッドロックに捕らえ、苦しめる。宮本は渕をロープへ振ろうとするが、渕は離さず、ブルドッキング・ヘッドロックのようになる。
 やっとのことでそれから逃れた宮本は、逆に渕にヘッドロック。左脇の下へ渕の頭をはさんでいる。左利きなのか?
 渕は、ロープを掴んでブレークに持ち込もうとするが、和田レフェリーが、再三その手をはずしてしまう。客もレフェリーも宮本の味方。
 渕が宮本を振ろうとしても、離さず、さっきのお返し。そのままリングに押さえつける。
 さっき体で覚えたことをやって見せているわけだが、場内大満足。
 最後は、宮本をうつぶせにし、渕が自分の右手を宮本の右手の下から通して宮本の左手首をつかみ、ねじ上げる。宮本は両手を決められているのでタップできない。
 レフェリーが宮本の顔を見てゴングを要請。
 最後は渕が宮本の手を差し上げ、健闘をたたえた。
 さわやかな第一試合だった。

第2試合 30分1本勝負
●土方隆司 11分55秒
片エビ固め
(ターボ・ドロップ2)
ジム・スティール○
 土方は、1月のジャイアント馬場三回忌興行ではバトラーツ所属だったが、今はフリーで一人新撰組を名乗っている。負けん気の強そうな面構え。
 どうみても、体格的にジムの敵ではない。
 ジムは、土方をボディスラムで投げると、コーナーに立って自分の肉体を誇示。
 これを2回繰り返す。
 さすがに土方は同じことを3回はさせず、キックで反撃。
 「持ち上げるぞー」と叫んで、ジムを持ち上げようとするが、なかなかあがらない。場内からは「持ち上げろ」コール。やっとのことで一回だけボディスラム。
 ジムは、椰子の実割りを連発し、何と河津落としで決めようとするが、土方は返す。
 その後も粘るが、ターボ・ドロップ2という技からフォールされてしまった。
 土方は、第3試合からセコンドについていた。
 第2試合後に休憩。

第3試合 30分1本勝負
田中将斗
● 平井伸和
 愚乱・浪花
13分24秒
体固め
(ジャンピング・エルボードロップ)
アブドーラ・ザ・ブッチャー○
ジャイアント・キマラ
相島勇人
 田中が先にリングインし、ブッチャーたちを待つ。
 キマラと相島がブッチャーを先導し、先にリングにはいるが、ブッチャーのリングインを待たずに田中たちに突っかかり、いきなり乱闘。
 場外で待ちかまえていたブッチャーに浪花がつかまる。
 試合が始まっても、ブッチャーはしばらくリング下にいた。体が衰えて上がれないのかと思ったが、さすがにそんなことはなかった。
 はじめは相島がつかまり、苦戦するが、キマラにタッチすると、形勢逆転。とにかくキマラが重いので、対応に苦しむ。なんとかしてボディスラムで投げても、自分の腰を傷めてしまい、タッチで交代。攻めきれない。
 途中、ロープの外にいたブッチャーが浪花を捕らえ、キマラが体当たりに行くが、浪花が逃げて同士討ち。起こったブッチャーはキマラに地獄突き。
 最後は、ブッチャーが平井に地獄突き。倒れたところへ、客席へアピールしてから毒針。場内大喜び。
 ブッチャーは相島とは握手をしたが、キマラのことは許さない様子。キマラとブッチャーが場外でもめる。カメラマンに八つ当たり。セコンドについていた土方も巻き添え。ブッチャーが来ると、カメラマンたちは笑いながら逃げ回る。
 キマラが引き上げた後、ブッチャーは、マイクを取って、「キマラ、このやろー」というようなことを言う。「ミセス・ババ」と言ってマイクを置き、戻っていった。
 ブッチャーのお尻が、やけに突き出て見えた。

