「太陽の追尾による光りの造形作品の制作」

 

 これまで人工的な光りを使い作品を創作してきたが、ある時、光りと陰の鮮やかなコントラストを示す太陽光を眺めながら、自然のなかに融合した作品を作りたいと思った。そのためには年間を通して光を捕らえなくてはならない。太陽追尾装置と言えるものは特別なものではなく、古くから天体望遠鏡などにつかわれてきている。しかし年間を通して正確に、となるとかなりの試行錯誤が必要である。捕らえた光を一点にあつめ、屈折、反射、集光、透過などを行って造形する。ゆっくり動きゆく形態の時間的な変化を表現するために、超低速回転の小型モーターを使用している。光りが映し出されるガラス面上に、太陽の描く形態が接近し、重なりあい、遠ざかる。ゆっくりとした動きのなかで集極しては拡散して弧を描く。屋外に据えられた作品は、晴れた日、朝から夕刻まで、四季を通して微妙に変わる陽の光りを、自然と共有しながら作品として映し出している。以下の作品は試行錯誤の末におよそ10年目に箱根彫刻の森美術館において発表したものである。

 

光・宿る時 陽光の舞