「お前がオレを、食べてくれるのか、アリス…?」
一瞬、戸惑ったように考えたアリスは、意味を悟ったのだろうか、顔を真っ赤に染めて俯き加減に小さな声で答える。その、仕草さえ愛おしいのだから始末に負えない。何時になっても慣れるそぶりを見せないアリスの初々しさに、何時だって火村はいとも簡単に煽られるのだ。
「んっ…」
重ねた口唇からは、甘いチョコレートの香りとほんの少しのほろ苦い煙草。はじめはただ、柔らかい感触を確かめる触れあうだけの優しい口付け。舌先で突く様に歯列をなぞれば、おずおずと隙間から火村の浸食を受け入れる。ゆっくりと深く唾液が混ざりあう位の愛撫に、アリスの息が上がった。
「…っふ、ぁ…」
漏れた吐息も零れた唾液も、残らず掻き集めて吸い上げてしまいたくなる。
上気した肌に掌を這わせると、しっとりと吸いつくような滑らかさで小さく震えて応える。未だに慣れないアリスのその仕草が、耐えているらしいが逆効果にしかならないという事実に気がつかないのだろう。羞恥に顔を紅く染め、触れる指先に肌を染めて。
もっと、もっと、と。欲張りたくなる。
俺だけの色に染まってしまえばいい。堪えること無く、啼いてしまえば、いい。
「アリス…、もっと…」
「…?、あっ…」
カリ、と爪先で胸の飾りを弾いては、もう片方の手でアリスの着衣を剥がしていく。身を捩る様にしているアリスの動きに合わせ、あっという間に抜き去ると脇腹から腰骨のラインを撫ぜ、しこりとなって熟れた胸の突起を捏ねまわしては口付けをする。
「んんっ…、ぁ…、ひむ、っぁ…」
首筋から浮き出た鎖骨に舌を這わせて舐め、同時に双丘を割りひくひくと伸縮を繰り返す蕾を撫ぜると、未だ触れないアリス自身がふる、と存在を主張するかのように震えた。
「アリス…、ほら、零れてるぜ?甘い、蜜…」
「やっ…ぁ」
指先で溢れだした先走りを掬ってやると、その刺激にもう一回り、成長をして頭を擡げてくる。…でも、未だ、触れない。
「…や、あっ…、火村ぁ…」
「嫌、なのか、アリス?ココが好き…?」
掬った先走りを塗りこめるようにして蕾を突き、指の先を挿れるとぬちゃり、と招き入れるようにして吸い込まれた。きゅう、と締め付ける蠢きが堪らない。
「ヒぁ…ん、ちが、っ…、汚れ…、るっ…」
「…ああ、服が?こんなに濡らして…、アリスはエロいな。染みになったら、困るだろ?脱がしてくれる、よな」
必死でうなずき、そろそろと腕を伸ばしてシャツをたくしあげる間も、勿論愛撫の動きは止めないでおく。腰の裏、奇麗に窪んだウエストを引っ掻く様に撫ぜ、挿れたままの指は、中を探る様に折り曲げていく。その度、怒張の先端から溢れだした先走りがぬらぬらと伝い、指の動きを更にスムーズにしていく。
「あっ…、んぁ…、やぁ…て、ひむ…」
「ほら、早く、アリス…。濡れちまう」
恨めしそうな眼差しを向け、それでも、必死に上着を脱がせるとため息に近い吐息を吐いてボトムへと指を伸ばすアリスの、さらり、と揺れる髪を割って耳朶にも舌を這わせた。
「アリス、あんまり締め付けるなよ…?」
「ヒぅっ…、ふ…、ぁ…」
びくっと躰を竦め背を丸めるようにしたアリスに囁くと、とろとろに蕩けた瞳がまっすぐに見つめていた。…それは、慾に濡れた艶やかな目。
「も…、いじわる、せんで…ぇ…、んっ」
答える代わりに、ぐり、と指を掻き回してやった。
「あっ…、ああ、んっ…」
もっと、もっと、だ。アリス…。
もっと、溺れてしまえば、いい。
「アリス…、手。止まってる」
務めて冷静な声色で告げると、震える指先が押し上げられたボトムの前を広げて火村の雄を開放する。アリスの見せる姿に煽られて同じように熱く猛った雄に、魅せられる様にしてアリスがため息を漏らした。途端、きゅう、と咥え込んだ指を締め付けられ、煽られた火村の雄からはぬらり、と先走りが漏れる。
「っ、アリス、指、喰い千切るつもりか…?オレを、食べるのはちょっと違うだろ?」
「や…ん、あっ、って…ちが、う…、あっ…」
引き寄せた腰を擦り合わせる様にして抱えると、抱き合った姿勢で互いの腹の間で自身が擦られて言いようのない快感が走った。
「ふぁ…、んっ…」
「アリス…っ、ほら、上の口で喰う?それとも、下…?」
真っ赤に染めた頬で、暫く逡巡したアリスはそろそろと身を屈めて舌を出した。紅く濡れたその舌に、背筋がぞくり、とする。
「んっ…」
依然としてアリスの後腔には火村の指先が収まったまま、腰を折り曲げるようにして咥えるアリスは其の背を見事に曲げて美しい曲線を描いている。浮き出た腰骨すら、艶めかしい。ゆっくりと舐めては口に含むアリスの愛撫は、決して巧みでは無いが、拙いながらも必死さが伝わってきて堪らなく愛おしい。あまりに煽られる仕草に、先にイってしまわない様に、火村は指をそっと増やして掻き回した。
「ふっ…、や、あっ…」
にゅるん、と口からはみ出した火村の雄に縋る様にしてアリスが悶える姿に、下腹から這い上がる感覚が火村を突き動かした。やや乱暴にアリスの肩を攫むとあっという間に腰の上に抱き上げ、自分は背を床に附くとアリスを馬乗りの姿勢にする。
「なっ…、火村っ…、んっ…」
「アリス…、今度は下の口で、ほら…」
ぐちゃり、と掻き回す指は3本となり、余すところなく内を掻き回しては刺激する。伸縮を繰り返しひくつくその入口に猛った己をあてがうと、熱く締め付ける内襞から逃げるようにして指を抜いた。
「やぁ…ん…、やぁ…」
抜き去られた刺激に耐えきれないといった様に腰を揺らし無意識に強請るアリスの仕草に我慢も限界に近かったが、それでも、ぐっと堪え、なおも誘う。
「ほら、アリス…、腰をおろして、呑みこめるだろ…?」
「やって…ぇ…、そん、な…んっ…」
すり、と蕾を掠める先端に焦れたようにアリスが被りを振った。
「イイ子だ、アリス…」
「んっ…、あっ…」
ゆっくりと、手を添えて屹立に腰を沈めるアリスは、苦悩に近い表情を浮かべ開いた口元からは滴る唾液が、ぬらぬらと妖しく艶めいて火村を煽る。意識が挿入に向かっているアリスは、あまりにも無防備で、淫蕩としている。堪らず、最後の一息を吐かせる間もなく、下から腰を攫んで突き上げていた。
「あああっ…!」
「っく…」
湧き上がる様な快感の渦に、そのまま堕ちてしまえばいい。
俺がお前を喰い尽くす様に、俺の全てを喰い尽くして―。
他の誰も居ない、二人だけの甘く苦いこの世界で。
Author by emi