この腕の温もりを


ぽかぽかと温かい日差しの中で、器用に背中を丸めて小さくなっている。

その背を、そっと撫ぜるとううん、と小さく身じろぎをして目を覚ましたようだ。

とろん、とした大きな瞳がじっと俺を見つめている。

「なんだ、邪魔したか?」


つん、と横を向きそれでも、すすすと近寄ってくる様に自然と笑みが零れる。

「ほら、おいで・・・」

掌で引き寄せると、うう、と唸り声をあげるも素直に身を預けてくる。


その、茶の柔らかく手触りの良い頭を引き寄せて顔を埋める。
ぐりぐり、と掻き回せるようにするといやいやをする仕草まで、可愛らしい。

つい、いじめたくなるんだよな・・・。

口には出さないものの、それが伝わったのだろう。
明らかにむっとした表情で窓辺へと移動してしまった。

「悪い、つい・・・。おい、怒るなよ・・・」

苦笑しつつ、窓辺へ近づいて軽く口付けをする。

ふん、だまされてやるけど?
怒った振り。

頭を撫ぜて背を抱いて、口づけをする。

そうして欲しくて、わざとやっているのだろうか。
ほどなく、満面の笑みを浮かべて元の位置に収まった。


大きく拡げた火村の腕の中へ。


「愛してるよ・・・、アリス」

こくん、と頷く。

喩え、声を失ったとしても。
今此処に、お前が居てくれれば其れでいいんだ。


この、腕の中で。
笑っていてくれれば、それだけで、いい。

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Author by emi