第4試合 30分1本勝負
太陽ケア
●長井満也
奥村茂雄
20分08秒
エビ固め
(ラストライド)
スティーブ・ウイリアムス
マイク・バートン○
マイク・ロトンド
 バートンは相変わらず人気者。リングの回りを一周してファンにタッチ。
 蝶野と組むことになったらしい外人組と全日本組の対決。
 花道には長井の幟が立つ。
 体格では不利だが、奥村がよく頑張る。
 このシリーズから、全日本プロレスに正式入団した長井は、すっかりプロレスになじんでいる。
 ウィリアムスにジャンピング・ニーを決め、「オー」をやって見せたりする。いいキャラクターだ。
 バートンとケアはチョップ合戦。バートンのチョップの方が一枚上のようだったが、ケアはキックでバートンを倒す。
 最後は、長井がハイパーニ空牙にいったところをはずされ、つかまる。何度か返すが、力つきて3カウント。

第5試合 60分1本勝負 世界タッグ&アジアタッグ ダブルタイトルマッチ
 天龍源一郎
○ 安生洋二

北原光騎
15分30秒
片エビ固め
(顔面ニーリフト)
川田利明
荒谷信孝 ●
ジョニー・スミス
ジョージ・ハインズ
 最初に、リングアナウンサーからルールの説明。
 通常の8人タッグマッチで行われるが、ベルト保持者の誰かが負けた場合、その選手の持っているベルトが相手にわたる。挑戦者のダッグは、川田・荒谷組とスミス・ハインズ組。
 全日本側は、WARの誰か一人を倒せば、世界タッグかアジアタッグのどちらかは手に入る。
 ベルトを持って入場した天龍は、それを投げるふりをして見せ、客席を沸かせる。
 竹内さんが、力強く認定書を読み上げ、場内から拍手が起こり、さあ、これからというところで、場内にどよめきが走る。
 冬木がレフェリーの服装でロープの外に立っている。マイクを持って何か言っていたが、次の日の新聞によると、「川田、今日はオレがレフェリーしてやるよ」と言ったらしい。川田は無言で走り寄り、ハイキック。それがきっかけとなって場内大乱闘。コールの時に投げるつもりでテープを用意して来たファンがここで一斉にテープを投げたものだから、リングがテープで埋まる。
 冬木を蹴散らした川田は天龍に突っかかる。
 しばらくして乱闘は収まり、全員がリングへ。
 注目は川田と、嵐・北原のからみ。川田に言わせれば全日のリングに上がってはいけない連中。
 北原が連続キックを出すと、川田はうまくその軸足を払って倒した。
 嵐にもキックを連発。
 安生は相変わらず飄々とうまく立ち回る。パンチを出すと和田レフェリーに怒られるので、レフェリーの様子を見ながらこっそりパンチ。
 天龍が川田をとらえ、安生がパンチに行くが、川田に逃げられ同士討ち! 天龍はしばらく動けない。安生は「しまった!」という顔をするが、北原たちは安生を慰める。
 天龍が冬木を呼んだのが面白くない安生は、これを機会に天龍と敵対する側に回るかと思ったのだが、そういうことはないらしい。
 スミスとハインズはアシストに回り、荒谷が大活躍。椅子を手にした天龍を突き飛ばし、場外でも天龍を鉄柵に振る。
 しかし、惜しいことに決め技がない。
 一度は天龍にムーンサルトを決めるが、それ以上の技がない。2度目はうまくいかなかった。
 途中、東側の花道で何かもめていて、川田がそこへ飛び込んでいったが、新聞によると、タイツ姿になった冬木が現れ、川田が撃退したらしい。
 最後はまた乱闘になり、リングには安生と荒谷が残る。
 川田が天龍を鉄柵に振り、ハイキックで顔を蹴りつけるが、リング上の荒谷は、1対1では安生には勝てない。私は「川田、戻れ」と叫んだが、川田の耳に届かず、届いたところで客の指示に従うわけもなく、荒谷は3カウントを取られてしまった。
 その後ももめるかと思ったが、川田はあっさり引き上げる。
 勝った4人はベルトを受け取り、記念撮影。天龍はまた、ベルトを投げるふりをして場内を沸かせていた。

