「白鳥の湖」オマケ♪
MIDI作成中に遭遇した落とし穴(笑)
元ネタについて
第1曲 情景
作成を始めた当初は、規模は大きいものの楽譜通りに再現すれば良いだろう程度に考えてました。
が、まずこの最初の第1曲で「エッ?」と思われる楽譜の指示に遭遇したのです。
あまりにも有名なメロディがこちら。
(譜面1-1)
【譜面1-1】
(00:13)
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第1曲 情景 冒頭メロディ
このメロディをオーボエが情感たっぷりに演奏した後、重金管楽器がどっしりと繰り返し
その後弦楽器が情熱的に気分を盛り上げながらクライマックスを迎えるわけです。
そしてクライマックスの時の楽譜指定がこちら。
(譜面1-2)
【譜面1-2】
(00:24)
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第1曲 情景 クライマックスメロディ
よく見ると音符の長さが冒頭のメロディの表記に比べ倍になっている事がわかります。
だから冒頭のメロディに比べて半分くらいの速さで演奏すればいいんだネと普通思いますが
この4小節前にPiu mossoという指定があります。「今までより速く」という意味です。
今までより速く、と指定しておきながら半分の遅さ?どんなテンポ取りをすれば良いんだ?
だいたい今までよりってのが実にあいまいな指定じゃないか(笑)
体感的に今までより速く感じる・つまり倍以上の速さで演奏するのか
その通りに解釈して実質上半分より少し速い程度・体感的には遅く感じる演奏をするのか?
結果として雰囲気的に緊迫感のある前者を私は選択しましたが
後者もアリでないかい?こりゃ番外編作らにゃーなって本編を作る前から思いついてしまったのであった(笑)
(03:22)
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第1曲 情景 だんだんゆっくりバージョン
第2曲 ワルツ
そんな訳で第1曲から指揮者的役割に早くも迷いが生じてしまった「ヘボさん」ですので
テンポの設定は後回しにして第2曲にとりかかってみたところ、ここにも落とし穴が(笑)
丸1年かかってしまった元凶とも言うべき譜面がこちら
(譜面2-1)
フルートの第1パートと第2パートが2つの音を交互に鳴らし合う演奏となっております。
モノラルで聴く限りは同じ和音を繰り返し演奏しているようにしか聞こえないはずです。
それなのにチャイコフスキーが交互に鳴らし合う指示をした楽譜に注目したばっかりに…
この譜面はフルートのパートですが同様の演奏をクラリネットとバスーンも重ねております。
まずモノラルでこのフルートのパートを鳴らして見ましょう
【譜面2-1A】
(00:04)
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第2曲 ワルツ フルートパート・モノラル再生
次にステレオで鳴らしてみます
【譜面2-1B】
(00:04)
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第2曲 ワルツ フルートパート・ステレオ再生
ステレオで鳴らすとひょっとして意外な効果が出るんじゃ?と考えてしまったのが大ハマリに…
では次にフルート、クラリネット、バスーンをステレオで鳴らしてみましょう
【譜面2-1C】
(00:04)
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第2曲 ワルツ 木管パート再生
ちょっと効果が薄れたような…ではオーケストラの中でどの様に響いたか
【譜面2-1D】
(00:29)
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第2曲 ワルツ オーケストラ再生
完全に埋もれてしまったぞ(笑)実はこの部分の演奏では金管楽器はほとんどお休みの為
MIDI16チャンネルのうち数チャンネルが空きがあるからこの3パートを空きチャンネルに
臨時に振り分けてみた訳です。他にもホルンが4和音を鳴らしている部分を4パートに振り分けたり
コントラバスの音色とストリングスの音色を重ねたりピチカート音とウッドベースを重ねたり
極力16パートをフルに使うアレンジを試みてみました。実際効果は薄かったけど(笑)
音響プロデューサー的な仕事として全体的な雰囲気、それぞれの楽器を立てる響きを
表現できないかともがいた結果でございます。
こんな手間を全6曲にわたって行なった為実に1年!かかったのはほとんどこの手間でした。
もう2度とやんない(笑)
第3曲 白鳥の踊り
この曲は…このままオーソドックスに行くしかないんじゃないかと…
シンプルなものほど難しいと良く言いますけど、まさに。
ヘタに個性を出そうとしても端々の小さなニュアンスの部分が精一杯?
