七三、神の裁断  
     
   今日は何を書かしめ給ふか、何なりともわれの今迄知らざる事を書かしめ給へかし。昔の事にても今の事にても、全く私の未だ見ざる聞かざる事を知らしめ給へかし。ソレは大変六ヶ敷(むつかしき)事の如くなれども、神に取りては少しも六ヶ敷事にあらざるなり。神は今も昔も未来も、皆悉(ことごと)く知り居るが故に、神の欲するところのものは、何にても之れを人間に示し得べければなり。されど今知らしめても、何の役にも立たぬことを知らしむる必要無く、今聞かしめて何の甲斐無き事を聞かしむる必要なきなり。神は常に人間に最必要なるものより之を知らしめ、之を聞かしむるが故に、何も知らざる事を知らせよと願ふとも、必ずソレを知らしむるわけには行かざるなり。神は人間を試験する事を好まず、常に真剣の態度を以って、人間に無くてはならぬものを与へ、知らしめねばならぬ事を知らしむるものなり。
 故に汝の望むところのものを神は直に汝に示さゞるべし。汝に必要起りたる時は、其都度ソレを示すべし。今より汝に示すところのものは、汝のいま最も必要なる事のみなり。ソレは何なるか、ソレを知らんと欲すれば、必ず従順なる心を以て無心に、ソレを受け入るゝ覚悟なかるべからず。されば汝必ず神の示す意味を了解し得べき也。神は人間の為めには常に憂慮し、人間をして可成よきものと為さんとするが故に、神の心を眞に知らんとする時は、常に心を神に向けて其示(そのしめ)しに對(たいし)して、何時にても従ふべき態度を取らざるべからざるなり。
 今は人間に取りて最も危険なる時なり。世界全國はソレゾレ己の慾のみにふけりて、他を少しも省みず、何時にても他國を害して自國のみを利せんとし、自己のみをよくせんとして、他を不利に陥れんとするなり。個人的関係よりも、國家的関係は益々傾向甚だしきなり。個人同士の間に於ては、徳義を重んずるところありても、國家と國家との関係に至れば、常に言語に絶する事をも敢(あえ)て為しつヽある也。此れは決して神の本意に合したるものにあらざるなり。斯(か)くの如(ごと)き状態今後長く続く時は、神は必ず大に怒り給ふて、其等の國人に一大鐡槌(てっつい)を下し給ふべし。即(すなわち)其れ等不義不正なる國人を滅亡せんとする、大試練に遭遇するところあるべき也。
 今は何人も多く此事(このこと)を知らざるが故に、唯自國の為め為めと考へて、他國を害する事のみ考え居れど、此等の國人は必ず正に、神の大裁断を受くるに至るべき也。其事を思ふ時に我日本國人はよろしく、神國の民として恥しからざる態度を示し、他國人を害せず自國の利のみを計らずして、よろしく自他共に幸福なるべき道を講じ、之が達成と實現(じつげん)とを計らざるべからず。此の正しき考と行為に對(たい)して、之を害せんとするものは、悉(ことごと)く神に代りて之れを撲滅し。一日も速(すみやか)に眞(まこと)に神の意に叶ひたる、眞に一大平和境を出現せしむる事に努力せざるべからざるなり。
(十七分)
 
     
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