 WAR+安生からベルトを取り戻せなかったのは残念。
 私は、スミス・ハインズ組がアジア・タッグを取ることを望んでいた。
 川田はいいが、荒谷が世界タッグのベルトを巻くには、実力がまだ足りない。
 後日、奥村と組んで、スミス・ハインズ組のアジア・タッグに挑戦する、というくらいでちょうどいいと思っていたのだが、こちらの希望通りには行かなかった。
 今回、ベルトを全日側に取り戻すのに失敗したことで、これからまだまだ抗争が続く。


2001.8.26(後楽園ホール。サマーアクションシリーズ2 開幕戦)

 川田VS安生という、5、6年前なら、夢の中でしか実現しなかったようなカードを見るのが第1の目的。
 第2の目的は、WARと全日本の対抗戦。
 天龍・北原・嵐の相手が荒谷・奥村・宮本。
 これに腹を立てた天龍が、神取を出すぞ、と言っていたが本当に来るのかどうか。

 後楽園ホールに着いて、壁のポスターを見たら、何と、よるにはLLPWの興行がある。
 と、いうことは、昼の部に神取が顔を出すことは可能なのだ!

 入ってすぐの所に、テリー・ゴディの遺影。
 ファンが供えたらしい花束もあった。

 席は西側A列。前から5列目。
 ここまでは平らな床になっているので、前に背の高い人がいるとリングがよく見えない。
 もう少し後ろの席の方が、かえって見やすかったかも。

(試合時間、決まり手は、全日本プロレス公式ホームページで公開されているものによる)


第1試合 20分1本勝負
○ 平井伸和 9分21秒
片エビ固め
(ロックボトム)
愚乱・浪花 ●
 西側の立ち見席には、「キム・ドク」という垂れ幕。なかなか人気者。
 声援も多い。
 相変わらず平井には女性の声が飛ぶ。
 近くにいた若い女性二人連れが、緑のテープを投げていた。
 浪花には、「お前は蟹影だろう」という声が飛ぶが、浪花は無視。
 平井・浪花とくらべると、キム・ドクは頭ひとつ分大きい。
 ドクが試合を組み立て、盛り上げていく。ドクの指示で若い二人がやり合ったり、ドクに二人がかりで向かってみたり。
 何をされても余裕のドク。強い!
  武道館の3人マッチではあまりいいところがなかった平井が、頑張った。
 リングに倒れたドクに、浪花を抱え上げてギロチンドロップを懸けさせ、「もう一丁」と、浪花を抱え上げ、今度はそのままバックドロップで浪花を投げ捨てる。
 起きあがったドクをリング下へ落とし、その隙に片エビがため。
 自分の頭を指さし、どうだ、と言わんばかりの勝ち誇りぶり。
 平井もよかったが、キム・ドクのおかげで盛り上がった試合だった。

第2試合 30分1本勝負
長井満也
● 相島勇人
保坂秀樹
19分07秒
片エビ固め
(チョークスラム)
ジム・スティール
ジョージ・ハインズ
バンピーロ ○
 選手の入場前から場内が盛り上がる。初お目見えのバンピーロが大人気。
 でかい。肩の当たりに水色の入れ墨。
 サイン入りフリスビーを3人で投げたが、投げるのがうまく、離れた客席まで飛んでいく。
 一方、日本陣営はUWFのテーマで入場。今日も今日とて長井の幟が立つ。
 長井はそのうちの一本を、リング下まで自分で運んだ。
 入場したのを見てしばらく分からなかったのが相島。
 なんと、髪を伸ばしている(とはいっても、スポーツ刈り)。しかも金髪。
 それが相島だと分かるまで時間がかかった。
 「相島、髪の毛が生えてるぞ」と、声が飛ぶ。
 長井と相島は全日が主戦場ということで、組んでも違和感はないが、その中に放り込まれた保坂は少し気の毒。それでも、盛んに声を掛け、とけ込もうとしていた。
 それにしてもすごい組み合わせ。プロレスを否定したリングス出身とインディ出身が同じコーナーにいる!
 体格的にも、外人3人には見劣りするが、長井は気後れせずに向かっていく。顔立ちと違って勝ち気な人らしい。
 いつもながら相島が頑張ってるように見えるのはひいき目か。
 バンピーロは大きな体でよく動く。
 最後は、相島が果敢に攻め立ててはいたのだが、バンピーロの迫力のあるチョークスラムでスリーカウント。

