四三、御稜威(みいず)  
     
   オオオ オーオオ

 わが日の本に生れきて、われ等(ら)大和の民草は、こよなき幸(さいわい)をぞ得たるなる、吾等(われら)大和(やまと)の國民(くにたみ)は、その上つ代より今に至るまで、常に有難き神に導かれてその日の業(わざ)も事缺(か)かず、常に安けく暮すなり、又その國は島國にて、その大いさ廣(ひろ)からねども、四季の變(かわ)りも程ありて、山にもに海にも惠(めぐま)れて、外(そと)つ國と事をかまへし事ありても、常に祖國(おやぐに)を護り得て、外つ國人には侵されずそれのみならず常に御稜威(みいず)の蔭以(かげもち)て次第々々に外國(そとつくに)まで、われ等の力は拡がりて、われ等の仰ぐ大神の慈(いつくし)みを外つ國迄も分つなり。
 かくてわが國(くに)は北に南に、さて西はウラルの山までも東は海の果(はて)までも、わが國(くに)の力拡まりひろまりて、盡(つき)る處(ところ)を知らぬなり、かく拡まりて行く末は、わが日の本を中つ國と、尊みまつろう國人は、當(まさ)に吾等大和の民にはあらざらん、かゝる廣(ひろ)けき國となれば、只われ等大和に生れし國民の狭き心を持たずして必ず廣き心もて、わが大君の御徳をたゝへ廣むべき也。戦ひて勝ち勝ちて誇るのみなれば、まことの大和魂とは云ひ得ざるべし、勝ちたるものは負けたる者を慈(いつくし)みて、わが國民と同じ幸(さいわい)に浸(ひた)さるべき也。
 
     
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