掌が感じる、掌で感じる side-a


その綺麗な掌が大好きだ。
華奢すぎず、かといって無骨過ぎず。
ほどよい厚みとしなやかで長い指を持った掌が。

ゆっくりと私の髪を撫ぜて、指に髪が絡んでは梳ける。
大きな温かい掌で私の頬に触れる。
私の肩を覆うように掴んで、そっと腰に手を回して抱き締めてくれる。

男らしくて、強い掌。

その握り拳は重たく硬い塊となって空を撃つ。
それなのに、ひどく優しい愛撫をくれる。

指先は器用によく動き、其処から紡ぎだされる文字すら美しい。
長い指先には茶の駱駝が挟まれて。
其れを口に銜えると掌で覆うようにして火をつける仕草も
思わず見惚れてしまうほどに、様になっている。

白髪交じりの額にかかった髪を掻き揚げる仕草も。

ステアリングを握る君はシフトに片手をかけたままで、前を見つめる。
そっと、指を絡ませて温もりに触れた。
決して柔らかくは無い、それなのにとても安心する。

とても、好きなんだ。
キミの、その掌が。

だから、どうか。
辛そうに見つめないで。
忌々しそうに拭わないで。

キミが苦しむわけを私は知らない。
たとえ知っていたとしても。
私はキミの優しく包んでくれる掌を愛してやまない。

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Author by emi