火村とアリスは長い付き合いだ。
足掛け10年になる。
10年。
10年か。
決して短い時間ではない。
むしろとても長いと思っていた。
思っていたけれど気が付いたら10年が経っていた。
いろいろな事を経験して、
いろいろな事を後悔して、
そして今に至る。
「アリス、飯だぞ」
「お〜」
だから、アリスはある事を大切にしている。
長いからこそ、大切な言葉だ。
「今日も旨そうやな、ほんま」
「ほら、飯位よそえ」
テーブルにはごくありきたりの食事。
変わったものはなく、見慣れたものばかりの。
そしてジャーを開ければ、ほかほかの新米。
だけれど。
「ほんま、キミの作るご飯は美味いなぁ」
「バカ言ってねぇで食えよ、アリス」
『美味い』
その一言が。
魔法の言葉なのだとアリスは知っている。
ほら、旦那は誉めて伸ばせって言うじゃない…的な。
Author by emi