半僧坊堂(観音堂)
Yamakiri Okudaira

半僧坊像

 その昔、山切には保福禅寺の他に横澤山歓料寺、養慶寺、瑞竜寺といった寺院があった。焼失、移転等により現在は当寺のみが残っている。

 歓料寺は焼失した際に当寺と併合、現在に至る。(御本尊聖観音菩薩像、歴代和尚の位牌、過去帳は当寺が管理している。)

 半僧坊堂(観音堂)は、そんな歓料寺の跡地に建てられたもので、お堂の中央に半僧坊が奉られていることからそう呼ばれている。昔は村をたてて毎年祭りが開催されたというが現在は行われていない。

 昭和17年3月25日、半僧坊堂は正式に当寺の管轄物となった。(静岡県知事認可による)


善光寺様の御詠歌(和文を用いて仏徳を讃嘆する讃歌)の紹介
 歓料寺跡地には、先に紹介したお堂の他に、一基の石碑が建てられています。(奥平の石碑と呼ばれている。)

 昔から四国には八十八箇所参りがありますが、ここ山切の人々は諸事情により当地へ向かうことができなかったため、善光寺へ行くことがその代用であったそうです。毎年代表者が信濃へ参拝に向かったそうです。

 石碑はその「講」を記念するものであり、お堂には下記十九首の善光寺様の御詠歌が伝えられています。主に祭事や観音講などで唱えられます。
  1. うすむれてなんばの池の弥陀如来 せかいこがれて本多義満
  2. 志す国は信濃の善光寺 うすにすへおくこれぞさむしき
  3. 身はここに心は信濃の善光寺 救い給へよ弥陀の浄土へ
  4. 曇り無く身は晴れやかに善光寺 ご飯いただく極楽の院
  5. 山谷を遥々越せば善光寺 あの世この世の土産血脈
  6. 義満もやよいもはたよ親もるも ただ人ならぬ仏なるらん
  7. 遠くとも一度は参れ善光寺 救い給へよ弥陀の正眼
  8. 若きとて末を遥かに思うなよ 無情の風は時を嫌わず
  9. 一度は死ぬる命と思いなば 後生願へよ後の世のため
  10. 生まれ来て一度は死ぬる身を持ちて 罪をつくるな先の世のため
  11. 極楽のみのりの船に乗りたくば 胸の間の波を沈めよ
  12. 急げ人弥陀の御船の通う間に 乗り遅れたら何時か渡さず
  13. 極楽願うて早く生まれべし如来の 前でお礼申せよ
  14. とのうればここに居ながら極楽の 仏の数にいるぞうれしや
  15. 先立てば遅るる人を待ち合わせ 蓮のうてなに共に成仏
  16. 鐘が鳴る音の響きで夢覚める 五色の雲で行くぞうれしや
  17. 後の世もこの世も共に阿弥陀仏 仏任せの身こそ安けれ
  18. ありがたや三国一の弥陀如来 如何なる罪もつくしみぼとけ
  19. ありがたやたまのおみすを巻き上げて 念仏声を聞くぞうれしや

弘法大師様の御詠歌
 別に下記の御詠歌も伝えられています。
  • 立ち寄りてお茶屋の功徳の足休め この世の功徳先の世のため

薬師堂
Yamakiri Koyashiki

薬師堂 薬師如来像

 入り口に立派な鰐口があるこの薬師堂は、堂内に薬師如来石像が奉られていることからこう呼ばれている。古くから目の仏様(人の疾患や災厄を除く仏様)として崇められ、地元の住人は毎月12日に、この薬師堂にお参りをしている。

 昔は毎年9月12日になると法要儀式が厳修されていたようだが、現在は行われていない。 

 昭和17年3月31日、薬師堂は正式に当寺の管轄物となった。(静岡県知事認可による)


薬師様の御詠歌
 薬師如来様には下記三首の御詠歌が伝えられています。
  1. 清き川越せば小屋敷如来堂 参りて近き拝む尊き
  2. ありがたや諸事の病に利益あり 日々に如来を拝め皆人
  3. ありがたや瑠璃の薬師のみたらしに 悪しき心を流せ皆人
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