手を取って、キミを包む


ああ、まただ。
ソレは何?
カタマリ。
塊。

ヒトであったモノ。
二度と、動かない。

そんなもの、もうたくさんだ。

こんなもの、もう見たくないのに。

仕方がない、こうするより他に何も出来ない。

手を・・・。





「帰ろう、火村」

黙ったまま立ち尽くして、無言のまま犯人を見送る。

その背中が苦しい、辛いと言っている様で。

アリスは握り絞めたままの火村の拳を、掌でそっと包む。
その哀しみが消えないのなら、少しでも和らぐように。
自分に出来ることが多くないことを知っていたとしても。


心が折れてしまわないように。
この愛しい狼が眠れるように。


私のこの手は物語を紡ぐことしかできないけれど。
キミのその闇には触れることができないけれど。


キミのその手を、離さないよ。

手を、繋いで、決して離さない。

だから、火村。私といっしょに帰ろう。

私がキミを包むから。
私がキミの繭になろう。


それでも、キミは目を覚ますだろう。
私はそれが、少し哀しい。



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Author by emi