日々のエッセイ

 2023年の12月、コロナ禍が落ち着いてきて、クリスマスらしいムードが街に戻ってきました。
 今年は12月らしい風景をたくさん見よう! と決めて、歩いたり、車や電車に乗り込んだり。

 青山の絵画館前でやっているクリスマスマーケットにも行って来ました。
 夜は人出が多いかなと敬遠して、平日の昼間に入ってみたら、その日は20度超えの暑さ。コートやマフラーがぜんぜん似合わない晴天で、クリスマスらしくない風景でした。

   
 青空のもとのマーケットは、まるで南半球のクリスマスみたい。
最初は「ちょっと違うなぁ」なんて思ったけれど、明るくて陽気で開放感たっぷりなマーケットも、それはそれで楽しくなってきます。にわかサンタさんたちも腕まくりして、半袖になっています。こんな12月、今まで無かったですよね。

  
 
夏っぽい空に、黄色いリースのツリーが映えます。マーケットには、クリスマスグッズを売るお店がいっぱい。食べ物屋さんもいっぱいで、なんとなく文化祭みたいな雰囲気。夜になると、イルミネーションが輝いて、また違う景色になるのでしょうね。

  
 一番見たかったのは、このクリスマスピラミッドです。ドイツのマーケットにあるような大きなピラミッドが、のんびりと回っていました。
 このピラミッド、キリスト降誕のシーンが木彫りの人形で再現されていて、ろうそく立てになっています。世界中のクリスマスマーケットで、シンボルとして飾られているようですね。人形が可愛らしい。

  
 クリスマスといったら、ジンジャーブレッドマン。英語を習い始めた頃、テキストには逃げ出したジンジャークッキーぼうやのお話が載っていました。しょうがをたっぷり入れたジンジャークッキー、作ってみようかな?

 ところ変わって、こちらはクリスマスが満喫出来る、クラシックな電車に乗った房総の旅。
夕方4時台の小湊鉄道に乗りました。平日は一日一本、イルミネーション列車が運行します。もう十年くらいの間、毎年この季節に走っているそうですが、乗るのは初めて。

  
 天井の飾りがすごい! 本当にイルミネーションになっていて、ピカピカ光っています。この車両は灯りが際立つように、車内の電気が薄暗く、なんとも幻想的なムード。レトロな車両で、昔ながらのつり革や扉や座席を眺めていると、今が2023年だということを忘れてしまいそう。懐かしい遊園地のアトラクションに乗ったような気分。

  
 乗った時は夕暮れのバラ色だった空が、だんだん青く深くなっていきます。遠く富士山のシルエットが見えました。沿線の駅は古い駅舎のままの無人駅が多く、それぞれの駅が工夫を凝らしたクリスマス飾りで、出迎えてくれます。温かな灯りがあふれ、心もぬくぬく。駅をめぐりながらの小さな旅。ひと駅、通過するたびに空色が変わっていき、深い青色がほんの少し黄色がかり、やがて墨色になって、本格的な夜がやって来ます。いよいよイルミネーションが輝き始めます。

  
 ひとけの無い駅は古い映画のワンシーンみたい。乗っていた人たちも、次々に降りていき、いつの間にか車内が静かになっていました。電車の動くカタンコトンという音が、優しく身体に響きます。

  
 この駅には、ひっそりお花が飾られていて、クリスマスを通り越して、お正月の空気を感じます。夜の駅の灯りって、良いものですね。

  
 冬にしては暖かな夜だったけれど、素朴なイルミネーションが雪のようです。終着駅で折り返し、同じ電車で戻って来ました。たった二時間の旅だったけれど、なんだか時空を超えたようなひとときでした。

 メリークリスマス!
皆さまのクリスマスが楽しい日になりますように。
そして、良いお年を!


 2023年 12月

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