 ここで休憩。
 休憩後、テリー・ゴディ選手追悼10カウントゴング。
 全選手が登場し、ウィリアムスがゴディーの写真を持ってリングに入り、テンカウント。
 最後に、ウィリアムスがごでぃーの写真を場内に掲げて見せた。

第3試合 30分1本勝負
● 渕 正信
藤原喜明
18分49秒
後方回転エビ固め
マイク・バートン
ジョニー・スミス ○
 全日とWARの抗争の話を聞いて急遽参戦が決定した、というマイク・バートンの登場。
 そういうことなら、対WARの試合に出れば良さそうなものだが、なぜかこの顔合わせ。
 6歳の子供を連れての観戦で、花道に近い席だったので、花道へ子供を連れて行って入場を待ちかまえる。
 同じように、小さな女の子を連れてきている父親らしい人もいた。
 もちろんバートンはしっかり握手してくれた。湿ってひんやりした手だった。

 レフェリーはウォーリー山口。彼がレフェリーであることには実は深い意味があった。
 試合は予想通り、グランドの展開が主。こうなると、平らな場所の席は不利。
 バートンに対抗してか、渕もかなりのパンチを出す。おいおい、グーパンチはダメなんじゃなかったのか。
 最後は、返し技でスミスが渕を押さえ、スリーカウント。
 藤原が、他の選手と握手して行ったのは、しばらく参戦しないためらしい。
 花道を引き揚げるバートンにまた握手をしてもらおうと、子供を連れて行くと、なかなか引き上げてこない。
 そして、マイクを取ると、英語で演説し始めた。
 それをウォーリー山口が通訳。このためにも、レフェリーは彼でなくてはならなかったのだ。
 最初は、「子供が夏休みなので、一緒にいようと、休むつもりでいたのだが、WARとの抗争を聞いて、全日本のために参戦を社長に直訴して来日した」という挨拶で、ここまでは場内拍手。
 続いて、「チョーノ」と言っているようだな、と思ったら、「蝶野の言っているXとは自分のことだ」と暴露。これにはびっくり。「蝶野とはフィフティフィフティの関係で組む。彼が、新日に来いというのなら、自分は行く。しかしそうなったら、自分は責任を持って、蝶野を全日のリングにあげる」と、決意表明。
 ますます、全日と新日の境目がなくなっていくのだろうか。
 どうなるんだ。

第4試合 30分1本勝負
○ 太陽ケア
馳 浩
15分22秒
片エビ固め
(ブロックバスターをDDTで返して)
スティーブ・ウイリアムス
マイク・ロトンド ●
 この顔合わせに、特に意味があるとは思えないが、と思ったが、終わってみると、ケアと馳がここで試合をすることには意味があるのだった。
 ケアと馳のBATT組は一人ずつ登場。登場もコールもケアの方が後。
 ケアよりも、ウィリアムスとロトンドに声援が飛ぶ。
 ウィリアムスは、なんだか角が取れて丸くなったような……。
 最後は、馳とウィリアムスが場外でもめているところを、ケアが一瞬の返し技でスリーカウント。
 ウィリアムスは、最後に馳にパワーボムをかけていった。ゴディへの思いを見せたのだろう。

第5試合 60分1本勝負
荒谷信孝
● 奥村茂雄
宮本和志
16分09秒
体固め
(トップロープからのダイビング・ボディプレス)
天龍源一郎
嵐 ○
北原光騎
 事前の発表では、この試合がメインのはずだったのだが、当日になって変更され、セミに。
 しかし、後の展開を見ると、それもまた、深い理由が会ってのことだったようだ。

 普通なら、花道を引き揚げるはずのケア組がそのままリングサイドに残る。
 元子社長も姿を見せた。
 場内騒然。
 次の試合を待っているのだ。
 ケアが、リング下で目をぎらつかせていると、天龍のテーマが鳴り響き……。