無理して根本的に演奏に個性を出そうとするとバランスがおかしくなって
いろんな所で物足りなさが出てしまうんではないかと思います。
試しに得意の、初めはゆっくり、だんだん速くのテンポ設定で演奏してみましょうか。
(01:19)
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第3曲 白鳥の踊り だんだん速くバージョン
やっぱりバランス悪いでしょう(笑い)
第4曲 情景
6つの曲の中で、この曲が一番やってみたかった曲です。
バイオリンのソロとチェロのソロが絡む終盤の泣き節はチャイコならでは!クラシックというより演歌(笑)
ちなみにこの曲の中盤バイオリンソロでアップテンポになる辺り、9連符とか10連符とかの指定が出てきて
往生しました(笑)KAWAIの楽譜ソフトで連符指定コマンドがあってすごく助かりました。
そんなこんなでこの曲に対してはそれほど迷いも無く作成する事が出来ました。
オマケとして何故か全然違うパターンで存在するエンディングの部分を3パターンご紹介しましょう。
組曲版とチャイコフスキー死後の編曲版とバレエで使用されている原典版です。
組曲版はなんか神秘的に締めくくってる感じがします。
(01:27)
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第4曲 情景 組曲版バージョン
編曲版はよりロマンティックな傾向が強いようです。
(01:51)
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第4曲 情景 編曲版バージョン
原典版は…ストーリー上必要な展開なんだろうけどコンサート向きじゃないな(笑)
(02:32)
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第4曲 情景 原典版バージョン
第5曲 ハンガリー舞曲
この曲ではついに我慢出来ずやっちゃった感がアリアリです(笑)
まず出だしからいきなりハイテンポで意表を突くよう心がけました。
しかも後半のテンポが変わる前に更にハイテンポにしてしまってギョッとさせるよう心がけました。
そしていよいよ後半で本来アップテンポになるべき所でかえって遅くなるくらいのテンポで
「アレッ?」と肩透かしを食らわすよう心がけました(笑)
後半部の中間で楽譜には無いスローダウンと音量のイタズラを仕掛けてます。
エンディングの思いっきりスローダウンももちろん楽譜には無いしこんなことやってる指揮者もいまい(笑)
今思うと何でこんな演奏を思いついて何でここまで仕上げたのか全く理由が思い付かない(汗)
たぶんこの方が面白いと思ってやりはじめて、後は惰性でイク所までイッてしまったものと思われます(笑)
まぁ、エンディングの思いっきりスローダウンは次の第6曲の急展開と好対照になって結果オーライかなって…
参考までに自分がスタンダードだと思われる演奏版を番外編として用意してみました。どうでしょう?
(02:27)
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第5曲 ハンガリー舞曲 スタンダード(?)版
第6曲 情景
この曲を聴くと私はチャイコフスキー交響曲第六番「悲愴」第1楽章を連想してしまいます。
悲愴交響曲といえば私はミトロプーロス指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏を思い出します。
ミトロプーロスといえば偉大なるというか異大というべきかの大指揮者ストコフスキーの後継として
活躍したらしいですが私はこの曲しか聴いた事がありません。そしてその演奏がミョーにアップテンポで
独特な演奏なのでした。ここまでアップテンポな演奏は聴いた事がないってくらいアップテンポで
それが又ミョーにアメリカ映画音楽っぽくてカッコ良かったりして大変スキな演奏なのでした。
それでこの曲を私は同等の速さで演奏してしまっている事をご了承頂きたい(笑)
で、前述のストコフスキーですが現在のオーケストラの第1バイオリンと第2バイオリンを
左側に配置した人として有名ですがチャイコフスキーがこの曲を作曲した頃は第1バイオリンが左側で
第2バイオリンが右側に配置されてました。
そこでこの曲のオマケは作曲当時の配置にして鳴らしてみます。いかがでしょう?
(04:16)
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第6曲 情景 旧オーケストラ配置版
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最終更新2007/12/17