腕から伝わる、音


「アリス!」

何時だって君の声は、私を攫む。

ともすれば。
まるで色身の無い、殺伐とした文字だけの世界に
温度と音を伴って、私を攫むのだ。

「なにやってんだ!」

いつの間にか仰ぎ見るような視線の先に
焦りを浮かべた漆黒の闇が見えた。

攫まれた、腕が。

熱い。

抱き留められた、胸の鼓動が音を刻む。

「危ねぇだろっ!その何時でもぼやっとする癖、やめろ!」

合わせた背中から、鼓動が伝わる。

それは、熱。
それは、音。

背中から回された逞しい君の腕に、縋る。

その瞬間、確かに。
私の世界が、色と音と温度によって彩られるのだ。

Next

Author by emi