それは時にスパイスのようで。
「アリス、それは何だ」
「バナナ」
いつもの朝。
珍しく早く起きたアリスはキッチンにいた。
「手のは?」
「ん、メープルシロップ」
あたりには曳き立てのコーヒーが
その存在を振りまいている。
「で?」
まだ眠たそうに煙草を咥える火村の
ちょっとぼさぼさした髪がなんとも言えない。
軽く笑うと指を指された。
ちょいちょい。
アリスが手にした瓶を触る。
「これ、幸せシナモン」
食パンにスライスしたバナナ敷き詰めて
めーいっぱいのメープル。
トースターへ入れてチン。
仕上げはシナモン。
「騙されたと思うて食べてみ?」
「・・・」
いつもの朝。
淹れたてのコーヒーとミルク。
火村の前にはシナモンシュガートースト。
『騙された』
なんて失礼なこといいよって。
バナナのトーストはアリスの前にある。
だから焼き直し。
バターを塗ってシュガ―を塗してトースト。
でも。
仕上げはやっぱり。
「幸せシナモンやな」
キミが居る幸せ。
君といる幸せ。
Author by emi