 天龍たちの花道のすぐそばに座っていたのに、間抜けなことに、しばらく気が付かなかった。
 鉄柵のところで何かもめている。あれ、北原が二人いる、と思ったら、なんと神取が!
 和田京平レフェリーが、両手をつきだし、「入るな」のポーズ。平井が神取を抱えて花道を押し戻した。
 リングインした天龍はマイクを手に、「いいじゃねえか」とか何とかアピールしていたが、よく聞き取れなかった。
 続いては若手3人が登場。
 この組み合わせは無謀だと思っていた。荒谷と奥村はまだしも、デビュー2戦目の宮本が致命的なダメージを負うのではないかと心配だった。

 しかし!
 先鋒は北原と宮本。場内宮本コール。組もうとした瞬間、宮本が張り手。続いて嵐と天龍にもエルボー。場内爆発。
 以下、奥村が登場すれば奥村コール、荒谷が入れば荒谷コールと、客の90%以上が全日本組に声援を送る。
 第1試合で平井にテープを投げていた女の子とたちは、WARの選手に声援を送っていたが、そんな客は実に少数。
 一方的な試合になるかと思っていたのに、荒谷も奥村も頑張る。
 やられてもやられてもすぐに立ち上がり、反撃に出る。
 宮本も、天龍に低空ドロップキックを放ち、足4の字へ持ち込んで場内を驚かせたが、そこへ嵐がダイビング・ボディプレス。それで動けなくなってしまった。
 タッチはしたものの、コーナーに横たわり、馳が宮本を気遣っていた。
 途中から、渕もセコンドについたが、上半身裸。いざとなったらリングに入ろうという構え。
 ところが、天龍に抗議しようとリングサイドにあがったところへ、天龍の毒霧をくらって落ちていった。
 最後は嵐のダイビング・ボディプレスで奥村が沈んだが、どうみても力の差が歴然としているのに、荒谷たちは16分もがんばったのだ。
 宮本は倒れていた時間が長かったから、ほとんど荒谷と奥村の二人で戦い抜いたと言える。
 よく頑張った。いい試合だった。
 無謀な組み合わせだ、なんて思って悪かった。荒谷と奥村は大いに株を上げた。
 会社としては、宮本の売り出しも大成功。

 西側のカーテンのところで、常連外人レスラーがリングを見守っていたのも印象に残った。何かあったら自分たちも出ようと思っていたのだろうか。
 安生は、一番後ろにいて、カーテンの陰に体を半分隠して見ていた。

第6試合 60分1本勝負
○ 川田利明 11分57秒
片エビ固め
(顔面フロントキック)
安生洋二 ●
 第5試合が終わった後、倒れたままの宮本を気遣って、川田が現れる。
 珍しい。自分の試合が終わった後ならまだしも、すぐ次が自分の試合なのに。
 リングに上がって、宮本の様子を見ていたが、他の選手がほとんど引き上げてもそこにいる。すると、そこに安生が走ってきて、そのまま川田に仕掛けた。
 川田は不意を付かれて対応できず、三角締めをかけられてしまう。
 慌てて和田レフェリーが止めようとするが、そのままずるずる始まってしまい、やむなく開始のゴングを要請。
 安生は落ち着いていて、立ち技でもグランドでも川田をあしらうそぶり。
 川田の蹴りを食らって大げさにいたがり、レフェリーに川田のレガースの中をチェックさせたりして笑いを誘う。
 途中、嵐と北原がセコンドについたが、すぐ戻っていった。
 川田は終始冷静。感情を表に出す、ということがない。
 安生は、「川田を笑わせてみせる」と公言していたが、川田の不機嫌そうな顔つきを変えさせることはできなかった。
 最後は、フロントキックからスリーカウントを取られたが、安生は全く負けたという意識無し。
 「肩を上げただろう」と和田レフェリーに抗議し、レフェリー手をつかんで、自分の手を挙げさせたりして笑いを取ったが、納得できない、と首を傾げながら退場。

 今回の興行では、「予想がはずれる快感」を味わった。
 セミの試合があんなに面白くなるとは思わなかった。
 全日本プロレスにしてやられた、という感じだった。

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